複回124%の短距離を狙うべし！2200m以上のGⅠ馬は割引　「夏競馬でGⅠ馬は買える？」を徹底検証

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札幌記念に桜花賞馬ステレンボッシュが登場

今週は札幌芝2000mを舞台に札幌記念（GⅡ）が開催される。新潟記念がハンデ戦から別定戦に変更された影響もあり、ここ数年のような「超豪華メンバー大集結！」とはならなかったが、それでも復活を期す桜花賞馬ステレンボッシュや天皇賞（秋）の3着馬ホウオウビスケッツ、函館記念をレコード勝ちしたヴェローチェエラなど、ここを勝って秋のGⅠへ弾みをつけたい馬たちが北の大地に集結した。

札幌記念のステレンボッシュだけでなく、8月末の新潟記念にもブレイディヴェーグが出走を予定。夏競馬における“GⅠ馬”といえば、他馬よりも斤量を背負ったり、秋の本番に備えるために状態が上がりきっていなかったりと、考えるべき要素が多く取捨が難しい。そこで今回は「夏競馬で芝GⅠ馬は買えるのか？」をテーマに調査を行う。なお、参照するデータは2020年以降の7～9月に開催された芝のGⅡ、GⅢ戦とした。

「ほど良い負け」に妙味アリ！

＜7～9月開催の芝GⅡ、GⅢ戦＞
・全体成績 【126-127-125-1480】
勝率6.8%/連対率13.6%/複勝率20.3%/単回収率96%/複回収率76%

・芝GⅠ馬 【5-7-7-29】
勝率10.4%/連対率25.0%/複勝率39.6%/単回収率25%/複回収率84%
※2020年以降／芝GⅠ馬＝国内GⅠ勝ちあり

まずは全体成績と芝GⅠ馬の夏競馬の成績を比べる。流石GⅠ馬、ほとんどの指標で全体成績を上回る成績を残している。ただし、単回収率だけは全体成績を大きく下回っており、単系馬券での勝負は避けた方が良いだろう。

続いて、どのような条件ならGⅠ馬が買えるのか、はたまた買うべきではないのかを紹介していく。

＜芝GⅠ馬の夏競馬プラスデータ/マイナスデータ＞
・芝1200m重賞【1-2-3-8】
勝率7.1%/連対率21.4%/複勝率42.9%/単回収率13%/複回収率124%

・牝馬【4-3-2-10】
勝率21.1%/連対率36.8%/複勝率47.4%/単回収率57%/複回収率74%

・前走6〜9着【2-2-3-2】
勝率22.2%/連対率44.4%/複勝率77.8%/単回収率63%/複回収率222%

・2200m以上のGⅠ勝ち馬
【1-2-1-8】勝率8.3%/連対率25.0%/複勝率33.3%/単回収率9%/複回収率41%
※2020年以降／夏競馬＝7～9月開催の芝GⅡ、GⅢ戦

■芝1200m重賞
最も狙うべきは、ずばり“スプリント戦”だ。勝率こそ低めだが複回収率は124%とプラス域をマーク。2024年セントウルステークス（GⅡ）で2着に好走したママコチャが4番人気だったように、斤量や状態面で嫌われてお得なオッズで買えることもある。

■牝馬
「夏は牝馬」という格言はGⅠ馬にも当てはまる。牡馬・セン馬が【1-4-5-19】勝率3.4%となかなか勝ちきれていないのに対し、牝馬は【4-3-2-10】勝率21.1%と素晴らしい成績を残している。

特に札幌記念では【2-1-1-2】勝率33.3%、複勝率66.7%で単回収率125%、複回収率85%とGⅠ勝利歴のある牝馬は抜群の安定感を発揮している。ステレンボッシュにとっては心強いデータだ。

■前走6〜9着
前走の着順に注目すると、「6～9着」だった馬が複勝率77.8%、複回収率222%と妙味たっぷりの成績だ。前走5着以内も【3-3-3-15】複勝率は37.5%あるが、複回収率は60%止まり。戦績の見栄えが良いと妙味がなくなってしまう。

一方、前走10着以下も【0-1-1-12】複勝率14.3%、複回収率31%と苦戦傾向。着順が良すぎても悪すぎてもダメ、というのがポイントだ。

■2200m以上のGⅠ勝ち馬
こちらはマイナスデータ。夏競馬の重賞はほとんどが2000m以下で行われるため、ペースも夏競馬独特のものになりやすい。例えば、札幌記念は中盤が緩まない淡々としたペースが刻まれやすく、1600〜1800mに近い追走力が求められる。

中盤のペースが緩みやすい2200m以上のレースを勝ってきた馬は、この夏競馬独特のペースと相性が悪く、2020年以降ではわずか4頭しか馬券に絡むことができていない。

しかも、その4頭はコントレイルにタイトルホルダー、ラッキーライラック、ラヴズオンリーユーといずれも国内外のGⅠで計3勝以上を挙げた超一流馬であり、勝ち切ったのは2020年の神戸新聞杯で単勝1.1倍の支持に応えたコントレイルのみである。思い切って“取りこぼし”に期待するのは、馬券の作戦として大いにアリだ。

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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