活躍馬多数「オルフェーヴル×キングカメハメハ」から新星候補がまた一頭 血統で見抜く新馬の力

貴シンジ

2025年8月9日(土)札幌5R出走予定 ボッチョの血統分析,ⒸSPAIA

今週デビュー予定の注目新馬

出走する全馬が初出走となる「新馬戦」は、他のレースと予想のアプローチが全く異なる。調教で能力を見定める方法もあるが、実戦で同様の走りができるかは未知数だ。

従って、血統面からのアプローチが他のレースに比べて格段に有効となる。そこで今回は血統のなかでも“牝系”にフォーカスして、今週デビュー予定の2歳新馬のなかからピックアップした2頭を解説。デビュー戦の展望はもちろんのこと、血統から想定できる潜在能力や将来性についても深掘りしてみたい。


8/9(土)札幌5R・芝1800m ボッチョ

2025年8月9日(土)札幌5R出走予定 ボッチョの血統分析,ⒸSPAIA



日本での牝祖は祖母レディオブヴェニス。同馬は現役時アメリカの芝マイルから中距離路線で活躍した馬で、キャッシュコールマイル招待ステークス(GⅡ・芝8F)など重賞を3勝した実績馬だ。

ボッチョの5代母にあたるVeruschkaも繁殖として優秀で、サンタバーバラハンデキャップ(GⅠ・芝10F)勝ちのThe Very One(父One for All)、フランス2000ギニーなどGⅠを計5勝したSoviet Star(父Nureyev)という2頭のGⅠ馬を違う種牡馬との間に輩出している。

ファミリーには末脚が切れる馬が多く、芝適性の高さと柔らかい走りが特徴。近親には2013年京成杯2着アクションスター(父アグネスタキオン)や、2019年中山牝馬ステークス3着アッフィラート(父ディープインパクト)、JRA通算5勝のヴェネト(父ディープインパクト)など多数の活躍馬がいて、牝系の活力は十分だ。

ボッチョの母ブラーノは競走馬としては未勝利に終わったが、産駒からは現3歳のクモヒトツナイ(父アルアイン)がJRAで勝利を挙げている。そして本馬は父にオルフェーヴルを迎えた。

母ブラーノはキングカメハメハの産駒で、オルフェーヴル×キングカメハメハの組み合わせといえば、2021年日経新春杯勝ち馬ショウリュウイクゾや2020年ステイヤーズステークス2着のタガノディアマンテなど、芝の活躍馬を多数輩出している。スタミナ豊かな配合で、スローペースになりやすい新馬戦で能力通りの末脚を発揮できれば初戦から勝ち負けだ。

<血統から想定できる潜在能力>
・馬場適性:芝
・距離適性:1800~2600m/ベスト2000m
・能力:スピードS/瞬発力S/パワーA/持久力A
・同タイプ:ラッキーライラック
・特徴:柔らかい走り/瞬発力◎
※持久力=スピードの持続力


8/10(日)新潟2R・芝1800m アッシズオブローズ

2025年8月10日(日)新潟2R出走予定 アッシズオブローズの血統分析,ⒸSPAIA


日本での牝祖は5代母ローザネイ。4代母ロゼカラーを根幹として活躍馬を多数輩出している“バラ一族”の一頭で、ローズキングダムやスタニングローズなどが近親にいる。

バラ一族といえば末脚が切れるタイプが多いが、祖母ローザブランカの分岐はクロフネの影響を非常に強く受けており、前々で競馬をして粘りこむ馬が多い。また、器用なタイプが多く、操縦性も高いので早期から活躍する傾向がある。スタミナもあり、芝の中距離以上が主戦場だ。

本馬は父にアドマイヤマーズを迎えた。その父ダイワメジャーも粘り強さに長けた馬を多く輩出していて、本馬も長く良い脚を使えるタイプとみる。

胴伸びも良く、現時点で完成度も高い。実戦向きの血統で、調教の動き以上の期待をしてよいだろう。瞬発力で勝負するような配合ではないためある程度ポジションを取るか、道中動いて持続性能の高さで押し切りたい。

<血統から想定できる潜在能力>
・馬場適性:芝
・距離適性:1800~2000m/ベスト1800m
・能力:スピードS/瞬発力B/パワーS/持久力S
・同タイプ:レシステンシア
・特徴:末脚の持続力◎/早熟
※持久力=スピードの持続力

《ライタープロフィール》
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか「競馬王」など商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。

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