【レパードS】1勝クラス勝ち上がり時期で明暗くっきり 東大HCの本命はジャナドリア

東大ホースメンクラブ

レパードSのプラス条件(過去10年)

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今後を占う3歳ダート重賞

新潟競馬場でGⅢ・レパードSが行われる。雲取賞1着、羽田盃3着のジャナドリアやUAEダービー3着のドンインザムード、皐月賞9着からダート転向で臨むヴィンセンシオ、古馬を交えての2勝クラスを勝利したルグランヴァンやロードラビリンスなど15頭が出走予定だ。

昨年から勝ち馬にジャパンダートクラシックの優先出走権が付与されることとなった。そして昨年優勝馬ミッキーファイトはそのJDCを2着とした後、今年に入ってフェブラリーS3着、帝王賞1着とダートの第一線を走っている。今年もこのような活躍馬が現れるだろうか。過去10年のデータから検討する。

早くから活躍した馬を

レパードSの条件別成績,ⒸSPAIA


<レパードS 条件別成績>
JRAダートOP以上勝利経験あり
【4-1-2-6】勝率30.8%/連対率38.5%/複勝率53.8%
ダート2歳1勝クラス勝利
【2-2-3-7】勝率14.3%/連対率28.6%/複勝率50.0%
上記のうち、当レース1番人気
【2-1-1-1】勝率40.0%/連対率60.0%/複勝率80.0%

この時期の3歳ダート重賞とあって、例年通り条件戦を勝ち抜いてきた馬の出走も多く、力関係の比較が難しい。そこでダートでの過去実績別に好走馬の傾向を探っていく。

まずJRAのダートオープンクラス以上で勝利経験がある馬は【4-1-2-6】と半数以上が馬券圏内に好走していて、単勝回収率632%、複勝回収率148%だ。17年に11番人気ローズプリンスダムが勝利したことで回収率が跳ね上がった面もあるが、それを除いても単勝回収率は132%ある。今年は青竜Sを勝ったポールセン、鳳雛Sを勝ったハグが候補に挙がる。

出走馬の大半にあたる136頭にはダート1勝クラスで勝った実績があった。その勝利までに1勝クラス(JRAのダート戦)で何戦を要したかで分類してみる。

1戦で1勝クラスを突破した馬は【3-5-6-32】複勝率30.4%。以下、2戦【1-2-1-26】同13.3%、3戦【4-0-3-20】同25.9%、4戦【2-2-0-13】同23.5%、5戦以上【0-0-0-16】。4戦までは減点材料にならない。

今回のメンバーだと、ダート1勝クラスで5戦以上要した馬はサノノワンダー、タガノマカシヤ、ロードラビリンスだ。また、シンビリーブはJRAの1勝クラスを4戦+川崎の交流競走勝利で実質5戦だった。

より大事なのは1勝クラスを勝ち上がった時期。2歳時に1勝クラスを勝利した馬は【2-2-3-7】の好成績で、レパードSで1番人気なら【2-1-1-1】と特に安定している。ジャナドリア、ポールセンを後押しするデータとなる。

逆に直前期、古馬を交えての1勝クラス(≒3歳6月以降)勝利だと【0-1-3-34】複勝率10.5%と大苦戦。「3歳1勝クラス」と「3歳以上1勝クラス」のレベルの差が如実に表れている。今年はチュウジョウが該当する。

また、「3歳1勝クラス」を勝った馬も、その時期別で見ると1~3月【6-4-2-33】複勝率26.7%、それ以降【2-2-2-33】同15.4%。早く勝利した馬の方がやはり優勢だった。

2勝クラス実績についても確認する。前走2勝クラス組は【2-2-2-36】複勝率14.3%。前走1勝クラス【0-3-2-32】同13.5%と複勝率はあまり変わらない。勝ち馬に限っても【2-1-1-18】同18.2%とそこまで上がらず、どちらかというと前走1番人気【1-1-2-10】同28.6%の方が信頼できそうだ。

前走1番人気1着、東京ダート1600mを1分34秒4の好タイムで走破したルグランヴァンを推すにとどめる。

最後にヴィンセンシオについて検討する。芝で勝利経験がある馬は全体で【2-1-0-9】。といっても好走3例のうちハヤヤッコとローズプリンスダムはダートでも勝利経験があった。

ダート初挑戦で結果を残したのは15年のダノンリバティ(2着)のみで、同馬はおじにサカラート、ヴァーミリアン、ソリタリーキングらダート重賞勝ち馬が名を連ねる血統だった。このような加点材料がないヴィンセンシオに高い評価はつけづらい。

実績最上位で

◎ジャナドリア
半兄にダートのオープン2勝、重賞3着2回のコンシリエーレがいる血統。2歳夏にデビューすると新馬戦、1勝クラスを連勝。特に1勝クラスは上がり3ハロンが37秒9。2着馬より1秒4も速かった。負かした相手も強く、新馬戦は6頭が勝ち上がって2着ピカピカサンダーは1勝クラスも勝利。1勝クラスで破った2着馬ベリタバグスはユニコーンS4着だった。

その後は交流重賞を使い、雲取賞1着、羽田盃3着。羽田盃で先着されたナチュラルライズとナイトオブファイアは東京ダービーでもそれぞれ1、4着だった。実績はメンバー最上位と言って差し支えない。鞍上の戸崎圭太騎手は過去10年の当レースで【2-2-1-2】。軸として信頼できる。

◯ポールセン
こちらも2歳時に1勝クラスを勝利している。その後OP2戦は4着に敗れたが、バイオレットSは差し馬が上位独占する中、3番手からよく粘っていて評価できる。前走は逃げて新味を発揮。2着馬プロミストジーンの出遅れにも助けられているものの、3着馬とは0秒3差をつけた。

レパードSも逃げ馬が【2-2-2-4】と前有利。さらなる距離延長が不安材料とはなるが、逃げきっても不思議はない。

▲ドンインザムード
3歳1月の1勝クラスを勝利。当時の3、7、8、9着馬が1勝クラスを勝ち上がり、2頭が2勝クラスまで突破している(11着シンビリーブも川崎の交流競走を勝って2勝クラス3着)。ヒヤシンスSではルクソールカフェ、プロミストジーンに次ぐ3着、UAEダービーでも3着と健闘した。

前走の2勝クラス6着は差し有利だったことを考えても物足りない結果ではあるが、帰国初戦で本調子でなかったか。2走前までの力を考えればこのメンバーでは上位。前走の敗戦で妙味が増すことも踏まえ、狙ってみたい。

以下ニューファウンド、ヒルノハンブルク、ルグランヴァンまで印を回す。馬券は◎軸の馬連で勝負する。

▽レパードS予想▽
◎ジャナドリア
◯ポールセン
▲ドンインザムード
△ニューファウンド
×ヒルノハンブルク
×ルグランヴァン

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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