逃げ先行が複勝率40%超、前に行ける馬を狙うのが鉄則 新潟ダ1800mを徹底検証

東大ホースメンクラブ

新潟ダ1800mのコースレイアウト,ⒸSPAIA

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夏の新潟名物・3歳限定ダート重賞

今週は新潟ダート1800mを舞台に、3歳馬限定の重賞レパードステークス(GⅢ)が行われる。昨年の覇者ミッキーファイトは今年の帝王賞を制するなど、今や現役屈指のダートの強豪へと飛躍を遂げた。

そのミッキーファイトに続かんと、雲取賞(JpnⅢ)の勝ち馬でダート三冠初戦の羽田盃(JpnⅠ)でも3着に好走したジャナドリアが登場。ほかにも今回が初ダートとなる弥生賞2着馬ヴィンセンシオや、前走の2勝クラス戦でユニコーンSの3着馬メイショウズイウンとのマッチレースを制し、3着には4馬身差をつけたロードラビリンスなど、今年も楽しみなメンバーが揃った。

新潟ダート1800mを舞台に行われる重賞はレパードSのみだが、条件戦を中心に施行回数は多い。今回はコースの特徴をデータで分析していく。なお、使用するデータは特記がない限り2020年8月8日~2025年8月3日の過去5年分とする。

データ分析の前に、まずはコースの特徴をみていく。ホームストレッチをスタート地点とし、1コーナーまで約400mのポジション争いが行われる。向正面の直線を400mほど走り、カーブのきついコーナーを通過。ラストは353.9mの直線で勝負が決する。直線は平坦で、コース全体としても起伏の少ないコースだ。


中枠有利、レパードSは内枠注意

新潟ダ1800m枠別成績,ⒸSPAIA


<新潟ダ1800m・過去5年の枠別成績>
1枠【23-23-23-333】
勝率5.7%/連対率11.4%/複勝率17.2%/単回収率81%/複回収率54%
2枠【42-36-55-507】
勝率6.6%/連対率12.2%/複勝率20.8%/単回収率75%/複回収率69%
3枠【46-52-51-530】
勝率6.8%/連対率14.4%/複勝率21.9%/単回収率77%/複回収率74%
4枠【50-55-48-566】
勝率7.0%/連対率14.6%/複勝率21.3%/単回収率63%/複回収率82%
5枠【74-62-52-555】
勝率10.0%/連対率18.3%/複勝率25.3%/単回収率77%/複回収率78%
6枠【60-52-59-593】
勝率7.9%/連対率14.7%/複勝率22.4%/単回収率109%/複回収率79%
7枠【51-60-50-629】
勝率6.5%/連対率14.1%/複勝率20.4%/単回収率95%/複回収率80%
8枠【59-63-66-610】
勝率7.4%/連対率15.3%/複勝率23.6%/単回収率58%/複回収率78%

枠別成績では1〜3枠が複勝率20.4%、4〜6枠が複勝率23.0%、7〜8枠が複勝率22.0%と中枠が優勢だ。

新潟のダートコースはコーナーが急であるため、内枠はごちゃつきやすく、外は外で距離ロスを受けやすいというマイナス材料がある。特に1枠は唯一複勝率が20%を下回っており、割引が必要だ。

レパードSの過去10年データでも、1〜3枠【4-1-4-39】複勝率18.8%、4〜6枠【4-5-5-46】同23.3%、7〜8枠【2-4-1-33】同17.5%と、中枠有利の傾向は一段と強くなる。

ただし、妙味の面では1〜3枠が単回収率213%と優秀な成績。内枠に入った馬の激走には要警戒だ。一方、8枠も【2-3-0-15】単回収率122%、複回収率145%と好成績。まだまだ経験の浅い3歳馬は砂被りを嫌がる馬も少なくなく、そのリスクが減るという点で8枠の恩恵は大きい。


新潟ダートはとにかく前!

新潟ダ1800m脚質別成績,ⒸSPAIA


<新潟ダ1800m・過去5年の脚質別成績>
逃げ【81-60-51-275】
勝率17.3%/連対率30.2%/複勝率41.1%/単回収率262%/複回収率127%
先行【227-217-175-706】
勝率17.1%/連対率33.5%/複勝率46.7%/単回収率142%/複回収率145%
差し【70-102-148-1747】
勝率3.4%/連対率8.3%/複勝率15.5%/単回収率35%/複回収率62%
追込【15-13-22-1552】
勝率0.9%/連対率1.7%/複勝率3.1%/単回収率21%/複回収率18%
マクリ【12-11-8-33】
勝率18.8%/連対率35.9%/複勝率48.4%/単回収率388%/複回収率166%

脚質別成績では、逃げと先行がどちらも複勝率40%以上を記録しているのに対して、差しと追込は複勝率20%以下。妙味の面でも逃げ・先行がともにプラス域で、差し・追込はともに単回収率40%以下となっている。

新潟ダートはコースの形状から後方脚質の馬にとって厳しく、とにかく4コーナーで前方にいることが重要であるため、マクリ戦法も有効だ。逃げや先行と同様に複勝率は40%超で、単回収率も300%オーバー。「新潟ダートは前」、これを肝に銘じておこう。

過去10年のレパードSでも、逃げ【2-2-2-4】複勝率60.0%、複回収率312%と先行【5-6-3-21】複勝率40.0%、複回収率119%が優秀。やはり前有利の傾向が強く、どの馬が前に行けるかを主軸に予想を組み立てるべきだろう。


侮れないドゥラメンテ

新潟ダ1800m種牡馬別成績,ⒸSPAIA


<新潟ダ1800m・種牡馬別成績>
キズナ【16-11-11-80】
勝率13.6%/連対率22.9%/複勝率32.2%/単回収率78%/複回収率69%
オルフェーヴル【9-4-3-31】
勝率19.1%/連対率27.7%/複勝率34.0%/単回収率92%/複回収率78%
ドゥラメンテ【12-11-7-71】
勝率11.9%/連対率22.8%/複勝率29.7%/単回収率74%/複回収率93%
※集計期間:2020年8月8日~2025年8月3日

■キズナ
先行粘りこみを得意とする産駒が多く、先行天国の新潟ダート1800mは絶好の舞台。前走で4コーナー5番手以内だと【10-4-8-28】で単回収率121%を記録している。

また、妙味の面では牝馬よりも牡馬が優勢。牝馬【5-4-5-32】勝率10.9%、単回収率32%に対し、牡馬・セン馬は【11-7-6-44】勝率16.2%、単回収率113%を記録している。

■オルフェーヴル
こちらは前走芝からのダート替わりに要注目。【3-2-1-12】複勝率33.3%、複回収率157%とベタ買いするだけでプラスだ。

また、外枠を得意とする産駒が多いのも特徴で、6〜8枠では【9-4-3-31】で勝率19.1%、単回収率187%をマーク。こちらも積極的に狙っていきたい。

■ドゥラメンテ
こちらはダート替わりよりも、継続してダートを使われている産駒が狙い目。前走ダートの馬は【9-10-7-42】複勝率38.2%、複回収率124%と素晴らしい成績を残している。

また、妙味の面では外枠に入った馬が狙い目。1〜4枠では勝率10.0%、単回収率20%なのに対して、5〜8枠では勝率13.1%、単回収率109%と大きな差が生まれている。

章の最後に、今週末のレパードSで上位人気が予想される有力馬の種牡馬も見てみよう。ヴィンセンシオの父リアルスティールは【4-1-4-34】勝率9.3%、単回収率49%となっている。

ジャナドリアが該当するゴールドドリーム産駒は【1-0-0-7】とややサンプルが少ないが、勝率12.5%で単回収率16%と成績。ロードラビリンスが該当するミッキーアイル産駒は【1-2-0-27】で勝率3.3%、単回収率7%だった。

なお、今年のレパードSにキズナ産駒、オルフェーヴル産駒、ドゥラメンテ産駒の登録馬はいない。


外枠の斎藤、内枠の丸山

新潟ダ1800m騎手別成績,ⒸSPAIA


<新潟ダ1800m・騎手別成績>
斎藤新【16-10-5-88】
勝率13.4%/連対率21.8%/複勝率26.1%/単回収率100%/複回収率69%
戸崎圭太【15-7-9-46】
勝率19.5%/連対率28.6%/複勝率40.3%/単回収率93%/複回収率73%
丸山元気【12-6-11-79】
勝率11.1%/連対率16.7%/複勝率26.9%/単回収率103%/複回収率123%

■斎藤新
名だたるトップジョッキーをおさえ、騎手別最多16勝を挙げている。狙い目は外枠に入った時で、1〜4枠【5-5-1-45】勝率8.9%、単回収率45%に対して、5〜8枠は【11-5-4-43】勝率17.5%、単回収率150%の好成績となる。

■戸崎圭太
複勝率40%オーバーと素晴らしい安定感を発揮している。なかでも上級条件での信頼度が高く、3勝クラスで【2-0-0-4】勝率33.3%、単回収率416%を記録。また、レパードSでは【1-1-1-0】と3回騎乗して馬券外なし。昨年のミッキーファイトでの勝利が記憶に新しいところだが、一昨年もオメガギネスで2着と2年連続で好走している。

■丸山元気
このコースでは単複回収率100%超、見かけたらベタ買いでOKだ。全体成績が落ち込んでいる内枠でも関係なく結果を残しているのが特徴で、1〜3枠【4-2-3-27】勝率11.1%、単回収率145%をマーク。丸山騎手に関しては内枠でこそ狙っていきたい。

<レパードSの騎乗予定>
斎藤新騎手:ポールセン
戸崎圭太騎手:ジャナドリア
丸山元気騎手:チュウジョウ

なお、ヴィンセンシオに騎乗予定のC.ルメール騎手は【8-7-1-8】勝率33.3%、単回収率65%をマーク。ロードラビリンスに騎乗予定の川田将雅騎手は【5-2-3-14】勝率20.8%、単回収率55%となっている。


新潟ダ1800mのコースデータ,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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