【アイビスSD】重賞勝ち馬コラソンビート、昨年2着馬ウイングレイテストは消し ハイブリッド式消去法

久保田大五郎

過去10年のアイビスSD『前走OP・L』×『前走が韋駄天S以外』の成績,ⒸSPAIA

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5つのデータから絞れた馬は?

今週は新潟名物の「直線競馬」で行われる重賞、アイビスサマーダッシュを予想する。いつも通り過去10年のデータを用いて、複勝率10%未満の「凡走データ」を5つピックアップ。当てはまった馬を消していく。

今回は特別登録馬のうち、除外対象のオリアメンディ、シュラフ、マジカルガールを除いた18頭を対象とする。

『6歳以上』×『前走0.5秒差以上で負け』★1.8%★

まずは年齢別成績から。アイビスSDは若い馬の好走率が高く、5歳以下【8-7-6-62】複勝率25.3%に対し、6歳以上は【2-3-4-74】同10.8%。出走数はどちらも83頭でぴったり同じだが、勝利数と3着内数には大きな開きがある。

その6歳以上のうち、前走で0.5秒差以上負けていた馬は【0-1-0-56】同1.8%。好走例は「千直の王」ことライオンボス6歳時の2着だけ。これを最初の消去データとして採用する。

今年の該当馬は以下の7頭。昨年2着のウイングレイテストだが、函館SS2着から臨んだ当時と違い、今年は同11着からの参戦。年齢的な能力ダウンは相応にあるだろう。

【今年の該当馬】
・ウイングレイテスト
・キタノブレイド
・クムシラコ
・シロン
・デュガ
・ニシノコニャック
・ファロロジー

『前走OP・リステッド』×『前走が韋駄天S以外』★5.1%★

続いて前走クラスに着目。前走がOPまたはリステッドだった馬(※「重賞」格付け時代の葵S除く)は【4-7-3-72】複勝率16.3%と一見、悪くない成績に見える。

ところが内訳をチェックすると、好走例のほとんどは同じ千直の韋駄天S組【4-7-1-35】に偏っており、それ以外のOP・リステッド組は【0-0-2-37】で複勝率5.1%と苦戦していた。

ここでは新たに5頭が消去となった。典型的な前残り決着だった安達太良Sの1~4着がエントリーしてきたが、4頭まとめて消す。

【今年の該当馬】
・エランティス
・カルロヴェローチェ
・(キタノブレイド)
・(クムシラコ)
・コラソンビート
・ショウナンハクラク
・(デュガ)
・(ファロロジー)
・ブーケファロス

『前走が条件戦』×『前走8着以下』★0.0%★

続いても前走クラスに関するデータ。このレースでは千直適性を見込んだ条件馬が果敢に格上挑戦してくるケースも珍しくない。実際、2021年に前走2勝クラス7着から臨んだバカラクイーンが14番人気3着と大穴を開けた例もある。

とはいえ、そのバカラクイーン以外に条件戦大敗馬の好走はなく、前走条件戦で8着以下の馬は【0-0-0-16】とさすがに全滅だった。

ここでは釜山S10着のスコーピオンが消える。3走前には千直の2勝クラスを勝っており、まさに舞台適性を見込んだ出走となるが、根本的に能力が足りないだろう。

【今年の該当馬】
・スコーピオン

『父ノーザンダンサー系』×『馬番1~9番』★0.0%★

3つのデータを終えた時点で残りは5頭。ここからはアイビスSDで無視できない「枠順」と「当日人気」のデータを用いてさらに絞り込む。

まずは血統と枠順の組み合わせ。父がノーザンダンサー系の馬は過去10年で【1-2-2-33】複勝率13.2%と振るわない。さらに不利な内枠、馬番1~9番を引いた馬は【0-0-0-18】と馬券に絡んでいなかった。

残っている馬のうち、父がノーザンダンサー系なのはアジアエクスプレス産駒のピューロマジック。スタートダッシュが抜群に速い馬で千直はいかにも合いそうだが、馬番次第で消去対象だ。

【今年の該当候補】
・ピューロマジック

『前走ブリンカー着用』×『当日4番人気以下』★0.0%★

最後はブリンカー着用歴と当日人気を掛け合わせる。このレースでは「前走時にブリンカーを着けていた馬」が【0-1-1-19】複勝率9.5%、複勝回収率17%と低調で、好走2例はどちらも3番人気以内の人気馬だった。つまり当日4番人気以下なら【0-0-0-18】だ。

残った馬のなかで、前走ブリンカー着用だったのはカフジテトラゴン。人気が微妙なところだが、外枠を引けば3番人気以内に入ってくる可能性があり、こちらの取捨も事実上は枠順次第となる。

【今年の該当候補】
・カフジテトラゴン

5つの消去データを終えて確実に残るのはテイエムスパーダ、ニシノトキメキ、モズメイメイの3頭。ピューロマジックが枠順次第、カフジテトラゴンが人気次第で残って最大5頭の布陣だ。

最も死角が少ないのはテイエムスパーダ。前走の韋駄天Sは牝馬56kgの実質トップハンデタイを背負って3馬身差の完勝だった。3歳でCBC賞勝ち、4歳でセントウルS勝ち、そして昨年は当レース3着と夏場は得意な馬で、季節的にも申し分ない。

穴で面白いのはニシノトキメキ。初めて千直を使った前走は逃げて上がり最速の圧勝。勝ち時計54.6秒は今年行われた千直のなかでは最速タイム、昨年の当レースよりも0.7秒速かった。一気の相手強化でも軽視は禁物だ。

《ライタープロフィール》
久保田大五郎
競馬歴14年目のアラサーおじさん。データを駆使した予想でロマン馬券を狙う。趣味は料理とプロ野球観戦。横浜DeNAベイスターズの大ファンで、好きな選手は宮﨑敏郎。

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