【アイビスSD】「複勝率57.1%」韋駄天S覇者テイエムスパーダが最有力 昨年の勝ち馬モズメイメイは大敗からの巻き返し期す
勝木淳

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どうしても欲しい外の偶数馬番
今年から新潟2週目の開催に移ったアイビスサマーダッシュは日本一クセの強い重賞といって過言ではない。過去10年で馬番9番以内【3-3-4-80】、10番から外【7-7-6-56】と外枠でないと勝負にならない。また奇数馬番【3-5-7-67】、偶数馬番【7-5-3-69】と勝つには10番より外の偶数枠が必要だ。
後入れの偶数枠がいいのは一般的に知られた話だが、アイビスSDは特に顕著だ。それだけスタート後のポジション争いが重要だ。一方で大外枠は【0-1-0-8】(取消1)と実は凡走へのフラグだったりもする。
8枠注目のレースだが、大外はダメなどクセが強い。おそらく外ラチ沿いに先行勢が殺到するため、大外枠は完璧なダッシュ力で前に出ないと壁に阻まれる。いかにスムーズに絶好の状態を保つ外ラチ沿いをとれるか。その一点集中でもいい。だが、それを読むのが難しい。2週目にスライドしても傾向は変わらないだろう。
ここからは過去10年のデータを確認しながらアイビスサマーダッシュを展望する。

人気別成績では1番人気が【5-2-0-3】勝率50.0%、複勝率70.0%と抜けているものの、2番人気は【1-5-0-4】勝率10.0%、複勝率60.0%と勝ち馬という点では一気に混戦。3番人気【1-1-1-7】勝率10.0%、複勝率30.0%など、9番人気【1-1-2-6】勝率10.0%、複勝率40.0%までは横並びだ。10番人気以下は【0-0-3-73】複勝率3.9%と人気薄の激走は3着まで。範囲は広いが1番人気を中心に9番人気以内から候補を探していこう。

年齢の中心は3歳【1-1-1-6】勝率11.1%、複勝率33.3%、4歳【3-1-0-22】勝率11.5%、複勝率15.4%など若い組。一方で出走数が多く、好走確率では高く出ないが、5歳【4-5-5-34】勝率8.3%、複勝率29.2%も中心視していい。
もうひとつ、7歳以上【2-1-1-36】勝率5.0%、複勝率10.0%とベテランも奮闘する。スピード一辺倒では勝てず、最後にレース経験がモノをいうケースも頭に入れておこう。
前走大敗モズメイメイもチャンスあり
昨年の勝ち馬モズメイメイや快足ピューロマジック、韋駄天Sを勝って再浮上を遂げたテイエムスパーダなど牝馬が強力。牝馬は【8-5-6-66】勝率9.4%、複勝率22.4%。夏の牝馬はここでも目を離せない。

前走クラス別では、GⅠ、GⅡ【0-0-0-5】に対し、GⅢ【5-1-3-31】勝率12.5%、複勝率22.5%。夏の重賞は格より勢いといったところか。とはいえ、GⅢ組はCBC賞が【3-0-1-14】勝率16.7%、複勝率22.2%と大半を占める。今年のCBC賞は当レースから1週間後。開催が入れ替わったため、使えない。
ただし、今年と似たスケジュールだった昨年は北九州記念が【1-0-1-3】勝率20.0%、複勝率40.0%。直近のサマースプリント重賞は注目に値する。今年、該当するのはモズメイメイ。15着大敗は気になるが、昨年3着のテイエムスパーダは北九州記念18着だった。反転する可能性は残されている。

前走オープン・L【5-8-3-73】勝率5.6%、複勝率18.0%は韋駄天S【4-7-1-35】勝率8.5%、複勝率25.5%が中心。着順の傾向をみると、1着【1-2-1-3】勝率14.3%、複勝率57.1%など好走が条件で、4着以内に絞ると【4-6-1-15】、5着以下は【0-1-0-20】となる。今年はテイエムスパーダ(1着)が候補。外の偶数枠を引いたら、中心視してもいい。
前走条件戦【0-1-4-26】複勝率16.1%については、前走新潟芝1000mだと【0-0-0-3】。同条件好走は評価したいところだが、実際は結果が出ていない。駿風S2着カフジテトラゴンは新潟の直線でオープン好走歴もあり適性上位だが、昨秋ルミエールAD(2着)のレースレベルも冷静に考えないといけないだろう。

《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『オルフェーヴル伝説 世界を驚かせた金色の暴君』(星海社新書)に寄稿。
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