【関屋記念】人気馬に後方脚質多数もデータからは前残り警戒 東大HCの本命はダイシンヤマト

東大ホースメンクラブ

関屋記念 脚質別複勝率

ⒸSPAIA

今年はハンデ戦での施行

日曜日、新潟競馬場でGⅢ・関屋記念が行われる。春の東京マイルGⅠで2番人気に推された実力馬イミグラントソングとボンドガールや、前走府中牝馬S2着のカナテープなど、フルゲート18頭が出走予定だ。

今年からハンデ戦での施行となるこのレース。新潟マイルでハンデ重賞が行われるのは新潟代替だった2014年京成杯AH以来、11年ぶりとなる。イミグラントソングの55.0キロ、ボンドガールの56.0キロが頭を悩ませる要素となりそうだ。過去10年のデータから検討する。

前有利、2桁人気の激走も

関屋記念の脚質別成績,ⒸSPAIA


<関屋記念 脚質別成績>
逃げ
【3-2-1-4】勝率30.0%/連対率50.0%/複勝率60.0%
前走先行、当レース5番人気以内
【3-1-3-6】勝率23.1%/連対率30.8%/複勝率53.8%
同年芝1600mのOP以上で先行して5着以内
【6-4-2-21】勝率18.2%/連対率30.3%/複勝率36.4%

直線が長い新潟外回りの重賞であり、2020年にはサトノアーサーが4角17番手から差し切り、昨年はジュンブロッサムが同16番手から3着に入った。しかしそれらは少数派。脚質別では逃げが【3-2-1-4】で半数が連対。その平均人気は7.8番人気と人気馬が特段多かったわけでもなく、2桁人気の激走例もある(22年シュリ12番人気2着)。

次いで先行馬が【2-4-4-27】複勝率27.0%で、差し追込の同12.2%に比べて倍以上の差がついている。前走脚質で見ても、逃げ先行馬の複勝率が約25%なのに対し、差し追込は約16%となっている。

また、「同年芝マイルのOP以上で5着以内がある馬」の出走は81例あるが、その5着以内に入った際が先行だった馬は【6-4-2-21】。そのうち当レースで8番人気以内だと【6-4-2-8】複勝率60.0%、3番人気以内だと【4-0-0-0】とパーフェクトだ。一方、5着以内時の脚質が差しだと【2-3-4-28】複勝率24.3%、3番人気以内でも【1-1-2-3】。追込なら【1-2-2-18】複勝率21.7%、3番人気以内【1-0-0-5】とここでも差がついている。

人気馬のなかで、今年マイルのOP以上を先行して掲示板に載った馬となるとダイシンヤマトが合致する。一方のボンドガール、イミグラントソングにも先行した経験はあるが、直近で5着以内に入った際は中団以降から差す競馬だった。

これは上がり馬についても同じことが言える。「同年芝の3勝クラスを勝った馬」もその際の脚質で分けると先行【1-2-1-7】、差し【1-0-3-8】、追込【0-1-0-8】だった。2走前の3勝クラス勝ちが1800m戦で4角10番手からの差し切り勝ちだったカナテープ、差し馬で1600mも久々となるレガーロデルシエロは嫌いたい。

人気馬に後方脚質が多くハンデ戦でもある今年は、例年以上に前残りを警戒して取捨選択することが求められる。

1年以上掲示板内キープ、前走も前目で好走

◎ダイシンヤマト
1勝クラス、2勝クラスで足踏みしたものの、23年11月を最後に掲示板は外しておらず、大崩れしないタイプ。今年に入ってからさらにパワーアップし、2、3勝クラスを連勝。着差もそれぞれ0秒4、0秒2と完勝だった。久しぶりの重賞挑戦となったしらさぎSは3着とクビ差の4着。比較的外の方が良かった馬場で内目を通ったことを考えればケチをつける負け方ではない。

関屋記念では前走米子S(現しらさぎS)組が直近3年連続で馬券圏内に好走しており、特に昨年はワンツーだった。他の重賞実績馬が重ハンデのなか、こちらは56.0キロなのも高評価。先行して粘り切れる。

◯イミグラントソング
レコード決着だったひいらぎ賞で2着、NZTで2歳王者のアドマイヤズームを破るなど同世代の中で好成績を残していた馬。NHKマイルCでは先行策を選択、結果は前半1000m56秒4の展開に泣き11着大敗だったが、新味は見せた。

NZTの勝ち時計は1分32秒4、同日ダイシンヤマトが制した古馬3勝クラスよりも0秒2速かった。今回3歳牡馬での55.0キロは重いが、当時と同じくダイシンヤマトよりは1キロ軽く、そこまで悲観する必要はない。元々差し馬であり、先行しない懸念はあるが、能力ではこちらが上かもしれない。

▲アルセナール
半姉にマイルCS勝ち馬ナミュールや重賞2勝馬ラヴェルを持つ良血馬。古馬重賞は初挑戦だが、3歳時にクイーンC2着(勝ち馬はヴィクトリアマイル2着のクイーンズウォーク)や、NHKマイルCで上がり最速を出した実績がある。3勝クラスで苦戦したが、徐々に力をつけて着順を上げ、ポジションも取れるようになった。53.0キロを生かして立ち回れば残るだけの力は持っている。

以下ボンドガール、シヴァース、フォーチュンタイムまで印を回す。馬券は◎の単勝と、◎◯-6頭の馬連で勝負する。

▽関屋記念予想▽
◎ダイシンヤマト
◯イミグラントソング
▲アルセナール
△ボンドガール
×シヴァース
×フォーチュンタイム

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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