【東海S】2番人気以内が複勝率77.8%と堅実 “ダート無敗”ビダーヤが重賞制覇へ視界良好
勝木淳

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4歳主力も外せないベテラン勢
プロキオンSと入れ替わることで、夏のGⅢに変わった東海Sが6週間に渡る中京開催の開幕を告げる。早くも夏競馬は後半戦に突入し、中京と新潟では暑熱対策が入って、開催日は長い1日になる。
メインレースのレース時間は変わらないが、レース番号は7。まだ5レースも後ろに残っている。いつもの感覚で大勝負はメインと張り切ってしまうと、夕暮れの頃にはヘロヘロになりかねない。変則的なスケジュールへの対応力も問われることになる。
ここからは夏の中京ダート1400mで行われたプロキオンS9回分(2012年以降)のデータを使用して、東海Sを展望する。
データは中京のダート1400m重賞はこれひとつ。GⅠが組まれるダート1800mと比べると、オープン競走も少なく、ちょっとつかみにくいコースだ。芝コース2コーナーから引き込まれたシュート部分のギリギリにゲートが置かれる。ゲート裏に輪乗りできるスペースがない構造は珍しい。
いわゆる芝スタートのダート1400mという点は京都、阪神と同じ。この3つのうち、データ上で外枠が優位なのは阪神だけ。芝スタートは外枠優位とされるが、中京ダート1400だと数字的にはフラット。6週間も開催が続くので、頭に入れておきたい。

人気別成績をみると、1番人気【2-3-2-2】勝率22.2%、複勝率77.8%、2番人気【3-2-2-2】勝率33.3%、複勝率77.8%と上位2頭は強力。その分、3番人気は【0-2-0-7】複勝率22.2%と落ちる。5番人気以内が8勝と上位人気は崩れない。6番人気【0-0-1-8】複勝率11.1%以下は冴えず、基本は堅い重賞といえる。

年齢別では、主力は4歳【5-3-0-16】勝率20.8%、複勝率33.3%。ダートとはいえスピード色の濃い距離となると、若駒が強い。それでも6歳が【3-1-1-24】勝率10.3%、複勝率17.2%と良く、7歳以上も【0-2-5-44】複勝率13.7%と3着の半数以上がベテランというのもおもしろい。年齢を理由に評価を落とすのは禁物だ。
東京スプリント1、2着馬や4連勝ビダーヤら参戦
ベテランでは6歳サンライズホーク、4歳はビダーヤ、エートラックスあたりが人気を背負いそうだ。きょうだいが小倉開催で活躍したヤマニンウルスも再度1400mに挑戦する。オープン勝ちのコンクイスタも含め5歳勢も黙っていないだろう。

前走クラスは特徴的で、重賞経由だと【0-0-0-16】とさっぱり。理由は近いところにダート1400m前後の重賞がないからだろう。アンタレスS7着ヤマニンウルスはやはり距離短縮がカギ。前回1400mに挑戦したのは3着だったコーラルS。前半の追走に余裕が持てるかどうかだ。
ただ前記の重賞はJRA重賞に限定された数字であり、前走地方は【2-3-0-24】。交流重賞経由は活躍するチャンスを残す。東京スプリント1、2着のエートラックス、サンライズホークは有力も、前走東京スプリント組は【0-0-0-2】。数は少なく、どちらも15、16年と5着だったグレープブランデーなので、過度な心配はいらないか。

前走オープン・L【6-3-9-57】勝率8.0%、複勝率24.0%は距離別成績を見ていく。同距離【3-1-6-36】勝率6.5%、複勝率21.7%や、1400m未満【2-1-1-8】勝率16.7%、複勝率33.3%に注目。前述した東京スプリント組(大井ダート1200m)など距離延長馬にとっては好材料だ。

同距離組は数が多く、絞りにくいので、着順別成績ですっきりさせよう。前走1着【2-1-4-4】勝率18.2%、複勝率63.6%、2着【1-0-0-6】勝率、複勝率14.3%に対し、3着以下は【0-0-2-25】。大前提は好走だ。
欅Sを勝ったビダーヤ、天保山S1着のコンクイスタはデータに合致。前者は4歳、後者は5歳なので、年齢データに照らせば、ビダーヤが一番手か。昨年暮れの1勝クラスから目下4連勝中と勢いもある。中京では芝1400m【0-0-3-0】と崩れていない。ダート転向後の4連勝を踏まえれば、前進しかない。

《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『オルフェーヴル伝説 世界を驚かせた金色の暴君』(星海社新書)に寄稿。
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