【小倉記念】小倉の近5回で4勝!ノーザンテースト内包馬がアツい 適性屈指オールセインツに好機
坂上明大

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傾向解説
1965年に創設された小倉競馬を代表する重賞・小倉記念。サマー2000シリーズ第3戦という側面もあり、地力、適性、状態などさまざまな要素が絡み合う難解な一戦です。本記事では血統面を中心に、小倉記念で求められる適性を整理していきます。
まず押さえておきたいポイントは逃げ馬が大苦戦しているということ。小倉開催の直近9回(昨年は中京開催)ではマウントゴールド(2018年3着)とテーオーシリウス(2023年2着)が好走しているのみで、逃げ馬の残りやすい小回りコースとしては特殊な脚質傾向となっています。
これは、小倉芝2000mが激しい先行争いと向正面からのロングスパートが起こりやすいコースレイアウトであることに起因し、1~2角しか息を入れる区間がない非常にタフな舞台設定といえるでしょう。
反対に、上がり3F上位馬の好走が目立ち、勝ち馬に限れば上記期間の9頭中9頭が上がり3F5位以内という顕著な結果に。前走初角位置の成績で見てみても3番手以内の先行馬は苦戦傾向で、ハイペースに強く、激しい先行争いにも巻き込まれない馬を狙うのがベターでしょう。

<前走初角位置別成績(小倉開催の直近9回)>
3番手以内【0-2-1-27/30】
勝率0.0%/連対率6.7%/複勝率10.0%/単回収率0%/複回収率26%
4番手以下【9-7-8-67/91】
勝率9.9%/連対率17.6%/複勝率26.4%/単回収率116%/複回収率94%
血統面ではノーザンテーストに注目。Lady Angelaを経由したHyperionの4×3を持つノーザンテーストはスピードとタフさに優れた名種牡馬で、ハイペース戦に強い血統の1つといえるでしょう。
2019~21年にはメールドグラース、アールスター、モズナガレボシというノーザンテースト内包馬が3連勝。そして、2023年はノーザンテースト内包馬が馬券圏内を独占する結果となっており、小倉に舞台を戻す今年は最注目の血統といえるでしょう。

<血統別成績 ノーザンテースト(小倉開催の直近9回)>
ノーザンテースト【4-4-4-20/32】
勝率12.5%/連対率25.0%/複勝率37.5%/単回収率141%/複回収率106%
注目血統馬2頭
この章では前章で取り上げたレース傾向に合致する、注目血統馬を2頭ピックアップ。血統面を中心に解説していきます。
☆オールセインツ
母母エアデジャヴーは1998年オークス2着馬で、母エアシンフォニーの兄姉には2008、09年有馬記念の3着馬エアシェイディや2005年秋華賞馬エアメサイアなどがいます。母自身はノーザンテーストの4×2を持つ点が特徴的で、キズナ産駒の本馬もHyperion由来の底力が最大の持ち味です。
コロンとまとまった馬体もノーザンテーストの特徴を受け継いでいる証で、ハイペースの中距離戦で末脚を生かす競馬がベストでしょう。適性面についてはメンバー中屈指の一頭です。
☆メリオーレム
母メリオーラは芝中距離のリステッド競走勝ちがあるアイルランド産馬。シュヴァルグラン産駒の本馬はMorn of Song=Rahyの4×4が特徴的な配合で、デインヒル系Starspangledbannerから強靭な筋肉を受け継いでいる点も魅力のひとつです。
注目血統であるノーザンテーストの血は持ちませんが、同馬と同じくNureyevやデインヒルといったHyperionクロスを持つNorthern Dancer系種牡馬を複数併せ持つ点は◎。ハイペース戦に耐えられる底力を兼備した素質馬です。

《ライタープロフィール》
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。2023年11月には本島修司氏との共同執筆で『競馬の最高戦略書 予想生産性を上げる人の取捨選択の技術』(主婦の友社)を出版。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。
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