【七夕賞】複回収率130%超、ハイペース向き血統を狙え コスモフリーゲンら注目2頭
坂上明大

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傾向解説
サマー2000シリーズ第2戦・七夕賞。過去10年で2度の100万馬券(2015、18年)が生まれている波乱傾向のレースで、今回も様々な前哨戦から有力馬が集まり、さらに斤量のハンデキャップが各馬の力関係を惑わしています。本記事では血統面を中心に、七夕賞のレース傾向を整理していきます。
七夕賞は過去10年で前後半1000mの前傾ラップが7回。下り坂スタートかつ初角まで約500mと長いため、先行争いが長引きやすく、ハイペースの消耗戦になりやすいのが当レースの基本です。
そのため、過去10年で逃げ馬が3着以内に好走したのは1度のみ。昨年も前後半1000m57.3-60.6の前傾3.3秒を刻み、初角通過順が6番手以下だった3頭での決着となりました。今年は比較的逃げ馬が少ないメンバー構成ではありますが、出入りが激しくなりやすい小回りコースだけに、ハイペース戦に耐えられる底力は重要な資質といえそうです。
血統面では、ハイペースの中距離戦で強いのがKingmambo。特に七夕賞では目覚ましい活躍を見せており、過去5年の好走馬15頭中12頭がKingmamboの血を内包しています。
同馬はNureyevとGraustarkから優れた底力を受け継いでおり、昨年8番人気3着だったノッキングポイントはSadler's Wells≒Nureyevの4×5とHis Majesty=Graustarkの6×7を併せ持つ血統傾向にピッタリの穴馬でした。

<血統別成績 Kingmambo(過去10年)>
Kingmambo【2-5-5-23/35】
勝率5.7%/連対率20.0%/複勝率34.3%/単回収率63%/複回収率139%
Kingmamboと同じくGraustark=His Majestyを持つブライアンズタイムやグラスワンダー内包馬なども注目。総じてハイペース戦に強く、ブライアンズタイムは2018年11番人気1着メドウラーク(父タニノギムレット)が、グラスワンダーは2024年8番人気3着ノッキングポイント(父モーリス)が穴を開けています。

<血統別成績 ブライアンズタイム、グラスワンダー(過去10年)>
ブライアンズタイム【2-0-0-9/11】
勝率18.2%/連対率18.2%/複勝率18.2%/単回収率947%/複回収率130%
グラスワンダー【0-1-1-3/5】
勝率0.0%/連対率20.0%/複勝率40.0%/単回収率0%/複回収率148%
注目血統馬2頭
この章では前章で取り上げたレース傾向に合致する、注目血統馬を2頭ピックアップ。血統面を中心に解説していきます。
☆コスモフリーゲン
母フライングメリッサは芝1800~2000mで3勝を挙げ、本馬の半兄には2015年東スポ杯2歳Sの3着馬マイネルラフレシアなどがいます。グラスワンダー系スクリーンヒーロー産駒の本馬はHis Majesty=Graustarkの5×6・5やRobertoの4×4などから馬力と底力に優れたタイプに出ており、ハイペースになりやすい福島芝2000mは得意条件のひとつ。
開催3週目の荒れ始めた馬場も合いそうで、比較的逃げ馬が少ない今年のメンバー構成にも恵まれそうです。
☆マテンロウオリオン
母母レディパステルは2001年オークス馬で、本馬はダイワメジャー×キングカメハメハのマイル~中距離向き。特にHyperion血脈を掛け合わせた配合形でもあり、胸の深い馬体からもハイペースでの消耗戦がピッタリでしょう。
母父には七夕賞と相性が良いKingmambo系キングカメハメハを持ち、父ダイワメジャーも2019年12番人気3着馬ロードヴァンドールを輩出。舞台適性はメンバー中屈指の一頭です。

《ライタープロフィール》
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。2023年11月には本島修司氏との共同執筆で『競馬の最高戦略書 予想生産性を上げる人の取捨選択の技術』(主婦の友社)を出版。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。
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