【しらさぎS】本命レーベンスティール筆頭に指数上位馬が有力 大穴はボルザコフスキー

山崎エリカ

2025年しらさぎSのPP指数,ⒸSPAIA

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能力値1~5位の紹介

2025年しらさぎSのPP指数一覧,ⒸSPAIA


【能力値1位 デビットバローズ】
4歳2月の須磨特別(2勝クラス/阪神芝1800m)で後の重賞勝ち馬ジュンブロッサムやマテンロウスカイを相手に逃げ切るなど、素質の高さを見せていた馬。

一方で揉まれ弱さがあり、2桁着順に崩れることも何度かあったが、3走前の洛陽S(L/京都芝1600m)前に去勢すると、効果てきめんで折り合いに進境を見せた。

3走前は2月の京都で良馬場でも時計が掛かっていたが、好位馬群の中目追走から最後の直線で馬群の間を割ってクビ差の2着に善戦。そして2走前の大阪城S(L/阪神芝1800m)で念願のリステッドを勝利した。

2走前は12番枠からトップスタートを決め、内2頭を行かせて2列目の外を追走。前半はかなりペースが遅かったが、2列目の外で上手く折り合っていた。

3~4角でも2頭分外を回りながらも、4角では持ったまま先頭付近で直線へ。序盤ですっと抜け出して2馬身差。ラスト1Fで2着争いを尻目に突き放し、最終的には2馬身半差で完勝した。

当時は超高速馬場で、前後半4F47秒6-45秒1とかなりのスローペース。しっかり先行したことが好走要因であるが、内有利の馬場を3~4角で2頭分外を回るロスを作りながら、今回の出走馬の近5走でNo.1タイの指数を記録したことは褒められる。

前走のエプソムCは一転、外からハナを主張したメイショウチタンに内からシュトラウスが抵抗していく形で緩みない流れ。9着に敗退してしまったが、14番枠から好位の外目を追走と速い流れに乗ってしまっての敗戦だけに悲観するものではない。

本馬は3走前に芝マイル戦に対応、2走前は上がりの速い決着に対応した。雨に見舞われた先週の開催から良馬場に替わり、高速化した芝マイル戦でもこなせる可能性が高い。逃げ先行馬が手薄な組み合わせでもあるだけに、ここは対抗に推す。

【能力値2位 チェルヴィニア】
昨年の二冠牝馬。跛行による休養明けとなった桜花賞では大外18番枠で前に壁が作れずにやや掛かり、中団の外から3~4角で4頭分外を回るロス、さらに直線では挟まれる不利も重なって13着と大敗した。しかし、距離延長でかなりのハイペースとなったオークスと秋華賞では巻き返し、勝利を挙げている。

4走前の秋華賞は5番枠から五分のスタートを切り、コントロールしながら中団中目を追走。道中はセキトバイーストが逃げ、離れた2番手にクリスマスパレードと前2頭が後続を離していく展開。向正面でクイーンズウォークが捲りを仕掛けたことでペースが上がったが、ここでは動かずに我慢する。

3~4角では3番手以下の大半が動いたなかここも仕掛けを待ち、4角でようやく鞍上の手が動いたが、進路を作り切れずにワンテンポ待って直線へ。序盤で中目のスペースを追われて2列目まで上がり、ラスト1Fで先頭列をさばいて突き抜けると1馬身3/4差で完勝した。

秋華賞は超高速馬場で、前後半5F57秒1-60秒0の激流。後方有利の展開に恵まれての勝利ではあったが、ラスト1Fで加速して勝利している。

3走前のジャパンCは逃げ馬不在を意識し、前半で位置を取りに行ったことが祟ってラスト2Fで甘さを見せる形となったものの、結果は4着善戦。このことから芝2000~2400mがベストと言える。

しかし、2走前の京都記念が9着で、前走・ドバイシーマクラシックも6着敗退。京都記念はタフな馬場で出遅れ、スローペースの中団馬群でかなり掛かり、4角でかなり外々を通したことが主な敗因だが、4角で本馬の前にいたマコトヴェリーキーが2着だったことを考えると物足りなく、状態面に問題があったように映る。

海外遠征を挟み、今回は立て直されての一戦。芝マイルはベストではないが、昨春の桜花賞は不利が重なっての敗戦でもあり、元値の高さで通用する可能性はあると見ている。

加えてオークスや秋華賞では直線勝負に徹し、ラスト2Fで追われてラスト1Fで加速していることから、前半でしっかり脚を温存してラスト2F手前から動いていく騎乗がベストのようにも感じる。

高速馬場の阪神芝1600mでの差し追込馬はラスト2F手前、4角の下り坂から仕掛けていくのが主流。後方から早めにエンジンをかける競馬で新味を見せるパターンも視野に入れて重い印を打ちたい。

【能力値3位 レーベンスティール】
中山芝2200mのセントライト記念(2023年)やオールカマー(2024年)でも勝利しているが、ともに超高速馬場~コンクリート馬場のスローで掛かる面を見せており、自己最高指数を記録したのは折り合いが比較的スムーズだった4走前のエプソムCだ。

ここでは6番枠からまずまずのスタートを切り、コントロールして好位の中目を追走。道中では好位の中目から外に誘導し、中団付近で脚を温存した。

3~4角でも前のラケマーダをマークしながら進めて直線へ。序盤で軽く肩鞭が入るとすっと伸び始め、ラスト2Fでは末脚の違いを作って先頭列まで伸びる。ラスト1Fでそのまま抜け出して2馬身差で完勝した。

この日は超高速馬場だったが、東京開催16日目かつCコース使用6日目で馬場の内側は悪化しており、外差し有利の馬場。最後の直線は馬場の良い外を走らせていたが、コースレコードが出るほどの緩みない流れを、前半で位置を取りに行って完勝したことは高評価できる。

前走・AJCCは12着と崩れたが、この日はタフな馬場。2番枠からまずまずのスタートを切り、ある程度促しての先行。最終的には外から前を主張する馬に行かせて好位直後の中目で進めていたが、向正面でコスモキュランダが捲ってペースが上がったところで外に誘導した。

3~4角では外目から進めていたが、ダノンデサイルに蓋をされてやや手ごたえ怪しくなり、3列目付近で直線へ。序盤で追われても進路がなかったが、進路が開いても伸びず、ラスト1Fでも伸びる気配なく12着に沈んだ。

ここは休養明けで、馬体重12kg増が示すように太目残り。相手が強かったのもあるが、タフな馬場で緩みない流れになったことや、外がやや不利な馬場を3~4角で外目を走らせたことが主な敗因だろう。

本馬は折り合いの観点から高速馬場の芝1800mがベスト。芝1600mはやや短いと感じるが、この距離で折り合いに進境を見せて前進する可能性もある。

今回も骨瘤による5カ月の休養明けになるが、弱気なコメントが目立つ田中博康調教師が「先週の追い切りからようやく我慢が利くようになりました」とコメント。中間の追い切りも悪くはなかっただけに、この馬を本命に推す。

【能力値4位 タシット】
3走前に若潮S(3勝クラス/中山芝1600m)を勝利。この時は1番枠からまずまずのスタートを切り、促しながら進めて2列目の内を追走。2角手前でセンタースリールが外からハナを主張したので、最終的には3列目の内で我慢させた。

道中はペースが上がらず、折り合いに苦労しながらも3列目の中目に誘導して前に壁を作る。前が飛ばしてくれたことで3~4角で前にスペースが生まれ、じわっと詰めて4角。そのまま外に誘導し、楽な手応えで先頭列に並びかけて直線へ。序盤で1馬身ほど前に出ると、ラスト1Fでしぶとく突き抜けて3馬身半差で圧勝した。

当時は超高速馬場で、前後半4F47秒3-45秒5とかなりのスローペース。3~4角でペースが上がってからひとつ外を通して突き抜け、重賞でも上位可能な指数を記録した。しかし、近2走は東風S(L)で5着、ダービー卿チャレンジトロフィー(GⅢ)は7着と中山芝1600mで敗れている。

ただ東風Sは超タフな馬場で、前後半5F46秒8-50秒4の超絶ハイペースを6番枠から押して進めて2番手の外と、前半で無茶をし過ぎた面がある。

前走・ダービー卿CTは一転して超高速馬場。3走前と類似条件で本命に推したが、A→Bコース替わり初日でやや内有利の馬場を、10番枠からやや出遅れを挽回して2列目の外を追走と、積極的に位置を取りに行き過ぎたことや、馬場の内目を通せなかったことが主な敗因だ。

今回は逃げ先行馬が手薄で、本馬の逃げもしくは2番手が視野に入る。しかし、前半で位置を取りに行っても良いタイプではなく、よほど展開に恵まれないと苦しいと見る。

【能力値5位タイ ダディーズビビッド】
一昨年の阪急杯の2着馬。この時は5番枠から五分のスタートだったが二の脚が速く、最内から逃げたメイショウチタンの後ろを楽に追走。道中でメイショウチタンがアグリに突かれ、ペースを上げたことで前のスペースが広がり、3~4角の最短距離から前との差を詰めて直線へ。

序盤の伸びはやや地味だったが2番手まで上がり、早めに抜け出したアグリとの差は1馬身半ほど。ラスト1Fでしぶとく伸びて、アグリにクビ差まで迫った。

前記の阪急杯はタフな馬場で、前後半3F33秒9-34秒3の平均ペース。内と前が有利な馬場と展開で上手く立ち回れたのは確かだが、3着馬には2馬身半差をつけており、自己最高指数を記録している。

本馬は3歳春の橘S(L/中京芝1400m)で4馬身差の圧勝。そこで古馬OPレベルの指数を記録しているように、芝1400mがベスト。昨年の京王杯スプリングCでも2列目の外で進め、半馬身+クビ差の3着と善戦している。

その後はしばらくスランプに陥ったが、2走前の六甲S(L/阪神芝1600m)は9番人気で勝利。波乱の立役者となった。

その2走前は8番枠からまずまずのスタートを切り、軽く促していたが内の各馬が速く、中団からの追走に。道中で前にスペースを作り、中団やや後方で3角に入った。

3~4角もそこまでペースが落ちなかったが、中団中目でスペースを上手く詰めてロスは最小限に抑え、4角でも外に出し切らずに中団馬群の中目で直線へ。序盤で追われてじわじわと伸び、ラスト1Fもしぶとく伸びて、外のトランキリテと一緒に先頭のシリウスコルトに迫ると、最後は3頭タイム差なしの大接戦をハナ差で勝利した。

ここは高速馬場で、前後半4F46秒1-46秒1と緩みない流れ。1番枠のフルメタルボディーが1番枠から好スタートを決めてハナに立ち、引けなくなったことでハイペースが発生。外差し有利の展開となった。

近走はテンに置かれるようになっているので、芝1400mよりも芝1600mでこそだが、芝1600mでも中団よりも後方からの追走になる。前走の安田記念と同様、逃げ馬不在の今回は展開に恵まれない可能性が高い。

前走をひと叩きされての相手弱化にはなるが、連対圏突入は指数上位馬に破綻がないと難しいと見る。

【能力値5位タイ ニホンピロキーフ】
昨春マイラーズCの3着馬。同レースは9番枠から五分のスタートを切り、軽く促して好位馬群の後ろを追走。道中で逃げ馬が飛ばしたため、無理なく控えて中団中目で3角に入った。

3~4角ではソウルラッシュのひとつ内で進めていたが、4角で同馬の進出に抵抗して仕掛け、何とか外に誘導して直線へ。直線序盤で追われるも、ソウルラッシュに前に出られて2番手。ラスト1Fでは中目を捌いたセリフォスにもかわされたが、同馬と半馬身差の3着に健闘した。

当時は春の京都開催2日目ながら、雨の影響もあって標準馬場。前後半45秒6-46秒9のハイペースになった。後方有利の展開だったが、前半ではソウルラッシュやセリフォスよりも前の位置でレースを進め、自己最高指数を記録した。

前走・マイラーズCは4着。昨年のマイラーズCよりも楽な相手だったが、超高速馬場で前後半4F46秒6-後半4F45秒1のスローペースとなり、3~4角で好位の外から直線序盤で2列目まで上がるも、そこからジリジリと下がって4着に敗れている。

つまり、本馬は時計の掛かるマイル戦がベスト。今回も高速馬場で上がりの速い決着になる可能性が高いだけに評価を下げたい。


大穴は得意距離で変わり身期待のボルザコフスキー

昨年の六甲Sの覇者で、吉村誠之助騎手にJRA初勝利をもたらした馬。この時は4番枠から五分のスタートを切り、じわっと下げて中団やや後方の内を追走。道中は前にスペースを置いたまま、折り合い重視で進めて3角に入った。

3~4角で最内から前のスペースを詰め、直線序盤で内から3頭目の開いたスペースを拾ってしぶとく伸びて2番手まで上がる。ラスト1Fで早々と先頭に立ったところ、外からワールドウインズに強襲されたが、なんとかハナ差で振り切った。

当時はタフな馬場で、前後半4F47秒0-47秒3の緩みない流れ。ラスト1Fで12秒7まで失速する後方有利の展開に恵まれての勝利だった。また、最内を距離ロスなく立ち回れたことも好走要因である。

しかし、本馬は標準馬場だった一昨年末のファイナルS(3勝クラス/阪神芝1600m)でも勝利しているように、ある程度時計が掛かったほうがいいのは確かだが、タフな馬場でこそというタイプでもない。

ファイナルSでは6番枠からやや出遅れ、無理なく中団中目を追走。3~4角の中間で外に誘導しながら、4角では大外をぶん回して3列目まで押し上げて勝利しているように、早めにエンジンを掛けられれば、ある程度は上がりの速い決着でも対応できる。

近走は不適距離の芝1400mを使われて崩れているが、ベストの芝1600mで巻き返しを一考したい。前走・信越S(L/新潟芝1400m)では1番枠から五分のスタートを切り、好位の最内を追走と積極的な競馬をしているので、レースの流れにも乗せやすいだろう。

※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)デビットバローズの前走指数「-13」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも1.3秒速い
●指数欄の背景色の緑は芝、茶色はダート
●能力値 =(前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補

《ライタープロフィール》
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。

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