【しらさぎS】2強激突!チェルヴィニアVSレーベンスティール 狙うならどっち?
逆瀬川龍之介

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大幅な距離短縮馬の好走条件は?
創設1年目のしらさぎSはGⅢにしてはハイレベルなメンバー構成となった。その主軸となるのは2頭。昨年のオークスと秋華賞を制したチェルヴィニアと、重賞3勝しているレーベンスティールだ。
しかし前者は牝馬で57kg、後者はメンバー中最重量の59kgでもあり、全幅の信頼を置きづらいのも事実。そこで2頭の信頼度について、2つの視点から検証したい。
15頭の登録馬のうち、GⅡ以上を勝った実績があるのはチェルヴィニアとレーベンスティールの2頭のみ。それだけに“2強ムード”は当然ともいえるが、この2頭にはもう一つ、見逃せない共通項がある。それは前走2200m以上からの距離短縮ということだ。
これほどの大きな条件変化に対応して勝つために必要なことは何か? そこで15年以降の芝1600m・JRA重賞において、500m以上の距離短縮で挑んだ馬の成績を調べると、興味深い結果が出た。
まずは成績を紹介しよう。該当59頭で【7-5-5-42】の勝率11.9%、複勝率28.8%。回収率は単勝が56%、複勝が73%なので、積極的に買えるレベルではない。
そして注目すべきは勝った7頭の実績。古い方から順に並べると下記になり、全ての馬にマイル以下の「GⅠで2着以内」or「重賞勝ち」の実績があったのだ。
2016年 東京新聞杯 スマートレイアー(14年阪神牝馬S)
2016年 京成杯AH ロードクエスト(16年NHKマイルC2着など)
2017年 京都金杯 エアスピネル(15年朝日杯FS2着など)
2017年 阪神牝馬S ミッキークイーン(16年ヴィクトリアマイル2着)
2018年 東京新聞杯 リスグラシュー(17年桜花賞2着など)
2018年 ターコイズS ミスパンテール(18年阪神牝馬Sなど)
2020年 ヴィクトリアマイル アーモンドアイ(18年桜花賞など)
そこで今年の2頭を見ると、チェルヴィニアは2歳時にアルテミスSを制しており、好走条件を満たしている。一方のレーベンスティールはマイル以下に出走すること自体が初めてであり、勝ち切るまではどうか。
中距離馬がマイル戦で負けるパターン
レーベンスティールにはもう一つ、逆風データがある。それは2200mの重賞を勝っているということだ。「えっ!?」と思われるかもしれないので、詳しい説明が必要だろう。
15年以降に芝2200m・JRA重賞を勝った馬は延べ82頭いるが、それらの馬が後に芝1600m(JRA)に出走すると【0-4-1-29】の勝率0%、複勝率14.7%。驚くべきことに1頭も勝っていないのだ。
とりわけ人気馬の不振が顕著で、1番人気は【0-0-0-4】、2番人気は【0-0-1-1】。今年の東京新聞杯で1番人気のブレイディヴェーグが4着に終わったのは記憶に新しい。
一概には言えないが、マイルのペースに対応できず、ゴール前で差を詰めてきたものの届かず、というシーンが多い印象。これは中距離馬がマイル戦で負けるパターンとして、非常に典型的なものと言えるだろう。
下馬評通りなら、チェルヴィニアとレーベンスティールの馬連は2倍台くらいか。確かに実績を素直に評価すれば妥当なところだ。しかし、データ通りならレーベンスティールは危険な人気馬。ここはチェルヴィニアからレーベンスティール以外の馬に流すことをオススメしたい。
《ライタープロフィール》
逆瀬川龍之介
国内の主要セール、GIのパドックはもちろん、時には海外のセリにも足を運ぶ馬体至上主義のライター。その相馬眼を頼りにする厩舎関係者、馬主は少なくない。一方、マニアック、かつ実用的なデータを駆使して、ネット媒体や雑誌などにも寄稿するなど、マルチな才能を持っている。
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