芝2000m以上のGⅠで単回100%超 皐月賞馬ミュージアムマイルら4頭をダービーに送り込む「サンデーレーシング」を徹底分析
東大ホースメンクラブ

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日本ダービーには所有馬が4頭出走
今週末は全てのホースマンの夢、日本ダービー(GⅠ・芝2400m)が東京競馬場で開催される。D.レーン騎手との新コンビで二冠を狙うミュージアムマイルを筆頭に、北村友一騎手と人馬一体で皐月賞2着からの巻き返しを誓う2歳GⅠ馬クロワデュノール、共同通信杯をレースレコードタイで制している皐月賞3着馬マスカレードボールなど、今年も世代の頂点を決する戦いにふさわしいメンバーが揃った。
なかでも注目は、皐月賞でワンツーを決めたミュージアムマイルとクロワデュノールをはじめ、4頭の所有馬が出走を予定しているサンデーレーシングだ。直近ではヴィクトリアマイルでもアスコリピチェーノとクイーンズウォークがワンツーを決めるなど絶好調で、ダービーも皐月賞の再現どころか馬券内独占にも期待がふくらむ。
そこで今回は「サンデーレーシング」にフォーカスを当て、これまでの歩みとデータから徹底検証。サンデーレーシングの「プラス条件」を紹介するほか、最後は「日本ダービー」に絞った注目ポイントをまとめる。
デルタブルースの初GⅠ制覇から20年で計98勝

<サンデーレーシング 各種記録>
・通算GⅠ勝利数
98勝(中央85勝、地方8勝、海外5勝)
・平地GⅠ初制覇馬
デルタブルース(2004年菊花賞)
・最多勝騎手
C.ルメール(231勝)
・最多勝調教師
池江泰寿(113勝)
・最多勝所有馬
ヴァーミリアン(15勝)※地方含む
・最多賞金獲得馬
ブエナビスタ(13億8643万円)
※集計データは1986年以降(GⅠはJpnⅠを含む)
この章では、サンデーレーシングの各種成績を活躍馬とともに振り返っていく。
■GⅠにまつわる記録
サンデーレーシングは1988年に設立された「有限会社サンデーサラブレッドクラブ」が前身で、2000年から現在の名称に生まれ変わった。
「サンデーレーシング」となってから初めての平地GⅠ制覇となったのが、デルタブルースの菊花賞(2004年)。早め先頭から後続を完封する横綱競馬で8番人気の低評価を覆した。鞍上・岩田康誠騎手にとってもこれが初のGⅠタイトルで、このコンビでは後に豪州長距離の最高峰・メルボルンCで日本調教馬初の優勝という快挙も成し遂げている。
2025年5月25日時点のGⅠ通算勝利数は98勝(中央85勝、地方8勝、海外5勝)。歴代の所有馬にはオルフェーヴル、ジェンティルドンナ、リバティアイランドといった3頭の三冠馬を筆頭に、2010年の年度代表馬に輝いたGⅠ6勝馬ブエナビスタや、春秋グランプリを制覇のドリームジャーニー、クロノジェネシスなど数々の名馬たちが並ぶ。
■最多勝騎手:C.ルメール
231勝でトップ。GⅠ6勝グランアレグリアや天皇賞(春)連覇のフィエールマン、GⅠこそNHKマイルCの1勝で終わってしまったが、マイル路線で息の長い活躍を続けたシュネルマイスターとのコンビが印象的だ。
■最多勝調教師:池江泰寿
栗東・池江泰寿調教師が113勝を記録。なんといってもドリームジャーニー、オルフェーヴルの兄弟が代表的だ。その他の管理馬には、皐月賞を9番人気で制し、後に大阪杯でも勝利を挙げたアルアインなどがいる。
■最多勝所有馬:ヴァーミリアン
所有馬の最多勝記録は15勝のヴァーミリアン。意外にも最初の重賞勝ちは芝のラジオたんぱ杯2歳Sだった。3歳春は芝路線で伸び悩み、3歳秋からダート路線へ転向。これが大正解で、中央でもGⅠで2勝を挙げたほか、地方ではJBCクラシック3連覇などJpnⅠで計7勝を挙げ、8歳で川崎記念を制すなど長きに渡って活躍した。
■最多賞金獲得馬:ブエナビスタ
獲得賞金のNo.1は13億8643万円のブエナビスタだ。GⅠで計6勝を挙げながら、悔しい2着も7回。牝馬三冠がかかった2009年の秋華賞や、単勝1倍台の支持を受けた2010年ジャパンCでも降着となっており、圧倒的な実力を備えながらどこか「持っていない」馬でもあった。ちなみに同馬はデビュー以来19回連続(海外レース除く)で1番人気に支持されており、これは今なお破られていない史上最多記録である。
芝2000m以上の上級条件やダートの2歳戦で活躍

<サンデーレーシングの「プラス条件」>
・戸崎圭太騎手【38-16-13-91】
勝率24.1%/連対率34.2%/複勝率42.4%/単回収率105%/複回収率74%
・池添学調教師【38-27-22-125】
勝率17.9%/連対率30.7%/複勝率41.0%/単回収率115%/複回収率100%
・芝2000m以上×GⅠ【18-7-10-51】
勝率20.9%/連対率29.1%/複勝率40.7%/単回収率109%/複回収率90%
・ダート2歳戦×前走ダート【9-5-5-23】
勝率21.4%/連対率33.3%/複勝率45.2%/単回収率108%/複回収率94%
この章ではサンデーレーシングの「買える条件」を紹介。なお、データは2020年5月30日から2025年5月25日の直近5年分を使用する。
■戸崎圭太騎手
騎手別の成績では、戸崎圭太騎手とのコンビが好調。全体の単回収率は105%とプラス域だ。
特に狙い目なのが【8-2-2-9】の未勝利戦で、勝率38.1%をマーク。単回収率158%、複回収率102%と妙味も十分で、見かけたら積極的に狙っていきたい。
また、GⅠでも【3-1-0-6】単回収率259%の好成績。レガレイラの有馬記念(2024年)やソングラインのヴィクトリアマイル(2023年)など乗り替わりでの活躍が印象的で、今後も戸崎騎手の起用には要注目だ。
☆日本ダービー騎乗予定騎手の成績
・北村友一(クロワデュノール)【31-27-18-120】
勝率15.8%/連対率29.6%/複勝率38.8%/単回収率99%/複回収率87%
・D.レーン(ミュージアムマイル)【16-15-4-25】
勝率26.7%/連対率51.7%/複勝率58.3%/単回収率70%/複回収率94%
・佐々木大輔(ファイアンクランツ)【6-2-1-18】
勝率22.2%/連対率29.6%/複勝率33.3%/単回収率68%/複回収率55%
・池添謙一(カラマティアノス)【11-9-12-47】
勝率13.9%/連対率25.3%/複勝率40.5%/単回収率145%/複回収率97%
■池添学調教師
調教師別の成績では、池添学調教師が38勝でトップ。集計期間ではマッドクールが高松宮記念(2024年)を制している。
単回収率115%とこちらもプラス域で、特徴としては牝馬【12-13-11-61】勝率12.4%、単回収率80%に対し、牡馬・セン馬が【26-14-11-64】勝率22.6%、単回収率145%と牡馬に良績が集中。ここを狙い撃ちしたい。
その他では藤原英昭厩舎(単回収率113%)、田中博康厩舎(単回収率105%)、松永幹夫厩舎(単回収率104%)がベタ買いでプラスになっているので、あわせて押さえておきたい。
☆日本ダービー管理馬出走予定調教師の成績
・斉藤崇史(クロワデュノール)【28-20-19-94】
勝率17.4%/連対率29.8%/複勝率41.6%/単回収率84%/複回収率78%
・高柳大輔(ミュージアムマイル)【8-9-7-33】
勝率14.0%/連対率29.8%/複勝率42.1%/単回収率178%/複回収率111%
・堀宣行(ファイアンクランツ)【9-7-11-42】
勝率13.0%/連対率23.2%/複勝率39.1%/単回収率34%/複回収率77%
・奥村武(カラマティアノス)【6-6-3-22】
勝率16.2%/連対率32.4%/複勝率40.5%/単回収率80%/複回収率60%
■レース条件
レースの条件を見てみると、中長距離の芝重賞で信頼度がアップ。芝2000m以上の重賞では【30-19-23-146】で勝率13.8%、単回収率96%と高水準だ。
なかでもGⅢ【6-2-5-33】勝率13.0%、単回収率146%やGⅠ【18-7-10-51】勝率20.9%、単回収率109%がプラス域をマークしている。ダービーでも目が離せない。
最後に“早い時期のダート戦”にも要注目。ダートの2歳戦では【20-14-11-62】勝率18.7%、単回収率90%となっており、ここに「前走もダート」という条件を付け加えると【9-5-5-23】勝率21.4%、単回収率108%とベタ買いするだけでプラスになる。
ちなみに、「芝→ダート」の場合は【5-4-5-18】勝率15.6%、単回収率77%と数値がダウン。ダート替わりだとあまり妙味がない点には注意したい。
人気馬はアタマ、人気薄はヒモで警戒

<サンデーレーシング×日本ダービー>
・通算成績【4-3-2-27】
勝率11.1%/連対率19.4%/複勝率25.0%/単回収率69%/複回収率170%
→ 3番人気以内【3-1-0-5】
勝率33.3%/連対率44.4%/複勝率44.4%/単回収率148%/複回収率88%
最後はサンデーレーシングの日本ダービーでの成績について確認してみよう。通算の単回収率こそ69%と100%を下回っているが、複回収率は170%とプラス域だ。歴代の勝ち馬は以下の通り。
☆日本ダービーを優勝したサンデーレーシングの所有馬
・オルフェーヴル(2011年/1番人気)
・ディープブリランテ(2012年/3番人気)
・ドゥラメンテ(2015年/1番人気)
・シャフリヤール(2021年/4番人気)
勝ち切ったのは比較的人気サイドの馬で、3番人気以内に絞ると単回収率148%とプラス域に突入する。
一方、馬券内まで広げると大穴での激走もあり、最近ではヴェルトライゼンデ(2020年/10番人気3着)やコズミックフォース(2018年/16番人気3着)が印象的だ。
今年はクロワデュノールとミュージアムマイルが上位人気濃厚で、こちらは頭で狙いたいタイプ。対照的に伏兵として面白そうなのがカラマティアノスである。
同馬は重賞勝ちこそないが、2走前の共同通信杯では今回上位人気が想定されるマスカレードボールと0秒1差の2着と健闘。父レイデオロといえば昨年サンライズアースが15番人気で4着と見せ場を作っており、今年は馬券圏内への激走に期待がかかる。
《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
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