【日本ダービー】ダービー男・武豊騎手でも今年は勝てないと断言できる理由とは?
逆瀬川龍之介

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歴史的名馬でも覆せなかったデータ
日本ダービーを勝つために大事なことは? その答えは一つではないし、人それぞれ。無数にあるといっても過言ではない。それでもデータ派としては、「前走のレース運び」と声を大にして言いたい。面白いデータがある。過去10年のダービーにおける、前走の上がり3Fの順位別成績だ。
・1位【4-1-2-23】
・2位【3-2-4-19】
・3位【1-1-0-15】
・4~5位【2-4-1-20】
・6位以下【0-2-3-68】
※前走が海外、地方、競走中止の3頭は除く。皐月賞で競走除外のダノンデサイルは京成杯を前走とする。
少々意外だったが、上がり1位も同4~5位も成績に大差はない。ただ、同6位以下になると【0-2-3-68】の勝率0.0%、連対率2.7%だから極端な落ち込みが見られる。「前走上がり6位以下は伏兵でしょ?」とツッコミが入るかもしれないが、決してそんなことはない。
22年には1番人気のダノンベルーガ(皐月賞で上がり8位タイ)が4着、2番人気のイクイノックス(皐月賞で上がり8位タイ)が2着、そして昨年は1番人気のジャスティンミラノ(皐月賞で上がり6位タイ)が2着に敗れているのだ。後にGⅠを6勝する歴史的名馬でも、単勝2.2倍の圧倒的1番人気でも勝てなかったという事実は重い。
そして、この結果はおそらく偶然ではない。その理由は? ここからは推測だが、ダービーを勝つために求められるのは、東京の長い直線で最後まで末脚を伸ばせる力。その点、前走で早めに動いてラストで失速する=上がり3Fが6位以下、というレース運びは、仮に勝てていたとしてもダービーとリンクしないのだ。
VTRを見ていただけると分かりやすいが、昨年の皐月賞のジャスティンミラノはその典型的なパターンだったといえる。
クロワデュノールとサトノシャイニングのアタマはなし
今年のダービーのメンバーを見てみよう。皐月賞組では勝ち馬のミュージアムマイルが上がり4位でクリア。しかしながら、2着のクロワデュノールは同8位タイだった。勝負所で外から進出しながら、ゴール前で脚が鈍った内容は"負けて強し"と言えなくもないが、ダービーにつながるとは言い難い。
また、クロワデュノールをマークして早めに動いた分、最後は失速して5着だったサトノシャイニングは同6位。こちらも決して褒められたレース運びではなかった。今回はダービー男・武豊騎手への乗り替わりとなるが、これで過剰人気するようなら危険な人気馬となる。
ダービーの馬券をどう買うか。そこは追い切りの動き、さらには枠順などを吟味して結論を出したいが、「クロワデュノールとサトノシャイニングのアタマはなし」。これだけは揺るがさないようにして、レースを楽しみに待ちたい。
《ライタープロフィール》
逆瀬川龍之介
国内の主要セール、GⅠのパドックはもちろん、時には海外のセリにも足を運ぶ馬体至上主義のライター。その相馬眼を頼りにする厩舎関係者、馬主は少なくない。一方、マニアック、かつ実用的なデータを駆使して、ネット媒体や雑誌などにも寄稿するなど、マルチな才能を持っている。
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