【日本ダービー】断トツ7勝の皐月賞組が圧倒的な強さ ミュージアムマイルとクロワデュノールを信頼

三木俊幸

ミュージアムマイルとクロワデュノール,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

参考レース振り返り

6月1日(日)に東京競馬場で行われる日本ダービー(GⅠ・芝2400m)。3歳世代の頂点に立つのはどの馬か、過去10年のデータとともに主な参考レースを振り返る。

なお、データランクは好走率や勝利数をもとに、レースレベルはレーティングや出走馬の成績などを考慮してランク付けしている。

皐月賞【データ:A レースレベル:A】

過去10年の成績【7-9-7-74】勝率7.2%、連対率16.5%、複勝率23.7%
・最多勝利
・皐月賞1着から参戦【2-4-1-3】勝率20.0%、連対率60.0%、複回収率113%
・皐月賞2着から参戦【2-2-1-5】勝率20.0%、単回収率123%
※24年競走除外となったダノンデサイルは前走京成杯として扱う

【2025年レース回顧】
ハナを奪ったピコチャンブラックが1000m通過59.3のマイペースに持ち込んだものの、最後方にいたファウストラーゼンが一気に捲って、後半は57.7(11.4-11.5-11.8-11.4-11.6)とタフな流れ。直線は外から1番人気クロワデュノールが早め先頭に立ったところ、4角10番手というポジションだったミュージアムマイルが外から豪快に差し切り。勝ちタイムは1:57.0で決着した。

このレースは1角手前でマスカレードボールがやや強引な進路取りで、向正面ではニシノエージェントが外に動いたこととアロヒアリイが内に動いたことで不利を受けた馬が多数いた。勝利したミュージアムマイルも向正面で接触する場面があったが、そうした影響を感じさせない強さだった。

1番人気の支持を集めたクロワデュノールは4番手を追走していたが、同じく向正面で外から不利を受けた馬の煽りを受けて内に押しこまれてポジションを下げてしまった。北村友一騎手はすぐさま巻き返して進路を外にとって早めに動いたが、結果的に減速せざるを得なかったロスが痛かった。敗れはしたが、世代トップクラスの能力があるのは間違いない。

3着マスカレードボールは1角で他馬に迷惑をかけたが、中団よりやや後ろから運ぶと最後の直線での末脚は目を見張るものがあった。東京へのコース替わりはプラス、更なる前進が期待できそうだ。

4着ジョバンニは6番手という絶好のポジションにつけたかとも思われた。しかし向正面ですぐ内にいたニシノエージェントが外に動いたところで外のミュージアムマイルと接触。さらに内に押しやられたクロワデュノールのわずかな動きによって再びミュージアムマイルとぶつかりブレーキをかける場面があり、3角では11番手まで後退した。大きな不利がありながら3着から半馬身差まで追い上げ、地力の高さは改めて見せた。

5着サトノシャイニングは16番枠からのスタートで、1角で不利を受けた。その後も外を回す形になりながらもしぶとく伸びた内容はダービーにもつながるだろう。

カラマティアノスは7枠14番だったが、うまくインコースに入れて後方から5、6頭目を追走。直線は徐々に外へと持ち出しながら追われたが、10着という結果だった。共同通信杯でマスカレードボールと0.1秒差の2着という実績があり、コース替わりで巻き返しを狙う。

エリキングは1角でマスカレードボールと何度も接触する不利があり、勝ち馬からは1.0秒差の11着と力を出し切ることができずに終わった。しかし、骨折休み明けだったことを考慮すると使われた上積みは大きく、東京コースと距離延長も歓迎材料だ。

ニシノエージェントは好位のインにつけるも、向正面でポジションを下げて直線でも伸びを欠いて13着。

15着ファウストラーゼンは序盤、最後方追走となるもいつものように向正面で捲っていった。しかし、高速馬場で速い上がりが求められる展開では苦しかった。

6番手を追走していたドラゴンブーストも直線に向いた時点では手応えが怪しく、17着に終わった。

毎日杯【データ:B レースレベル:C】

過去10年の成績【1-0-0-7】勝率12.5%、連対率12.5%、複勝率12.5%
・2021年シャフリヤールが勝利
・単回収率146%

【2025年レース回顧】
スタートしてウォータークラークとガルダイアの先行争いが続いて12.6-10.7というラップが計測されたが、400mを過ぎたところで決着。ガルダイアが単騎先頭に立つと11.9-12.7-12.6とペースは落ち着いた。

一団で流れるなか、後方のインで脚を溜めていたファンダムは直線で外に持ち出されるとレース上がり33.3(11.2-10.8-11.3)のところ、32.5の豪脚で突き抜けた。勝ちタイムは1:45.9。懸念されていた1800mは全く苦にせず、最後は余裕もあっての勝利。更なる距離延長に不安がないわけではないが、それを上回る底知れぬ素質はここまでの3戦で十分示している。

京都新聞杯【データ:B レースレベル:C】

過去10年の成績【1-1-0-15】勝率5.9%、連対率11.8%、複勝率11.8%
・2019年ロジャーバローズが勝利
・単回収率547%

【2025年レース回顧】
稍重で行われたレースはナグルファルがハナを奪ったが、向正面から3角にかけて13.2-13.1-13.4と超スローペース。坂の下りでペースが上がったが、最後は瞬発力勝負になった。

直線は横に広がっての攻防となったが、2番手追走から馬場の真ん中に持ち出したショウヘイが力強く伸びて勝利。勝ちタイムは2:14.7だった。ハイレベルの皐月賞組相手にどこまで迫れるかがカギとなるが、2400mへの距離延長は問題ない。

2着エムズは3番手のインを追走。ロスなく直線も最内を突いたが、ショウヘイには2馬身半差つけられた。

トッピボーンは3歳1勝クラスを勝利した際の内容が良く、最後方追走から楽々と抜け出して後続に4馬身差、1:57.9の好タイムを記録。その内容が評価されて1番人気の支持を集めたが出遅れて後方からのレースとなり、4着までが精一杯だった。

青葉賞【データ:C レースレベル:B】

過去10年の成績【0-0-2-19】勝率0.0%、連対率0.0%、複勝率9.5%
・2023年ハーツコンチェルトなど3着が最高成績

【2025年レース回顧】
良馬場ながら雨が強まる中でレースを迎えた。ハナを奪ったのはガルダイア、後続に3〜4馬身のリードを保ち、59.9で1000mを通過。ゴール前は4頭が並んだ接戦となり、11.3-11.2の加速ラップでの決着となったが4角12番手から大外を伸びたエネルジコが差し切って勝利。勝ちタイム2:24.8、デビューから3連勝で重賞初制覇を飾った。

エネルジコの一列前で運んだファイアンクランツは、わずかにクビ差及ばずの2着。勝ち切れないレースが続くが、2400mへの距離適性はこれまでのレースからも証明済みだ。

《ライタープロフィール》
三木俊幸
編集者を経てフリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場でレースシーンを撮影しながら、執筆活動も行っている。

《関連記事》
【日本ダービー】過去10年のレースデータ
【日本ダービー】ワグネリアンの2018年は三連単285万馬券に 春の大一番の「記録」を振り返る
【日本ダービー】皐月賞組はミュージアムマイルが一枚上 別路線なら毎日杯1着ファンダムが刺客筆頭