【日本ダービー】36度目で初めて重賞未勝利のまま迎える大舞台 武豊とサトノシャイニングにかかる大偉業
SPAIA編集部

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
ダービー7勝目&最年長勝利記録奪回に期待
いよいよ「競馬の祭典」日本ダービー(6月1日・東京競馬場)が迫ってきた。今年がデビュー39年目、56歳を迎えた武豊騎手はサトノシャイニングとのコンビで大一番に挑む。
昨年までの38年間のキャリアで、日本ダービーは計35回騎乗。成績は【6-3-2-24】勝率17.1%、複勝率31.4%となっており、通算6勝は歴代最多だ。
直近では2022年にドウデュースとのコンビで優勝。53歳2カ月15日でのダービー制覇は当時の史上最年長記録として大きな話題となった。昨年、ダノンデサイルに騎乗した横山典弘騎手が56歳3カ月4日でその記録を更新。今年は前人未到のダービー7勝目に加えて最年長勝利記録の奪回にも期待が掛かるところだが、今年のレジェンドは苦悩の週末が続いている。
というのも、オークスまでを終えた現時点でJRA重賞の勝ち鞍はゼロ。地方も含めれば2月に船橋のクイーン賞(JpnⅢ)をオーサムリザルトとのコンビで制しているが、中央での重賞勝利は昨年11月のジャパンカップ(GⅠ/ドウデュース)が最後となっているのだ。
デビューイヤーの1987年こそ10月まで重賞勝ちがなかったが、2年目以降では5月まで重賞未勝利だったという年は過去に一度もない。ちなみに、デビューイヤーはダービーに騎乗していないため、「重賞未勝利で迎えるダービー」は39年目にして初めてのことになる。
「衰え」指摘する声を吹き飛ばした父キズナでのダービー制覇
今年、ともに大一番に挑むのがサトノシャイニング。きさらぎ賞(GⅢ)の勝ち馬で、前走の皐月賞(GⅠ)でも5着と奮闘した実力馬だ。
同馬とは今回が初コンビとなるが、1週前追い切りからコンタクトを取って背中の感触は確かめている。何よりサトノシャイニングの父であるキズナの背中を知っているということが頼もしい。
2010年に落馬事故に遭った武豊騎手にとって、2012年末のキズナとの出会いは騎手人生における大きなターニングポイントとなった。約4カ月に及ぶ戦線離脱の後、復帰を果たして以降も思うような結果を残すことができず、2011年は故障離脱があった前年を下回る年間64勝にとどまり、2012年も56勝止まり。これはルーキーイヤーをも下回るキャリアワーストの成績だった。
当時43歳ながら衰えを指摘する声も噴出してきたなか、12月のラジオNIKKEI杯2歳S(現・京都2歳S)でキズナと出会う。そこでは勝ち馬エピファネイアから0秒1差の3着に敗れたが、翌年3月の毎日杯(GⅢ)で重賞勝利を挙げると、続く京都新聞杯(GⅡ)も連勝。ダービーでは1番人気、単勝2.9倍の支持を受ける。
1番枠から最後方グループに控え、4角14番手から直線では外を選択。残り300mを過ぎたあたりで前が開きエンジンがかかると、前年末に敗れていたエピファネイアを外から差し切って先頭でゴール板を駆け抜けた。前年秋のマイルCS以来となるGⅠ制覇、ダービーはキズナの父ディープインパクトで勝った2005年以来、実に8年ぶりの優勝だった。
東京競馬場に集まった14万人からは割れんばかりの『ユタカコール』。レース後の騎手インタビューで飛び出した「僕は帰ってきました!」は近年の競馬史における名シーンとして今でも語り継がれている。
あれから12年、再び苦悩の中にあるレジェンドが、そのキズナの仔とともに日本ダービーへ挑む。それだけでも競馬ファンにとっては心躍る要素となる。
史上初“日本ダービー父仔3代制覇”への挑戦
加えて、サトノシャイニングと武豊騎手のコンビにはとある“大記録”もかかっている。
上述の通りサトノシャイニングの父キズナとその父ディープインパクトはダービー馬であり、もしサトノシャイニングも日本ダービーを制することになれば、史上初となる「日本ダービー父仔3代制覇」が達成されるのだ。
ディープインパクト→キズナ→その産駒でのダービー3代制覇への挑戦といえば、2020年ディープボンド(5着)を皮切りに8頭が挑戦したが、これまで勝ち馬は出ていない。昨年は無敗の皐月賞馬ジャスティンミラノが挑んだが、惜しくも2着に終わっている。
ちなみに、武豊騎手がダービーでキズナ産駒に騎乗するのは今回が初めて。史上初の父仔3代制覇がすべて同じ騎手によって達成されるとなれば、空前絶後の大偉業と言っても過言ではないだろう。
今年の日本ダービーも、やはりレジェンド武豊から目が離せない。
《ライタープロフィール》
編集部ざきお
1993年1月21日生まれ。右投右打。SPAIA競馬ch出演中。木曜20時はライブ配信『ケイバアイドリングタイム』。ぜひご覧ください!
【ひと言】
みなさん、プロ麻雀リーグ『M.LEAGUE』(以下、Mリーグ)ってご存知ですか?5月16日に7シーズン目の全日程が終了し、今季はセガサミーフェニックスが悲願の初優勝を果たしました。元所属選手で、今季限りでの勇退が決まっていた近藤誠一監督の涙と胴上げには心を打たれました。
関係ない話と見せかけて実はこの記事ともつながりがありまして、サトノシャイニングを所有する里見治氏はセガサミーホールディングスの代表取締役会長。さらに今回のダービーにはMリーグの発起人であるサイバーエージェントの代表取締役社長・藤田晋氏(Mリーグチェアマン)が所有するエリキングも出走予定と、麻雀業界からも熱い視線が注がれる頂上決戦となります。
ちなみに、里見治氏(サトミホースカンパニー時代含む)は過去11回ダービーに挑んで【0-2-1-8】。2015年はサトノラーゼンが2着でサトノクラウンが3着、2016年もサトノダイヤモンドで2着とあと一歩頂点には手が届きませんでした。
「最も運のある馬が勝つ」とも言われるダービー。その点、里見氏には麻雀界からの追い風が吹いています。勢いのままに長年の悲願を達成することができるのか。そしてその良い流れにあやかって、セガサミー野球部に都市対抗の舞台に舞い戻ってもらいたい…。そんな想いでダービーを見守ろうと思います(※馬券は別です)。
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