【日本ダービー】複勝率46.3%、皐月賞5番人気以内馬が中心 「前走は負けて強し」クロワデュノールを一番手評価

貴シンジ

日本ダービー 前走皐月賞組の条件別成績(過去10年),ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

3つのファクターから推奨馬を見つけ出す

6月1日に東京競馬場で行われる第92回日本ダービー。“競馬の祭典”とも呼ばれるこの一戦を下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析する。

・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走内容」
・適性と素質を知るための「血統評価」

除外対象のジュンアサヒソラを除いた19頭を検討対象とし、データは過去10年を使用する。

重要データ:基本は皐月賞の上位人気馬から

主な前走レース別成績,ⒸSPAIA


ダービーでは前走皐月賞組が【7-9-7-74】と第一冠から参戦していた馬の活躍が顕著だ( 競走除外の24年ダノンデサイルは含まず)。とはいえ、皐月賞組全体の回収率(単38%、複54%)はレース平均(単106%、複65%)よりも低いためもう少し深掘りする。

皐月賞での人気別成績に着目すると、5番人気以内だった馬の成績が【7-8-4-22】で複勝率は46.3%と非常に高く、データからは皐月賞の上位人気馬を中心に考えるのが鉄則だ。ダービーでも人気はしやすいが、それでも回収率は単複ともに90%オーバーと良好だ。

皐月賞組以外で勝ち馬を輩出しているローテーションは京都新聞杯と毎日杯。19年ロジャーバローズ(京都新聞杯2着)、21年シャフリヤール(毎日杯1着)が勝利している。前者は当日12番人気の大穴的存在だったが、後者は毎日杯の内容を評価されて4番人気に推されていた。

基本は皐月賞の上位人気馬を中心に考えつつ、レースレベルや内容を考慮して別路線組も馬券に組み込むのが吉だ。

【前走皐月賞5番人気以内の出走予定馬】
・エリキング
・クロワデュノール
・サトノシャイニング
・マスカレードボール
・ミュージアムマイル

前走内容:皐月賞

前走皐月賞からは計10頭が出走を予定。ここでは注目馬に絞って回顧する。今年の皐月賞は前半5Fが59.3秒、後半5Fが57.7秒で後傾1.6秒。数字上はスローペースだが向正面で動いた馬が複数頭いて、前で競馬した馬には厳しいレース展開だった。

結果、後方で構えた馬が上位をほとんど独占し、先行して掲示板内を確保したのはクロワデュノールただ一頭。勝ち馬ミュージアムマイルは並ぶ間もなくクロワデュノールを差し切ったが、展開が向いたことは間違いないだろう。

また、クロワデュノールは向正面で他馬が捲った際、走りのリズムを崩してしまった。様々な不利があったなかで2着に粘ったのは実力の証であり、皐月賞で最も強い競馬をしたのはクロワデュノールだと言える。

一方、上位人気馬の中で後方から競馬しながら10着に敗れたエリキングは割引が必要だ。

血統解説:クロワデュノール

クロワデュノールの血統表,ⒸSPAIA


・クロワデュノール
母ライジングクロスが英国産馬のため、母が日本での牝祖。5代母Windmill Girlを根幹としてファミリーは広がっており、同馬自身も英国でリブルスデイルS(現GⅡ・芝12F)勝ちや英オークス(現GⅠ・芝12F)2着がある実績馬だ。

産駒からはBlakeneyとMorstonと2頭の英ダービー馬が誕生。以降の産駒でもカンバーランドロッジS(GⅢ・芝12F)勝ちや愛ダービー(GⅠ・芝12F)3着のIle de Nisky、ロッキンジS(GⅠ・芝8F)2着で重賞4勝のMac Loveなども出ている。

ヨーロッパのクラシック牝系といっても過言ではなく、スタミナと持続力はかなりのもの。母ライジングクロスも現役時代、英オークス(GⅠ・芝12F)2着、愛オークス(GⅠ・芝12F)3着の実績があり、十分GⅠ級といえる逸材だ。産駒には芝8~10Fで3勝し、マーメイドS3着の実績があるアースライズ(父マンハッタンカフェ)がいて優秀な繁殖と言える。

本馬は父にキタサンブラックを迎えた。元々、成長力のあるファミリーだが、姉アースライズがマンハッタンカフェ産駒であることを考えても、成長力を伸ばして粘り強さを出せるような配合が合っている。キタサンブラックはベストな配合で、機動力とスピードに秀でた馬と言えるだろう。前走のように、不利な展開ながら前々で競馬をまとめられたのはまさにこの血統らしさが出た一戦だった。

距離延長は歓迎で、2400mへの不安は一切ない。前走時は身体つきを見ても目一杯に仕上げたという感じではなく、8割程度の仕上げといった印象。状態面で上積みがあれば勝利は近いだろう。

Cアナライズはクロワデュノールを推奨

今回のCアナライズではクロワデュノールを推奨する。皐月賞では単勝1.5倍の圧倒的人気に支持されながら2着と敗れてしまったが、内容は決して悲観するものではなく、むしろこの馬の強さがより際立つレースだった。

今回も1番人気が予想されるが、前走よりもオッズがつくのであれば十分狙い目だ。データ、血統、これまでの走りから見える素質、あらゆる観点から本馬を一番手に評価する。

《ライタープロフィール》
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。

《関連記事》
【日本ダービー】過去10年のレースデータ
【日本ダービー】36度目で初めて重賞未勝利のまま迎える大舞台 武豊とサトノシャイニングにかかる大偉業
【日本ダービー】断トツ7勝の皐月賞組が圧倒的な強さ ミュージアムマイルとクロワデュノールを信頼