【オークス】距離延長で逆転濃厚、アルマヴェローチェが本命 “中距離2戦2勝”カムニャックも警戒

東大ホースメンクラブ

過去10年のオークス、人気に関する条件別成績

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牝馬クラシック二冠目

25日(日曜)、東京競馬場でGⅠ・オークスが行われる。桜花賞を制したエンブロイダリーが二冠を目指し、2歳女王アルマヴェローチェ、リンクスティップらがリベンジを狙う。そこに別路線組からカムニャック、レーゼドラマらも参戦した。

人気馬に距離不安が囁かれることが多いものの、近年は桜花賞好走馬が順当に結果を残しているこのレース。二冠牝馬誕生か、あるいは新女王の戴冠か。今回も過去10年のデータから検討する。

末脚光る差し馬から狙え

オークスの条件別別成績,ⒸSPAIA


<オークス 条件別成績>
2番人気以内
【7-5-3-5】勝率35.0%/連対率60.0%/複勝率75.0%
桜花賞4角4番手以下でオークス3番人気以内
【7-4-3-3】勝率41.2%/連対率64.7%/複勝率82.4%
クイーンC出走かつオークス3番人気以内
【2-2-2-0】勝率33.3%/連対率66.7%/複勝率100.0%
フローラS上がり3F2位以内でオークス4番人気以下
【0-2-1-6】勝率0.0%/連対率22.2%/複勝率33.3%

ほぼ全ての馬が大幅な距離延長となるオークス。しかしGⅠの中でも人気馬が期待に応えているレースと言え、1~2番人気が【7-5-3-5】で複勝率75.0%。3番人気【3-0-1-6】までで勝ち馬を独占する。今年も軸は堅実に人気馬から選びたい。

1~3番人気馬に関するデータを掘り下げる。前走桜花賞組が【7-4-4-6】だが、そこで4角4番手以下だった馬は【7-4-3-3】複勝率82.4%。唯一の例外にあたる18年3着ラッキーライラックも桜花賞こそ4角3番手だったが、阪神JFでは4角8番手から差し切っていた。阪神JF、桜花賞どちらも差す競馬をしたアルマヴェローチェには今回も期待できそうだ。

またクイーンCに出走していた馬は6頭いて【2-2-2-0】複勝率100%(いずれもクイーンC2着以内)。エンブロイダリーはクイーンCを先行して勝利したことが距離不安の根拠にも挙げられているが、前例として22年1着スターズオンアース(クイーンC4角3番手2着→桜花賞4角9番手1着)があり、21年2着アカイトリノムスメ、23年2着ハーパーもクイーンCは4角5番手以内だった。やはりこちらも有力候補だ。

4番人気以下は全体で【0-5-6-136】。2桁人気からも5回の激走があり、ヒモには組み込みたい。ここで鍵となるのは位置取りというよりもシンプルに末脚。前走上がり3F3位以内馬が【0-4-4-47】複勝回収率108%で、よりピンポイントに言えばフローラSの上がり3F2位以内が【0-2-1-6】同121%となっている。

該当するのはタイセイプランセスと、矢車賞を挟んだタガノアビー。中でも2走連続で上がり33秒台前半の脚を使えたタガノアビーを推奨してみたい。なお、矢車賞からの好走例は21年16番人気3着ハギノピリナがある。

最後に、全体として前走が逃げ先行だった馬は厳しく、1~5番人気でも【0-0-1-12】。フェアリーSと桜花賞どちらも先行していたエリカエクスプレスは消しとする。

桜花賞のリベンジ果たせる

◎アルマヴェローチェ
阪神JFでは上がり最速、2着に0秒2差をつける完勝で2歳女王に輝いた。桜花賞はクビ差2着だが上がりでは勝ち馬を上回っており、わずかな位置取りの差によるもの。実力負けではない。

桜花賞時には「札幌2歳Sのメンバーレベルに疑問」と書いたが、その後勝ち馬マジックサンズが皐月賞6着→NHKマイルC2着、3着ファイアンクランツは青葉賞2着、4着モンドデラモーレはNHKマイルC4着と重賞戦線で活躍。不安は払拭された。距離延長、馬場が渋る可能性のどちらも歓迎であり、逆転濃厚とみる。

◯エンブロイダリー
2走前のクイーンCでは、コートアリシアンやショウナンザナドゥなど後の重賞好走馬を相手に0秒4差の圧勝。桜花賞では中団から差す競馬をさせており、勝利したこと以上に経験面を評価したい。

距離不安は付きまとうが、会見によると鞍上のC.ルメール騎手は不安視していない模様。本筋から離れるが、先週筆者はヴィクトリアマイルで差し有利と書き、近走先行策をとっていたアスコリピチェーノの評価を下げた。しかし蓋を開けてみると4角15番手からの差し切り勝ち。改めてルメール騎手の腕を思い知った。これ以上評価は下げられない。

▲カムニャック
新馬戦は勝ち時計こそ平凡だがラスト2Fで10.9-10.9を刻んで勝利。その内容から1番人気に推されたアルテミスSは6着だったが、2着まではタイム差なし。続くエルフィンSは前が止まらない展開かつ約4か月ぶりのレースで参考外。前走のフローラSは中団から綺麗に抜け出して0秒2差の快勝であった。

キャリア4戦のうち1600m戦はともに4着以下、2000mは2戦2勝と中距離に適性がありそうで、オークスでも前走のようなパフォーマンスが見られるだろう。上位人気の馬たちとは初対戦となるが、可能性はある。

以下リンクスティップ、パラディレーヌ、タガノアビーまで印を回す。買い目は◎単勝と◎軸の馬連で勝負する。

▽オークス予想▽
◎アルマヴェローチェ
◯エンブロイダリー
▲カムニャック
△リンクスティップ
×パラディレーヌ
×タガノアビー

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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