【オークス】桜花賞組が2年連続で馬券内独占、勝ち馬の勝率は50% エンブロイダリーは2冠達成なるか
三木俊幸

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
参考レース振り返り
5月25日(日)、東京競馬場ではオークス(GⅠ・芝2400m)が行われる。今回も過去10年のデータとともに主な参考レースを振り返る。
なお、データランクは好走率や勝利数をもとに、レースレベルはレーティングや出走馬の成績などを考慮してランク付けしている。
桜花賞【データ:A レースレベル:A】
過去10年の成績【7-5-7-63】勝率8.5%、連対率14.6%、複勝率23.2%
・直近2年連続で1〜3着独占
・桜花賞1着からの参戦は【4-1-0-3】勝率50.0%
【2025年レース回顧】
雨が降るなかで行われた桜花賞は、好スタートを決めたエリカエクスプレスが逃げる展開となる。800m通過は46.6。直線は中団を追走していたエンブロイダリーとアルマヴェローチェが抜け出しての争いとなったが、エンブロイダリーがクビ差で押し切り。馬場状態は稍重ながら重に近い状態だったことを考慮すると、勝ちタイム1:33.1は優秀なものだったと言える。
エンブロイダリーは新潟芝1800mの未勝利戦で1:45.5のレコードタイムを記録、2走前のクイーンCでも1:32.2と高速決着で強いレースを披露していたが、稍重ながら重に近い状態の馬場も全く苦にしなかった。総合的な能力も高く、2冠も狙える。
2歳女王アルマヴェローチェは阪神ジュベナイルフィリーズ以来の休み明け。クビ差敗れたものの、上がり最速となる33.9の末脚を繰り出して底力は見せつけた。後続には2馬身半差をつけており、上位2頭が抜けた存在だったと言えるだろう。距離延長とフレッシュさを踏まえると、逆転の可能性もありそうだ。
3着リンクスティップはダッシュがつかず、1頭だけやや離れた最後方からのレースとなった。勝負所では大外から徐々にポジションを押し上げ、4角では15番手。上がり34.0の末脚で伸びたが、前2頭には及ばなかった。それでも4着マピュースには2馬身半差をつけている。デビューから2戦連続で2000m戦を使われ、きさらぎ賞では後に皐月賞で5着に入るサトノシャイニングの2着。こうした戦歴から距離延長はプラス材料と言える。
1番人気だったエリカエクスプレスは自身を除く9着までが中団より後ろから運んだ馬たちだったということからも、逃げて5着は地力の高さの証し。あとはどこまで距離延長に対応できるかに尽きる。
9着ブラウンラチェットは大外枠から出負け気味のスタートで後方2番手追走となった。直線では外が伸びるなかで最内を選択し、伸びきれずに終わった。
11着ビップデイジーは好位集団の一角を追走。展開が向かず、直線は後退してしまった。近2走は先行しているが、それ以前のように道中脚を溜める形の方が距離延長にも対応できそうな印象は受ける。
忘れな草賞【データ:A レースレベル:C】
過去10年の成績【2-0-1-9】勝率16.7%、連対率16.7%、複勝率25.0%
・直近の優勝は2019年ラヴズオンリーユー
・2020年はウインマイティーが13番人気3着と好走
【2025年レース回顧】
桜花賞当日に行われた忘れな草賞。今年は8頭立ての少頭数となり、1角で押し出されるように先頭に立ったロヴィーサが逃げる展開で、1000m通過は1:02.7だった。
2番手を追走していたサヴォンリンナは手応えよく直線に向くと、内から迫ったサタデーサンライズの追い上げを封じて勝利。勝ちタイムは2:03.5で決着した。切れる脚はないが、スタミナタイプで距離延長は問題なさそうだ。

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
2着サタデーサンライズは3番手のインを追走。直線では前に迫ったが、サヴォンリンナからは1馬身1/4差だった。
フローラS【データ:C レースレベル:B】
過去10年の成績【1-3-1-36】勝率2.4%、連対率9.8%、複勝率12.2%
・2021年ユーバーレーベンが勝利
【2025年レース回顧】
内枠から好スタートを切ったのはロートホルンだったが、向正面でエストゥペンダが一気に捲っていき、1000m通過は59.9というペースになった。勝利したのは中団馬群で脚を溜めていたカムニャック。残り100mを切ったところで前を捉えると、後続に1馬身1/4差をつけ、勝ちタイムは1:58.6だった。
昨年8月の中京芝2000mの新馬戦では中団追走から差し切り勝ち。ラスト10.9-10.9というラップが記録されるなど、非凡な素質を感じる内容だった。その後はマイル戦で結果が出なかったが、フローラSの内容からも適距離は2000m以上にある。相手は強くなるが、瞬発力を発揮できる展開になれば上位争いに加わってきそうな存在だ。
タイセイプランセスは道中後方2番手からのレースとなった。直線では進路が狭くなり、外へと切りかえる場面もありながら、上がり最速33.0の末脚で追い込み3着。18番人気という低評価を覆す走りだった。
4着エストゥペンダは向正面で捲って先頭へ。結果は差し馬有利の展開となったが、直線も残り100m過ぎまでしぶとく粘った内容は悪くなく、力は出し切った。
ゴーソーファーは中団やや後ろを追走するも、直線では伸びきれず16着。フラワーC3着と能力はあるものの、瞬発力勝負では分が悪かった。
フラワーC【データ:C レースレベル:B】
過去10年の成績【0-1-0-8】勝率0.0%、連対率11.1%、複勝率11.1%
・2022年スタニングローズが10番人気2着
【2025年レース回顧】
レースの主導権を握ったのはハードワーカー。1000mを1:00.1で通過したが、3角に差しかかったところで2番手を追走していたレーゼドラマが交わして先頭に立った。直線に向いても手応え良く後続を寄せつけない走りを披露。後続に2馬身半差、1:47.8というタイムで勝利した。2400mの距離は2走前のゆりかもめ賞で経験済み、先行力を活かしてスタミナ勝負に持ち込みたい。

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
2着パラディレーヌは未勝利戦で後続に0.7秒差、1勝クラスのつばき賞は0.5秒差といずれも2番手追走から強いレースを披露。その内容から1番人気に推されたが、スタートで出遅れてしまう。後方から5番手で馬群の中に囲まれる厳しい展開となるも、直線は外から上がり最速の末脚で伸びた。敗れはしたが、素質の高さは感じる内容だった。
レーヴドロペラは道中後方から3番手を追走。直線は外へと持ち出されて追い上げたが、勝ち馬から1.2秒差の7着という結果に終わった。
《ライタープロフィール》
三木俊幸
編集者を経てフリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場でレースシーンを撮影しながら、執筆活動も行っている。
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