【目黒記念】菊花賞3着アドマイヤテラに立ちはだかる“連敗データ” 日経賞組要チェック、激走期待のゴールドシップ産駒も
勝木淳

ⒸSPAIA
ダービーの負けを挽回する好機
目黒記念がダービーデーの最終レースになって19回目を迎える。
2005年まではダービー前日に行われた。2000年、雨の目黒記念をステイゴールが勝利し、薄暗い場内に光が差した。武豊騎手に乗り替わって一発回答。25年経っても「乗り替わり武豊」はパワーワードのまま。あの頃よりさすがに信頼度はやや落ちたとはいえ、乗り替わりで票を集めるのは変わらない。レジェンドの25年を見つめ続けた身として、その凄みを噛みしめる。
2006年からダービー当日の最終レースに移り、2011年以外の18回ダービーデーを締めくくってきた。
18回のうち、最多勝利は人気だと1、3、8番人気の4勝。枠番は7枠4勝で年齢は6歳6勝。現役騎手だと横山典弘騎手、内田博幸騎手にD.レーン騎手が各2勝。現役調教師では友道康夫調教師と藤原英昭調教師が各2勝。今年、競馬の祭典の閉幕を告げるのはどの人馬だろうか。データは過去10年分を使用する。
1番人気【2-2-3-3】(勝率20.0%、複勝率70.0%)、2番人気【1-1-1-7】(勝率10.0%、複勝率30.0%)、3番人気【2-0-0-8】(勝率・複勝率20.0%)と上位3頭は大差なし。
一方、全幅の信頼をおけるほどでもなく、8番人気【2-0-2-6】(勝率20.0%、複勝率40.0%)や9番人気【1-0-1-8】(勝率10.0%、複勝率20.0%)、さらには10番人気以下【1-2-2-71】(勝率1.3%、複勝率6.6%)と伏兵台頭の可能性も残す。ダービーでやられた分を取り返す機会を目黒記念に求めたい。
4歳【3-2-1-28】(勝率8.8%、複勝率17.6%)に対し、5歳【2-4-2-37】(勝率4.4%、複勝率17.8%)、6歳【3-4-2-31】(勝率7.5%、複勝率22.5%)、7歳以上も【2-0-5-40】(勝率4.3%、複勝率14.9%)と年齢の差は出走数を踏まえれば、ほぼないに等しい。年齢を気にして評価の上げ下げをせず、フラットに考えたいところだ。
アドマイヤテラは連敗データを止められるか
人気の中心は菊花賞3着アドマイヤテラあたりだろうか。大阪-ハンブルクCを勝ち、再始動初戦を順調に終えた。ほかでは日経賞組や、湾岸Sを勝って昇級初戦になるスティンガーグラスといった陣容だろうか。
まず特徴として、前走GⅠが【0-1-2-14】(複勝率17.6%)と思ったほど走らない。天皇賞(春)組が【0-1-0-9】(複勝率10.0%)と冴えず、GⅠ経験は好走に結びつかない。ただ今年は前走GⅠ組の出走はなし。
かわって前走GⅡが【4-2-4-31】(勝率9.8%、複勝率24.4%)、GⅢも【3-0-1-12】(勝率18.8%、複勝率25.0%)と好走馬を多く送る。
前走重賞の内訳をみると、日経賞【4-1-2-11】(勝率22.2%、複勝率38.9%)が目立つ。舞台は違えど、同じ2500m戦とあってつながってくる。
日経賞の着順別成績では3着以内【2-1-1-1】、6着以下【2-0-1-8】なので好走していれば文句なしだが、6着以下ばかりなのでそう飛びつけない。とはいえ、数字的には評価していい。牝馬ヴェルミセル、ベテランのマイネルウィルトス、2走前にGⅡ2着があるマテンロウレオなど候補は多い。
前走OP・Lは【1-6-3-53】(勝率1.6%、複勝率15.9%)で、大阪-ハンブルクC組は【1-2-0-8】(勝率9.1%、複勝率27.3%)となっている。
ところが、このレースは直近10年の間に距離が変わっており、2400m【1-1-0-4】に対し、2600mとなって以降は【0-1-0-4】とややトーンダウン。それも勝ち馬は【0-0-0-3】と連敗中で、アドマイヤテラは連敗を止められるだろうか。
前走メトロポリタンS組は【0-4-2-34】(複勝率15.0%)で、3着以内【0-3-0-13】、6~9着【0-1-2-10】と取捨しづらい。1着マイネルクリソーラは東京【2-2-3-2】、2着マイネルカンパーナ同【2-1-0-6】。同馬は東京芝2400m【2-1-0-2】で安定感が増す。
マイネルカンパーナの父はゴールドシップで、過去10年の目黒記念における同産駒の成績は【1-0-1-2】。ウインキートスが2年連続8番人気で出走して1着、3着と好走した。長距離、平坦に強い血統であり、坂を上がった残り200mで粘りを発揮する。
《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『オルフェーヴル伝説 世界を驚かせた金色の暴君』(星海社新書)に寄稿。
《関連記事》
・東京芝はルメール騎手以外に池添謙一騎手も狙い目 騎手、種牡馬の府中巧者を徹底検証
・現4歳世代は「イクイノックス世代」に匹敵! ダービー組は芝の上級条件で単複回収率100%超
・“イン突き”の岩田康誠騎手は内枠で単回収率900%超え GⅡで妙味のある騎手、厩舎を東大HCが調査