【オークス】本命はリンクスティップ 桜花賞は最も強い競馬、距離延長も問題なし

京都大学競馬研究会

オークス 上がり3F5位以内馬の成績

ⒸSPAIA

持続戦で速い上がりが使える馬を中心に

5月25日(日)にオークス(GⅠ)が行われる。以下では、本レースが行われる東京芝2400mのコース形態とそれに起因するレースの質、そして想定される展開を踏まえ予想する。

まずは東京芝2400mのコース形態をみる。正面スタンド前の直線からスタートし、初角までの距離は約350m。先手争いにおいて内外の有利不利はほとんどない。スタート後はしばらく平坦で、1コーナーから向正面半ばにかけて緩やかに下る。残り1200m付近にわずかな上り坂が設けられているが、それを越えると再度3コーナー中間まで下り。そして最後の直線は高低差2.1mのなだらかな上り坂を持ち、新潟外回りに次いで2番目に長い525.9mとなっている。これが今回のコースレイアウトだ。

短すぎず長すぎない初角までの距離をはじめ、コース形態に大きな特徴があるわけではない。ただ、直線の長い東京芝コースということで、やはり道中でしっかりと脚を溜め、最後に速い上がりを使える差し脚確かな馬が有利となっている。各馬のポテンシャルが最大限発揮されやすいコースだ。


オークスの上がり3F5位以内馬成績,ⒸSPAIA


<オークス 上がり3F順位別成績>
5位以内【10-9-7-28】
勝率18.5%、連対率35.2%、複勝率48.1%、単勝回収率73%、複勝回収率187%
※過去10年

この傾向は数字にも表れている。オークスにおける上がり3F5位以内馬の成績は上記の通り優秀だ。馬券内30頭中26頭を上がり上位馬が占めており、速い上がりを使うことができない先行馬の残り目はほとんどない。世代最高峰のメンバーの中で、トップクラスの上がりを使えることが本レース好走のための必須条件だ。

また、今回のレースの質を判断する上で、コース形態よりも重要になってくるのが距離とローテーションだ。今年も全ての出走馬が距離延長となる。序盤はマイル戦に近いペースで流れ、前半5Fが60秒を切ることも少なくない。ポジション争いが終わると、中盤はほとんどの騎手が折り合いに専念するため緩みやすい。そのため「ラスト3~5Fの持続戦で差し有利」というのがオークスのレースの質だ。

速い上がりを使えることが必須条件と書いたが、ここで言う「速い上がり」とはキレが問われる32~33秒台の速さではなく、マイル戦並みのハイペース、持続力勝負のなかで長く良い脚が使えるかどうか。上がり3F34秒前後のタフな末脚であるということを念押ししたい。脚を溜めながら追走し、最後に長く良い脚が使える馬を高く評価して印を打つ。


タフな末脚と持続力が試される展開

続いて、今回想定される展開から恵まれる馬を考える。

メンバー構成は前走通過順位に3番手以内のある先行馬が6頭と出走馬全18頭に対してそれなりに多い。2400mの距離に対して構える騎手意識も働くため、序盤から激しい先行争いとはならないだろうが、マイルを主戦場としてきた馬が多く、激しい争いをせずとも序盤のペースはそれなりに流れる。例年通りの差し有利な傾向を強めることになるだろう。

この展開で最も恵まれるのは、道中内目でロスなく追走して最後の持続戦では外に持ち出して末脚を伸ばせる馬だ。また、全ての牝馬にとって未知数な2400mという距離において、道中の折り合いや仕掛けどころも重要であり、騎手の技量も重視して印を打っていきたい。


桜花賞では最も強い競馬

◎リンクスティップ
本命は桜花賞に引き続きリンクスティップ。2走前のきさらぎ賞は前半4F46.1秒のハイペースで差し有利な展開を2、3番手から先行し0.5秒差2着。着順や着差以上に評価できる内容だった。

この一戦が世代屈指のハイレベル戦。前提として今年の3歳世代は牡馬が非常にハイレベルで、勝ち馬サトノシャイニングは東スポ杯2歳S2着馬で皐月賞も5着。3着ランスオブカオスは朝日杯FS3着でチャーチルダウンズC1着、NHKマイルCも5着。さらに4着ショウヘイは京都新聞杯1着と、どれも世代屈指の実力馬だ。

本馬は展開不利のなか、この牡馬3頭相手に僅差の競馬をしており、3歳牝馬では最上位の能力を示した。同位置からの競馬で大敗したウォーターガーベラが次走チューリップ賞で2着(阪神JF2着馬ビップデイジーに先着)と巻き返したことからも、本馬の能力の高さが伺える。

桜花賞はスタート後にヨレて接触する不利があり、引っ張って大きく離れた最後方からの競馬。4角8番手以下の馬が4着以内を独占する差し有利な展開だったとはいえ、追走に脚を使った上で、序盤の大きすぎるロスをカバーするためにラスト4F地点からスパートを開始。あまりにも早いスパート、大きく馬群の外を回される不利がありながら上がり3F2位タイの脚を使い0.4秒差3着と、着順・着差以上に評価できる内容だった。

きさらぎ賞のハイペースを先行できていた本馬にとって、この最後方からの競馬は明らかに不本意であり、その中でのこのパフォーマンス。桜花賞で最も強い競馬をしたのは間違いなくこの馬だと評価する。

折り合いの不安は全くないタイプで、大幅な距離延長も問題ない。内目の枠もハイペースを道中内目でロスなく追走し、最後に外に持ち出せる点でベストに近い。本来の先行力を発揮できれば中団から運べるはず。前走の大きな不利があった敗戦を受け、高いオッズ妙味が見込まれる。

◯アルマヴェローチェ
2走前の阪神JFは外差し有利な展開が向いたとはいえ、本馬は抜けた内容。ラスト2F11.5-11.4の加速ラップを差し切った。3走前の札幌2歳Sは世代上位の牡馬相手に上がり最速の脚を使いタイム差なし2着。勝ち馬マジックサンズが皐月賞6着、NHKマイルC2着に入るなどハイレベル戦であった。

桜花賞も2歳女王に相応しい強さを見せ、タイム差なしの2着。今回のメンバーでも能力上位の一頭であり、折り合いに不安もないため、大きく崩れにくいとみて2番手評価。

▲エンブロイダリー
前走の桜花賞はスタートで少し躓くも中団から運び、ラスト2F11.4-11.4と全く失速することなく勝利。2走前のクイーンCも内容、時計とも非常に優秀であり、リンクスティップやアルマヴェローチェと並び能力上位の一頭だ。ただ、展開面と気性面にやや不安要素があるため、上記2頭に比べて取りこぼす可能性は高いとみる。

△レーゼドラマ
フラワーCは2馬身半差の圧勝。2着馬パラディレーヌはつばき賞でローランドバローズ(若葉Sで皐月賞4着馬ジョバンニとタイム差なし2着)に快勝しており、相手関係を見ても今回のメンバーで通用するポテンシャルはある。坂井瑠星騎手を背にスムーズに先行できれば前残りする可能性は十分ある。高いオッズ妙味が見込まれる。

×パラディレーヌ
今回のメンバーでも上位の瞬発力を持つ一頭。上述の通り、これまでの相手関係から世代最上位の舞台でも通用する可能性は十分にあるとみて印を回す。

買い目は◎の単勝1点と、◎-◯▲の馬連2点、◎-◯-▲△×の3連複3点で勝負する。

▽オークス予想▽
◎リンクスティップ
◯アルマヴェローチェ
▲エンブロイダリー
△レーゼドラマ
×パラディレーヌ

◎2024年勝負買い目個人成績(東海S~ホープフルS:25記事)
・単勝27点→4830円 回収率178.9% 的中率37.5%(的中9R/推奨24R)
・馬連105点→12480円 回収率118.9% 的中率42.9%(的中9R/推奨21R)
・3連複204点→22410円 回収率109.9% 的中率17.4%(的中4R/推奨23R)

《ライタープロフィール》
京都大学競馬研究会
今年で30周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えの本格派が揃う。

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