【オークス】「前走桜花賞3着以内」は複勝率50%　距離延長で本領発揮、主役候補はアルマヴェローチェ

2025/05/20 17:00

貴シンジ

ⒸSPAIA

この記事のレース

オークス

GⅠ

5月25日(日)　東京11R

3つのファクターから推奨馬を見つけ出す

第86回オークスが25日に東京競馬場で行われる。3歳牝馬の頂上決戦について、下記3つのファクターを組み合わせるコンプレックスアナライズで分析する。

・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走内容」
・適性と素質を知るための「血統評価」

特別登録のあった20頭のうち回避が発表されているルージュソリテールを除いた19頭を検討対象とし、過去10年のデータを使用する。

重要データ：桜花賞好走馬が中心

桜花賞着順別成績,ⒸSPAIA

オークスは過去10年、前走桜花賞組が【7-5-7-63】と最も好走馬を出しているローテーションだ。なかでも、前走1着【4-1-0-3】、同2着【1-0-2-4】、同3着【1-1-2-5】と好走した馬の成績が良好で、3着以内馬の複勝率は50.0%を記録する。

もちろん、桜花賞好走馬はオークスでも人気するが、前走1着に限れば単勝回収率140％と世間の評価以上の結果になっている。一方、桜花賞4着以下は【1-3-3-51】で勝率、複勝率、回収率すべての数値において下回っていることは注意したい。

別路線では、フローラS組が【1-3-1-36】、忘れな草賞組が【2-0-1-9】となっていて、これ以外のレースからは勝ち馬は出ていない。

【桜花賞3着以内の出走予定馬】
・アルマヴェローチェ
・エンブロイダリー
・リンクスティップ

前走内容：桜花賞

桜花賞からは勝ち馬のエンブロイダリー、2着アルマヴェローチェ、3着リンクスティップ、5着エリカエクスプレス、9着ブラウンラチェット、11着ビップデイジーが出走を予定している。今年の桜花賞は前半4Fが46.6秒、後半4Fが46.5秒で後傾0.1秒。当日は雨が降る稍重の馬場状態のため、前半で前につけた馬たちはラップの数字以上に厳しかった。

上位着順はほとんどが後方待機の馬で、中団より前で競馬をしたのは5着のエリカエクスプレスのみ。着順データ的には割引だが内容は決して悲観するものではない。

勝ち馬のエンブロイダリーと2着アルマヴェローチェはほぼ同じポジションで競馬していたが、最終コーナーでは前者が馬群で我慢して内を回したのに対し、後者は外を回す形。エンブロイダリーは直線に入ってからロスなく外に切り替えることができたので、結果的にコーナーでの進路差がそのまま着差になってしまった。クビ差敗れたアルマヴェローチェは展開一つで逆転できる。

血統解説：アルマヴェローチェ

アルマヴェローチェの血統表,ⒸSPAIA

・アルマヴェローチェ
日本での牝祖は3代母モーリストンベルで、叔父には2016年京王杯2歳S勝ちのモンドキャンノ、祖母には2006年アイビスSD3着のレイズアンドコールがいる。ファミリーの活力は高く、GⅠで十分通用する血統だ。

一族には短距離での活躍馬が多いが、これは祖母の父であるサクラバクシンオーの影響が大きい。また母父がダイワメジャーだからノーザンテーストの血の影響も強く、スピードが武器となっている。

父にハービンジャーを迎えた本馬は、兄弟に比べて明らかに中距離向きの身体つきをしていて距離は伸びても問題ない。競り合って強く、抜かせない特徴のあるHyperion色の強い血統構成なので、もう少し前々で競馬ができるようになれば安定した走りができるだろう。桜花賞よりも楽にポジションを取れそうな今回は注目したい。

Cアナライズはアルマヴェローチェを推奨

今回のCアナライズではアルマヴェローチェを推奨する。

桜花賞では勝利したエンブロイダリーが最も強い競馬をしていたが、血統としてはオークスになって上積みがあるとは思えない。そうなると注目したいのはエンブロイダリーと接戦を演じた2着のアルマヴェローチェ。血統からオークスへと舞台が替わってさらに力を発揮できそうだ。

くわえて、前走の仕上がりには少し余裕があったように感じる。陣営のコメントなどからは当初からオークスに狙いを定めていそうな気配があって、身体つきを見ても桜花賞よりパフォーマンスがパフォーマンスが上がりそう。前走からの逆転があると見てアルマヴェローチェに期待したい。

《ライタープロフィール》
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。