【平安S】ベテラン苦戦、手を出しづらい8歳メイショウハリオ 狙いはタイトニットやロードクロンヌら重賞健闘組
勝木淳

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目安は5番人気以内
ダート戦線はアンタレスS圧勝ミッキーファイトをはじめ、精鋭ぞろいの4歳馬が強力な布陣を形成している。
芝と比べて世代交代が遅いダートでは5歳以上の壁が厚く、4歳は何度かはね返されるうちに通用するようになる。5歳でようやくといった成長曲線が一般的だとすると、4歳春でここまで席巻するのは珍しい。これも三冠路線整備の成果だろう。早くからハイレベルな戦いに身を置くことの大切さを改めて伝える。データは中京開催の2回を含む、過去10年分を使用する。
1番人気が【5-1-0-4】勝率50.0%、複勝率60.0%と抜けており、2番人気【1-1-1-7】勝率10.0%、複勝率30.0%以下は3番人気【1-4-4-1】勝率10.0%、複勝率90.0%と手堅いものの、5番人気【1-1-2-6】勝率10.0%、複勝率40.0%までは横一線。6番人気以下は7番人気【1-1-0-8】勝率10.0%、複勝率20.0%を除いて寂しい数字が並ぶ。上位拮抗が基本線と考えていい。
ダート重賞らしく5歳が【6-3-4-35】勝率12.5%、複勝率27.1%と優位ながら、4歳も【4-2-1-28】勝率11.4%、複勝率20.0%と悪くない。その分、6歳【0-3-2-38】複勝率11.6%などベテラン勢はやや分が悪い。主力世代の4、5歳中心で考えよう。
となると、8歳メイショウハリオは川崎記念1着直後ながら、割り引くべきか。JRAでの勝利は3年前のマーチSが最後。その間、2023年のフェブラリーSで3着があるものの、それ以降は今年のフェブラリーSまでJRAでの出走歴がなかった。地方交流中心の現状を考えると、実績は認めつつも人気でも飛びつくのはためらうところだ。
注目はタイトニット、ロードクロンヌ
前走地方交流組はもう一頭、アウトレンジが出走する。前走ダイオライト記念は【2-1-0-5】と好相性も、1着馬【2-1-0-0】に対して、2着以下は【0-0-0-5】。6着に終わった前走を踏まえると、こちらも評価しにくい。
こうなると前走JRAとなるが、目立つのは前走GⅠの【2-2-1-4】勝率22.2%、複勝率55.6%も今年は不在なので使えない。データでは劣勢の前走GⅢ【2-4-5-63】勝率2.7%、複勝率14.9%を検討する必要がある。
前走GⅢをダートに絞って着順内訳をみると、1着は【0-1-1-6】複勝率25.0%とやや劣勢だが、2着が【2-0-1-4】勝率28.6%、複勝率42.9%と好走する。マーチSを勝ったブライアンセンスではなく、アンタレスS2着タイトニットの出番か。
アンタレスSはミッキーファイトの強さが際立つ競馬だった。1000m通過1:00.8とペースとしては流れ競馬だったが、3コーナー手前で12.9-12.6と息を入れる場面もあった。
ラストは13.0と時計を要し、タイトニットら差し馬勢が強襲したが、ミッキーファイト以外の先行型が案外粘れなかったのも確か。タイトニットは単に展開が向いたとも言い切れない。中央再転入後の3勝のうち2勝が1900、2000mであり、距離延長での期待感はある。
2着以外は3着【0-0-1-6】複勝率14.3%、4着【0-0-1-4】複勝率20.0%とやや落ちる。だが、5着は【0-2-0-6】複勝率25.0%であり、3着以下も掲示板以内なら上位進出のチャンスは残されている。マーチS3着ロードクロンヌだって捨てきれない。
ロードクロンヌは条件戦ながら3走前にこの舞台で8馬身差圧勝劇を演じた。連勝でオープン入りを果たし、初挑戦だったマーチSは3着。正攻法から0.1差なら、早くも通用のメドを立てた。
《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『オルフェーヴル伝説 世界を驚かせた金色の暴君』(星海社新書)に寄稿。
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