【ヴィクトリアマイル】「前走2~5着」は複回収率228% 前走の敗因明確ボンドガールが狙い目

貴シンジ

ヴィクトリアマイル 前走着順別成績(過去10年),ⒸSPAIA

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3つのファクターから推奨馬を見つけ出す

18日(日)、東京競馬場で行われるヴィクトリアマイルについて下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。

・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走の内容」
・適性と素質を知るための「血統評価」

特別登録のあった23頭のうち除外対象のバウンシーステップ、タガノエルピーダ、ヒルノローザンヌ、ドゥアイズ、スウィープフィートを除いた18頭を検討対象とし、データは過去10年分を使用する。

重要データ:危険な前走1着馬

前走着順別成績(過去10年),ⒸSPAIA


ヴィクトリアマイルの重要データとして取り上げるのは前走着順別成績。意外なデータかもしれないが、ヴィクトリアマイルでは前走1着だった馬の成績は【0-3-1-33】と勝ち馬が出ていない。

前走1着馬のべ37頭の中には15年中山記念勝ちのヌーヴォレコルト、17年阪神牝馬S勝ちのミッキークイーン、24年阪神牝馬S勝ちのマスクトディーヴァが含まれ、この3頭はいずれも当日1番人気だったが、最高着順はマスクトディーヴァの3着だった。牝馬が良い状態をキープすることは難しいということだろう。

対して前走2~5着だった馬は【4-6-7-45】、前走6着以下だった馬は【6-1-2-64】と前走2着以下の方が好成績。なかでも前走2~5着は複勝率27.4%、複回率228%もある。

前走勝ち馬は割引が必要だ。今回はアスコリピチェーノ、アドマイヤマツリ、クイーンズウォークなど上位人気が予想される馬が該当する。波乱もありそうだ。

【前走1着の出走予定馬】
・アスコリピチェーノ
・アドマイヤマツリ
・クイーンズウォーク
・サフィラ
・シランケド
・ワイドラトゥール

前走の内容:阪神牝馬S

勝ち馬のサフィラ、2着アルジーヌ、4着ビヨンドザヴァレー、5着ボンドガール、6着ソーダズリングが出走を予定している阪神牝馬Sを振り返る。

今年の阪神牝馬Sは前半4F47.5秒、後半4F45.3秒で後傾2.2秒。かなりのスローペースだった。くわえて、馬場の内側が良好な状態だったので前目の内側で競馬した馬が有利だった。

上記5頭の中でレースの流れと反した競馬をしていたのは後方待機を選択したボンドガールのみ。同馬はスタートこそ五分に決めたが、前には行かず折り合いに専念する形。ただ、道中で行きたがってしまい折り合いはつけることができなかった。

そんな中でも最後の直線では良い脚を使っていて、勝ち馬から0.2秒差の5着まで詰めていた。2走前・東京新聞杯の内容も良好であり、展開一つで勝ち負けになる能力を持っている。

血統解説:ボンドガール

ボンドガールの血統表,ⒸSPAIA


・ボンドガール
3代母Blue Moonを根幹として広がる一族。海外で活躍したBlue Moon、祖母Malibu Pier、母コーステッドのほか、22年共同通信杯を制した本馬の半兄ダノンベルーガと4代続けて重賞級のサラブレッドが出ていることが優秀さを物語っている。

祖母や母は早期から動ける血を持つが、3代母Blue Moonは父Lomitas、母父がRainbow Questと本来は晩成傾向があり成長力を有するファミリーとなっている。

本馬の父はダイワメジャーで、母父はTizwayという組み合わせ。Tizwayはハーツクライ産駒と相性の良いDanzigやSeattle Slewを有する種牡馬だ。

ボンドガール自身はマイラーにしては広いフットワークの特徴的な走りをするから、直線が長くて加速のしやすい東京コースは合っている。若くから活躍馬を出すダイワメジャー産駒だから3歳から走れていたが、母系の血統からはまだまだ成長の余地を残しており、ダイワメジャーらしい先行力が身に着けばあと一押しに繋がる。

道中を6番手から運んだ2走前・東京新聞杯のような競馬ができれば展開一つで勝ち負けになる。

Cアナライズではボンドガールを推奨

今回のCアナライズではボンドガールを推奨する。前走は前目や内側を通った馬が有利な展開で、後ろから差してきた本馬の不利はかなり大きかった。

2走前はこれまでよりも前々で競馬ができていて本格化の兆しが見えたが、前走はまた控える競馬を試してきた。前走の内容を踏まえて今回先行することを意識すれば勝利も見えるだろう。好走データ「前走2~5着」にも合致しており、前走の負けで人気が落ちるようなら狙い目になる。

《ライタープロフィール》
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。

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