【ヴィクトリアマイル】1351ターフスプリントから参戦は単回収率380% アスコリピチェーノがGⅠ・2勝目を狙う
三木俊幸

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
参考レース振り返り
5月18日(日)、東京競馬場では古馬牝馬による春の女王を決める一戦、ヴィクトリアマイル(GⅠ・芝1600m)が行われる。今年はフルゲート18頭のところ23頭がエントリー。過去10年のデータとともに主な参考レースを振り返る。
なお、データランクは好走率や勝利数をもとに、レースレベルはレーティングや出走馬の成績などを考慮してランク付けしている。
1351ターフスプリント(サウジアラビア)【データ:A レースレベル:B】
過去10年の成績【1-0-0-1】勝率50.0%、連対率50.0%、複勝率50.0%
・2023年ソングラインが勝利
・単回収率380%
【2025年レース回顧】
外枠から好発を決めたウインマーベルが逃げる展開で、直線に向いてからもしぶとく粘っていた。そこへ差を詰めてきたのは2列目のインから運んだアスコリピチェーノ。ジワジワと前に迫り馬体を併せてのゴールとなったが、わずかに捉え切って勝利した。勝ちタイムは1:17.8だった。
2走前のゴールデンイーグルこそ大敗したが、1351mというスピードも要求されるレースで改めて能力の高さを証明。実績あるマイル戦で2つ目のGⅠタイトル獲得を狙う。
阪神牝馬S【データ:B レースレベル:C】
過去10年の成績【4-3-5-57】勝率5.8%、連対率10.1%、複勝率17.4%
・最多勝利
・直近では2024年テンハッピーローズが勝利
・単回収率375%
【2025年レース回顧】
スタートから200mを過ぎたところでハナを奪ったのはイフェイオン。2番手にはサフィラが続き馬群は一団、800m通過47.5(12.4-11.1-12.0-12.0)とペースは落ち着いた。直線は横にずらっと広がっての攻防となり、ゴール前は内にサフィラ、真ん中にアルジーヌ、外からはラヴァンダが強襲して3頭による接戦となったがハナ差でサフィラが勝利した。
2歳時にはアルテミスSで後にオークスと秋華賞を制するチェルヴィニアの2着、GⅠの阪神JFでは4着という実績馬が待望の重賞初制覇を飾った。近走、先行力が出てきたことでその走りに安定感が出てきている。
2着アルジーヌは6番手を追走し、直線は馬群を縫って伸びた。ハナ差敗れたが、ターコイズSを制して以来の休み明けで、馬体重もプラス12kgでの出走だったという点からも上積みは見込める。加えてレース内容自体も良かった。
ビヨンドザヴァレーは好スタートを切るも5番手に控える形。上がり33.3でまとめたが、最後は切れ負けという印象で、サフィラから0.2秒差の4着だった。牝馬限定重賞で好走しているものの、勝ち切るまでにはワンパンチ足りない内容が続く。
1番人気に推されたボンドガールは後方4番手からレースを進めて折り合いに専念するも、序盤は少し頭を上げる場面もあった。勝負所から直線は外を回す形で、上がり32.9の末脚で伸びたもののビヨンドザヴァレーにはアタマ差及ばず、サフィラからは0.2秒差の5着。内目を立ち回った馬が上位に入った結果からも、悲観する負け方ではない。今回こそ待望のタイトルを掴みたい。
解散となった音無秀孝厩舎から新谷功一厩舎への転厩初戦となったソーダズリングは6着。直線で並んで追い上げていたビヨンドザヴァレーと同じくらいの手応えに感じたが、残り100mで脚色が鈍ったところをみると、1600mよりは1400mの方がいいのかもしれない。
その他にも7着タガノエルピーダ、8着ドゥアイズ、12着スウィープフィート、13着ヒルノローザンヌも登録しているが、現時点では除外対象となっている。
大阪杯【データ:B レースレベル:A】
過去10年の成績【1-0-2-5】勝率12.5%、連対率12.5%、複勝率37.5%
・2021年グランアレグリアが勝利
【2025年レース回顧】
スタートで出遅れるも2角でハナを奪ったのはデシエルト。後続を5馬身以上引き離し、1000mを57.5で通過した。4番手のインで流れに乗ったベラジオオペラは力強い末脚で抜け出し、後続の追い上げを封じて連覇達成。勝ちタイムは1:56.2のレコードタイムが記録された。
11着ラヴェルは中団のインを追走し、ロスなく立ち回ったものの瞬発力が要求される展開では持ち味が発揮できなかった。中距離で長くいい脚を使える展開が理想のタイプだ。
ステレンボッシュは道中、中団よりやや後ろの11番手というポジション。勝負所では外を回すロスもあったとはいえ、直線は弾けず13着に終わった。近走は中距離を使われているが、2000mのハイペースで伸びなかった点をみると、久々のマイル戦はプラスに働くかもしれない。
金鯱賞【データ:C レースレベル:B】
過去10年の成績【0-0-0-2】勝率0.0%、連対率0.0%、複勝率0.0%
【2025年レース回顧】
デシエルトが序盤から11秒台前半のラップを刻んで後続を引き離す大逃げで、重馬場ながら1000m通過58.2のハイペースとなる。直線に向いて残り100mのところでデシエルトは失速、2番手から運んだホウオウビスケッツと3番手追走のクイーンズウォークによる内外離れた大接戦となったが、ハナ差で外のクイーンズウォークが勝利。勝ちタイム2:01.3での決着だった。
昨年9月にローズSを制して以降は秋華賞15着、小倉牝馬Sでは1番人気に支持されるも6着と結果が伴わなかった。牡馬相手にスタミナ比べを制したのは価値ある勝利で、ここでも能力上位の存在だが、ベストパフォーマンスが発揮できるのは中距離という印象。高速馬場のマイル戦は歓迎材料とは言えない。
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
《ライタープロフィール》
三木俊幸
編集者を経てフリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場でレースシーンを撮影しながら、執筆活動も行っている。
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