【ヴィクトリアマイル】世代限定重賞の東京マイル実績に要注目 激走候補ラヴェルの”ジャイアントキリング”に期待
逆瀬川龍之介

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東京マイル巧者が強い
近年の競馬シーンを振り返ると、東京マイルに無類の強さを誇った牝馬は驚くほど多い。パッと思いつくのはヴィクトリアマイルを連覇したヴィルシーナとストレイトガールだろうか。
さらに見ていくと、古くは09年ヴィクトリアマイルを史上最大着差の7馬身差で圧勝したウオッカが代表格。近年では20年の安田記念→21年のヴィクトリアマイルと当舞台のGⅠを2連勝したグランアレグリア、22年の安田記念→23年のヴィクトリアマイル→23年の安田記念と同じく3連勝したソングラインなどが挙げられる。
さて、ここまで来て、一つの仮説を立てたくなった読者もいるのでは? それは東京マイルが舞台となる唯一の牝馬限定GⅠ=ヴィクトリアマイルでも、舞台巧者=既に東京マイル実績がある馬が好走しやすいのでは、ということだ。
そこで過去19回のヴィクトリアマイルをチェックすると、期待通りのデータが見つかった。2桁人気で馬券に絡んだ馬は11頭。そのうち過半数の6頭に世代限定の東京マイル重賞で3着以内の実績があったのだ。そしてさらに驚くべきことに、ヴィルシーナを除く5頭は東京芝1600mの複勝率が100%だった。
<ヴィクトリアマイル 2桁人気で馬券に絡んだ馬と東京マイル実績>
07年12番人気1着 コイウタ
【1-0-0-0】クイーンC1着
09年11番人気2着 ブラボーデイジー
未経験
10年11番人気3着 ニシノブルームーン
【0-1-0-0】1勝クラス2着
13年12番人気2着 ホエールキャプチャ
【2-0-0-0】ヴィクトリアマイル1着、クイーンC1着
14年11番人気1着 ヴィルシーナ
【2-0-0-2】ヴィクトリアマイル1着、クイーンC1着
15年12番人気2着 ケイアイエレガント
【1-0-0-2】節分S(3勝クラス)1着
15年18番人気3着 ミナレット
未経験
17年11番人気2着 デンコウアンジュ
【1-0-0-0】アルテミスS1着
19年11番人気3着 クロコスミア
【1-0-1-0】アルテミスS3着
21年10番人気2着 ランブリングアレー
未経験
24年14番人気1着 テンハッピーローズ
【0-1-1-0】アルテミスS3着
馬名を見て、ほとんどの読者が「この馬たちは買えないでしょ!?」と思っただろう。しかし、ちょっと待った。17年に11番人気で2着に突っ込んだデンコウアンジュは、実は東京マイルで1戦1勝。それもGⅢのアルテミスSで後のGⅠ・2勝馬メジャーエンブレムを下していた。
昨年に単勝208.6倍のブービー人気で戴冠を果たしたテンハッピーローズにしても、東京マイルで【0-1-1-0】の複勝率100%。やはりGⅢのアルテミスSでソダシから0秒4差の3着があったので、舞台適性という観点なら要注意の馬だったのだ。
イチ押しはラヴェル
では、今年の出走馬を見ていこう。登録があった23頭のうち、世代限定の東京マイル重賞で3着以内があるのは以下の7頭だ。
・アスコリピチェーノ(100%)
・アリスヴェリテ(100%)
・クイーンズウォーク(100%)
・サフィラ(50%)
・ドゥアイズ(50%、除外対象)
・ボンドガール(75%)
・ラヴェル(100%)
※()内は東京芝1600mの複勝率
東京芝1600mの複勝率が100%の4頭のうち、アスコリピチェーノとクイーンズウォークは上位人気必至。しかし、アリスヴェリテとラヴェルは大いに配当妙味がある。
イチ押しはラヴェルだ。アルテミスSで後に牝馬三冠を制するリバティアイランドを倒した実績は、デンコウアンジュの「再現」を期待させるもの。昨秋にはエリザベス女王杯で2着に健闘し、続くチャレンジCで重賞2勝目を挙げたように、決して衰えもない。今年2戦は牡馬相手のGⅡ、GⅠで大敗しているが、牝馬同士なら巻き返しがある。
もう1頭のアリスヴェリテは、ラヴェルが勝ったアルテミスSの3着馬。近走内容を見る限り、マイルは忙しくなっている可能性があるものの、すんなり先行できれば見せ場以上があるだろう。
下馬評は4歳の3頭、アスコリピチェーノ&ステレンボッシュ&ボンドガールが上位だが、とにかく荒れるのがヴィクトリアマイル。歴史に倣い、舞台巧者の伏兵2頭で高配ゲットといきたい。
《ライタープロフィール》
逆瀬川龍之介
国内の主要セール、GⅠのパドックはもちろん、時には海外のセリにも足を運ぶ馬体至上主義のライター。その相馬眼を頼りにする厩舎関係者、馬主は少なくない。一方、マニアック、かつ実用的なデータを駆使して、ネット媒体や雑誌などにも寄稿するなど、マルチな才能を持っている。
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