【香港チャンピオンズデー回顧】クイーンエリザベスⅡ世Cはタスティエーラが優勝 プログノーシス2着で日本調教馬ワンツー
三木俊幸

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
【クイーンエリザベスⅡ世C】歓喜の一方でリバティアイランドに悲劇
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3つのGⅠレースが行われた『2025香港チャンピオンズデー』は、芝2000mで争われたクイーンエリザベスⅡ世Cをタスティエーラが勝利。ウインマリリンが制した2022年の香港ヴァーズ以来、3年ぶりにシャティン競馬場に君が代が流れた。
レースはニュージーランドから参戦したエルヴェンセドールが逃げ、2番手に今年の香港ダービー馬キャップフェラという隊列で、800m通過50.22(25.59-24.63)のスローペース。4番手の外から運んだタスティエーラは、残り800mを切ったところで3番手までじわっとポジションを押し上げる。
直線残り300mで先頭に立つと、ラストは11.12-12.07と減速したが、後続に1馬身3/4差の快勝。勝ちタイムは2:00.51だった。
昨年末の香港Cではロマンチックウォリアーの3着に終わっていたが、最強王者不在の今回は堂々たる完勝。2023年日本ダービー以来となる勝利を掴んだ。
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そのロマンチックウォリアーとこれまで3度対戦し、2着2回と悔しい思いをしてきたプログノーシス。今回はロマンチックウォリアーの主戦であるJ.マクドナルド騎手とのコンビで戴冠を狙った。
現地・香港のオッズでは単勝3.5倍の1番人気、またゲートブランケットを着用する対策もとって挑んだ一戦は最後方から追い込むも、またしても2着。陣営にとっては悔しい結果となったものの、日本調教馬としてはワンツー決着となった。
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喜びに溢れる結果となった一方、リバティアイランドが左前脚を故障して最後の直線で競走を中止。大事に至らないことを皆が願ったものの、その願いは叶わず……。予後不良の診断で安楽死の処置が施された。
全レースでコンビを組み、3歳時には牝馬三冠も達成した川田将雅騎手や管理する中内田充正調教師、片山裕也助手や松崎圭介助手など日頃から担当してきたスタッフの気持ちを思うと、言葉ではうまく表現できないほど悲しく、胸が張り裂ける気持ちになる。
ファンはもちろん、メディア側から彼女の姿を見てきた私たちも含めて、皆がつらい現実を受け入れるのは容易なことではない。しかし、時にこうした悲しい出来事が起こってしまうのも競馬。これまでの素晴らしい走りとそれぞれが胸に秘める思い出を振り返り、ともに共有することが彼女への一番の供養になるはずだ。
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【チェアマンズスプリントプライズ】カーインライジングが力の違いを証明
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芝1200m戦のチェアマンズスプリントプライズは、地元・香港で単勝1.05倍、JRAでも1.1倍と断然の支持を集めた短距離王者カーインライジングが能力の違いを見せて勝利した。
レースはマジックコントロールが逃げ、直後をビクターザウィナーとインビンシブルセージが追走して600mの通過は34.42。カーインライジングとしてはいつもよりやや後ろの5番手から運ぶこととなったが、直線は外から瞬く間に前を捉える。最後は余裕十分で後続に2馬身1/4差、勝ちタイムは1:07.88だった。
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2着は中団で進めた高松宮記念の勝ち馬サトノレーヴ、3着は最後方追走から直線は馬体を併せて伸びたヘリオスエクスプレス。香港スプリントとは2、3着の着順が逆になったものの同じ顔ぶれで、この路線では力上位だということを改めて証明したが、いかんせんカーインライジングが強すぎた。
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その他、ルガルはスタートで後手を踏み後方2番手からという本来の形とは違う競馬になったものの、直線は内をさばいて5着。
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最内枠から好位を立ち回ったエイシンフェンサーは直線で手応えがなく12着、ダノンマッキンリーは後方2、3番手のインで立ち回るも、鼻出血の影響で残り250m付近で急失速して13着という結果に終わった。
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【チャンピオンズマイル】大波乱の決着
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芝1600mのチャンピオンズマイルはJRAで単勝89.8倍の10番人気だった香港のレッドライオンが勝利するという大波乱の決着となった。
1番人気の支持を集めたヴォイッジバブルの鞍上J.マクドナルド騎手がライバルたちの様子をうかがっていたところ、レッドライオンは外の12番ゲートからすんなりとハナを奪って800mを47.27(24.50-22.77)で通過する。
そのまま直線に向いたところからヴォイッジバブルとの一騎討ちが続き、お互い一歩も譲らずゴール板を通過。わずかにレッドライオンの首が下がった分だけ先着したが、ゴール直前で2頭が接触したことを受けて審議が長く続いた末での確定となった。勝ちタイムは1:33.21だった。
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レッドライオンは稍重で行われた昨年のチャンピオンズマイルでも2着と好走。道悪を得意としており、この日も午前中に小雨が降っていたことを味方につけて、GⅠで初重賞制覇を達成した。
3着には中団追走から最内を突いたサンライトパワーが入り、日本のオッズでは10番人気→1番人気→11番人気の決着。3連単は6109.3倍という高配当となった。
日本調教馬で唯一の参戦だったガイアフォースは好位の外を追走し、手応えよく直線に差しかかったが、最後は一杯となって9着だった。
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《ライタープロフィール》
三木俊幸
編集者を経てフリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場でレースシーンを撮影しながら、執筆活動も行っている。
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