【マイラーズC】ハイペースで差し有利想定、本命はジュンブロッサム 穴は“一瞬のキレ”あるホウオウリアリティ
京都大学競馬研究会

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開幕週の高速馬場とコース形態の兼ね合いに注意
27日(日)にマイラーズC(GⅡ)が行われる。1着馬に安田記念の優先出走権が与えられる前哨戦として位置づけられると同時に、ヴィクトリアマイルの前哨戦としての側面も併せ持つ一戦だ。今年は富士S勝ち馬ジュンブロッサムをはじめ、昨年の3着馬ニホンピロキーフなど、10頭の少頭数ながら実力馬が集結。難解な一戦となった。
以下では、本レースが行われる京都芝1600m(外回り)のコース形態とそれに起因するレースの質、そして想定される展開を踏まえ予想する。
まずは京都芝1600m(外回り)のコース形態をみる。向正面の2コーナーポケットからスタートし、初角までの距離は約700m。向正面半ばから徐々に坂を上り、3コーナーで頂上を迎え、4コーナーにかけて下る。最後に398.7m(Cコース使用時)の平坦な直線を駆け抜ける。これが今回のコースレイアウトだ。
まず注目すべきは初角まで約700mもの距離があるという点だ。先手争いは長引きやすく、序盤のペースは上がりやすい。コーナーに入った後も3コーナーを頂上として下り坂となるためペースが緩む地点がない。全体としてスタートからゴールまで淀みないラップが続く、かなりタフなコース形態となっている。
マイラーズCは一般的に「時計が出やすく内前が止まらない」とされる開幕週の高速馬場で施行されるレースながら、特段、内前有利なレースの質を持たない。
その理由はまず序盤、中盤で淀みないラップを刻むため、先行負荷がそれなりに大きい点にある。加えて、軽い芝のおかげで後続も脚を使わずに追走してくるため、速いペースの割に馬群が凝縮する。先行勢が十分なリードを築けない状態で最終直線を向かえることが多い。
先行勢が粘り込むには3~4角でリードを保つために早仕掛けをして持続力勝負に持ち込むしかないが、その適性がない馬や、地力のない馬は直線半ばでいっぱいになる。
したがって道中は中団~後方を追走し、速い上がりを使うことができる地力の高い差し馬が順当に好走しやすい。それがこのコースが持つレースの質だ。

<マイラーズC 4角5番手以内馬の成績(京都開催の直近10回)>
【5-5-5-41】勝率8.9%、連対率17.9%、複勝率26.8%、単勝回収率63%、複勝回収率70%
この傾向は数字にも表れている。マイラーズCにおける4角5番手以内馬の成績は上記の通り、優秀とは言えない。これを1~5枠の馬に絞っても【2-3-3-22】勝率6.7%、連対率16.7%、複勝率26.7%、単勝回収率26%、複勝回収率76%。開幕週ながら特に内前有利なレースではないのだ。
前目からの競馬で押しきった馬もいるが、その馬たちは軒並み上がり3F32秒~33秒前半の速い脚を使っており、まさに高速持続戦適性の高い、地力のある馬だった。開幕週だからといって内前で立ち回った全馬が惰性で残せるほど甘くなく、むしろ先行勢ほど地力が問われるレースであることを念押ししたい。
地力がないにもかかわらず「内前だから」というだけで買われ、過剰人気が想定される先行馬はオッズ妙味の観点から評価を下げる。この点を踏まえて展開予想をしていく。
少頭数ながら相当なハイペース想定
続いて今回想定される展開から恵まれる馬を考える。メンバー構成は前走通過順位に3番手以内のある先行馬が4頭と出走馬全10頭に対して少なくない。
テンの速さでは前走1000m通過57.4秒を単騎逃げしたレイベリングが抜けており、次点で同57.7秒を2、3番手で先行したセオ、グラティアスという形だ。少頭数とはいえ、この3頭が中心となって引っ張っていけば、前述のコース形態と相まってハイペースで流れる。先行負荷が大きい展開になるだろう。
この展開で恵まれるのはやはり中団前方~後方で脚を溜めながら追走し、インアウトの形で最後に末脚を伸ばせる馬だ。最後方から馬群の外々を回しても比較的ロスが小さい少頭数というのも、後方から立ち回る馬には大きなプラス材料だ。
ここに当てはまる馬を中心として、次点で高速持続戦適性と地力の高さで前残りし得る馬を評価して印を打っていく。
ポテンシャルは断然
◎ジュンブロッサム
前走の東京新聞杯は中団後方を追走。やや内有利の展開を終始外を回し続け、最も距離ロスがある競馬で0.8秒差10着。戸崎騎手がレース後「直線は反応がなかった」とコメントを出したように、富士Sの時のようなキレ味は全く発揮されなかった。キャリア最重量の斤量59キロを背負っていたことも考慮すれば、能力を出し切った力負けではなく、評価を下げる内容ではなかった。
2走前のマイルCSは最後方を追走。外伸び馬場の差し展開で伸びない内を突く厳しい競馬の中、マイル路線国内最上位のメンバーを相手に2着まで0.3秒差と迫る好内容。これも評価を下げなくてよい。
3走前の富士Sでは上がり3F33.1秒の末脚を使い、のちにマイルCS、ドバイターフを勝利するソウルラッシュ相手に1馬身差の快勝。両者とも展開が向き、全力で追い比べた上での勝利と価値は高く、GⅠ級のポテンシャルを示した。ポテンシャルで言えば今回のメンバーでは1枚以上抜けている。
ハイペースで差し有利な展開が想定される今回、前走からの斤量減、京都が得意な武豊騎手への乗り替わりでポテンシャルを最大限発揮できれば勝ち負け必至だ。直近2走の2桁着順での敗戦である程度のオッズ妙味も見込まれる。
◯セオ
先行馬で残すならこの馬。前走の六甲Sは前半1000m通過57.7秒のハイペースな差し展開を終始2番手で先行し0.1秒差4着。着順、着差以上に評価できる内容だった。
2走前の東京新聞杯も2番手追走。やや内有利な展開が向いたとはいえ、ハイレベルなメンバー相手に0.5秒差6着。素直に評価はできないものの、能力の高さを示した。ハイペースも難なくこなせる安定した先行力があり、今回のメンバーでも地力は上位だ。
▲ホウオウリアリティ
ジュンブロッサムと同等の一瞬のキレ味を持つ馬。前走の六甲Sは差し有利の展開が向いたとはいえ、上がり3F2位の脚を使い0.2秒差5着と能力を示した。
2走前は通過順位13-13-16-17で2.0秒差17着と明らかに適性距離外の敗戦。3走前は内前有利の展開で、今回も出走するロングラン以上の末脚を使い0.7秒差5着。着順、着差以上に評価できる。4走前はダートでの敗戦で完全に度外視可能だ。直近4走の馬柱から高いオッズ妙味が見込まれ、ハイペースで展開も向きそうだ。
買い目は◎単勝1点、◎-◯▲馬連2点、◎-◯-▲3連複1点で勝負する。
▽マイラーズC予想▽
◎ジュンブロッサム
◯セオ
▲ホウオウリアリティ
◎2024年勝負買い目個人成績(東海S~ホープフルS:25記事)
・単勝27点→4830円 回収率178.9% 的中率37.5%(的中9R/推奨24R)
・馬連105点→12480円 回収率118.9% 的中率42.9%(的中9R/推奨21R)
・3連複204点→22410円 回収率109.9% 的中率17.4%(的中4R/推奨23R)
《ライタープロフィール》
京都大学競馬研究会
今年で30周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えの本格派が揃う。
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