【チューリップ賞】阪神JF上位は素直に信頼も相手が難解 ビップデイジーから“ヒモ荒れ”狙う
京都大学競馬研究会

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キャリア3~4戦がボリュームゾーン
3月2日(日)に阪神競馬場でチューリップ賞(GⅡ)が行われる。阪神JF2着のビップデイジーがここで今年初戦を迎えるほか、アルテミスSで見所のあったマイエレメント、紅梅Sを勝ったナムラクララなど14頭が桜花賞への優先出走権をかけて争う。
間隔を空けたゆとりローテが主流になり、近年のチューリップ賞は阪神JF上位組の出走が少なくなったことで、予想が少し難解になっている。しかし、「経験の少ない3歳牝馬から本当に能力を持つ馬を見極める」という予想の根幹が変わることはない。大荒れした昨年はかすりもしない予想を出してしまったが、今年も懲りずに出走馬のキャリア面からデータを分析したい。

過去10年の当レースにおけるキャリア別成績を調べた。キャリア3戦の馬が【4-2-2-24】、キャリア4戦の馬が【4-1-5-33】とそれぞれ勝ち馬4頭を輩出するボリュームゾーンとなっている。
2つ勝って阪神JFでも好走、当然ここでも勝ち負けするという例がかつては非常に多かったのだが、近年はローテーションの多様化により阪神JF好走馬の出走が少ない。ビップデイジーのように阪神JFで馬券に絡んだ馬の出走は実に3年ぶりだ。
昨年の阪神JFは下位の馬が重賞で振るっておらず、レースレベル自体には疑問符がつくが、キャリア3戦かつ前走GⅠで3着以内の馬は【2-1-2-0】の複勝率100%になる。データでは不安要素が見つからない。
ちなみに、前走阪神JF6着以下からの巻き返しは、キャリアを問わず過去10年でゼロ。クリノメイについて考える必要は無いだろう。
一方で、前走GⅠ組を除くとそれぞれキャリア3戦【1-1-0-22】、キャリア4戦【0-1-2-27】、5戦以上【1-1-0-25】と不振だ。
GⅠを使っていないにもかかわらずキャリアが多くなるのは、レースに使わないといけない事情があったということ。つまり勝つべきレースを何戦も落としていて、実力不足の可能性が高いと言えるのではないか。ビップデイジー以外に関しては、キャリアの少ない馬を信頼した方がいい。
また、前走問わずキャリア2戦は【2-3-2-22】、キャリア1戦が【0-2-1-5】。以前の傾向では2連勝した馬や、新馬戦で圧倒的な内容を見せた馬がGⅠ好走組に押されて負けるというのが定番だったが、GⅠ組の少ないメンバー構成であれば、今まで負けていた組が輝いてもおかしくない。
ヒモ荒れの可能性高い
◎ビップデイジー
安直だがここから馬券を流したい。阪神JFは勝ち馬と一緒に伸びて2着と、速いマイルの流れにも対応できた。先述した通り、実績馬に肉薄してくるとすればキャリアの少ない馬だが、今年は2戦2勝の馬がおらず、1600mの持ち時計でもこの馬がトップ。相手に恵まれた。連軸にしないといけない。新興勢力が突然走破タイムや上がりタイムを伸ばす可能性は否定できないため、頭固定にするかはオッズと相談したい。
さて、以下の馬については自分の中で長所を見つけられなかった。ヒモ荒れの可能性が高いと考え、馬場傾向に合いそうな馬を重視したい。
◯ナムラクララ
紅梅Sを勝ってここに臨む。レース毎に走破タイムが良くなるなど成長はうかがえるが、専ら1400mを使っており血統的にも距離延長に不安がある。また、阪神JF以外から臨むキャリア4戦の馬は【0-1-2-27】と大不振で正直データ上は厳しい。内枠と、短距離を使っていたことによる先行力の高さで残せないだろうか。
▲ノクナレア
キャリア2戦。前走は緩いペースを外3頭目追走で楽な手応えに見えたが、前を捕まえきれなかった。馬体重が減っており本調子ではなかったと考えるべきだろう。速いペースこそ未経験だが、今回は逃げ馬不在でスローの展開が濃厚であるため、状態が戻れば内枠と先行力を生かしてここでも戦えるはずだ。
△ザラタン
近2走はゲートの出が悪い。アルテミスSのように溜めれば速い脚は使えるため、中団追走からイン突きで何とか上位を目指したい。
×マイエレメント
この馬もゲートに難がある。前走の内容は上がりも速く、不向きな展開を追い上げたもので能力自体は高い。キャリア2戦のデータも良い。しかし、1月のレースを除外された影響で放牧を挟むなど、調整が狂ったことは大幅減点だ。大外枠も厳しく評価は下げた。
×サウンドサンライズ
前走は展開向かず。音無秀孝調教師と関わりが深いライフハウス(松岡隆雄氏)所有馬であり、引退前渾身の仕上げに期待したい。
馬券はビップデイジーからの馬連5点で勝負する。現状、2022年産牝馬のレースで筆者が強いと思ったレースはフェアリーSしかない。度肝を抜くようなパフォーマンスをしてくれる馬は出てくるだろうか。(文:福山)
▽チューリップ賞予想▽
◎ビップデイジー
◯ナムラクララ
▲ノクナレア
△ザラタン
×マイエレメント
×サウンドサンライズ
ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
30年以上の歴史がある、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えの本格派が揃う。
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