【フィリーズレビュー】好走するのはキャリア2~7戦 モズナナスターに連軸の魅力

勝木淳

過去10年のデータから見るフィリーズレビュー,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

上位人気か大穴か

フィリーズレビューという名称になったのは2001年から。以降、このレース経由の桜花賞馬は05年ラインクラフト、08年レジネッタ、17年レーヌミノルの3頭。どれも1番人気ではなかった。

連勝での桜花賞制覇はラインクラフトだけ。残る2頭はフィリーズレビュー2、3着から参戦し、8、12番人気の伏兵評価だった。

桜花賞は暮れからの直行、もしくはチューリップ賞、クイーンC、エルフィンSとなるべく間隔をとったローテがいいとされる。フィリーズレビューは距離だけではなく、間隔も難しい状況にある。だからこそ、たとえトライアル2、3着でも人気薄での激走になってしまう。

裏を返せば桜花賞の「穴馬の資格」を有するのはフィリーズレビューの好走馬である。穴党はぜひフィリーズレビューに注目し、本番でも狙える馬を探そう。データは過去10年分を使用する。なお、2019年に1着同着があった。

人気別成績,ⒸSPAI、


1番人気【1-4-0-5】勝率10.0%、複勝率50.0%とイマイチも、2番人気【3-3-2-2】勝率30.0%、複勝率80.0%で人気がアテにならないというほどではない。

しかし、8番人気【3-0-0-7】勝率、複勝率30.0%、10番人気以下【2-0-4-77】勝率2.4%、複勝率7.2%など伏兵も元気いっぱい。人気馬と人気薄を上手に組み合わせないと的中できない。馬券的には難易度が高い。

3番人気以内は前走「リステッドか重賞」で3着以内が【2-1-0-1】。リステッド以上での好走馬という裏打ちのある人気馬は崩れない。

キャリア別成績,ⒸSPAI、


キャリア別では1戦【0-0-0-5】、2戦【2-1-0-21】勝率8.3%、複勝率12.5%、3戦【4-1-2-29】勝率11.1%、複勝率19.4%と経験がないと厳しい。

3月のトライアル重賞で前走新馬戦となると、遅めのデビューか、新馬戦勝利後に順調に使えなかったことが想定される。桜花賞出走へトライアルで一発勝負にかけるのは簡単ではなく、経験という裏づけが必要だ。

キャリア2~7戦・馬体重増減別成績,ⒸSPAI、


以降は好走馬がいる2~7戦にしぼってデータをみる。

馬体減が【10-2-4-72】勝率11.4%、複勝率18.2%と圧倒的。桜花賞のトライアルとなれば、半端な仕上げでは突破できない。緩めずきっちり馬体を絞った馬の勝負駆けを狙おう。

一方、馬体増は【1-5-6-37】勝率2.0%、複勝率24.5%で勝ちきれないものの、優先出走権の獲得圏内には入る。上記の通り桜花賞で激走するのはこのレースの2、3着馬。このレースで馬体を増やして桜花賞に向かう。そんな余裕が本番での激走を呼ぶ。

フィリーズレビューの単勝は馬体減、本番の穴候補はここで馬体を増やした2、3着馬と考えよう。

前走阪神JFは連軸向き

ファンタジーSを勝ったダンツエラン、デイリー杯2歳Sのランフォーヴァウと重賞ウイナーがそろう。2頭ともに阪神JF大敗後の一戦で、ここで一転して好走するなら、阪神JF組のレベルの高さがみえてくる。

勢力図を確立できるか、混戦に突入するか。2頭の成績にも注目だ。

キャリア2~7戦・前走距離別成績,ⒸSPAI、


2頭が該当する前走1400m超からの距離短縮は【6-8-4-54】勝率8.3%、複勝率25.0%。1400m特有のハイペースが多く、最後は距離経験で身につけたスタミナがあと押しする。

とはいえ前走阪神JFは【1-6-3-20】勝率3.3%、複勝率33.3%と勝ちきれない。9着以内なら【0-5-3-4】で連軸向きだ。9着モズナナスターは2走前ファンタジーS2着、その前はカンナS2着と惜敗ながら、OPで安定した走りをみせており、連軸の魅力はある。10着以下は【1-1-0-16】。ダンツエラン、ランフォーヴァウ、リリーフィールドは巻き返せるか。

短縮の前走OPは【2-0-0-8】。エルフィンSを指す。リステッド格付後は【2-0-0-3】と頼もしいが、今年は不在で該当なし。ここを頼れないのは何気に痛い。

短縮で前走条件戦だと【3-1-1-8】勝率23.1%、複勝率38.5%。かつ1着なら【3-1-0-4】、4着以内も【3-1-1-5】。1600m1着なら【3-1-0-1】勝率60.0%、複勝率80.0%と高く、条件戦経由はこのデータに合致してほしい。

前走が同距離の場合、重賞【0-0-0-6】、OP/L【1-0-0-11】、紅梅S【1-0-0-10】と格がアテにならない。この路線の主要レースは当然1600mであり、そもそも1400mの重賞となるとレベルが一枚落ちる。これも結果につながらない要因だろう。

キャリア2~7戦・前走1400mの1勝クラス 着順別成績,ⒸSPAI、


ならば、前走1400m、1勝クラス【3-1-4-25】勝率9.1%、複勝率24.2%を狙おう。注意したいのは2勝目をあげた馬は【1-1-3-12】勝率5.9%、複勝率29.4%とさほど好走していない点だ。

むしろ2~5着【2-0-1-7】がおもしろい。1勝クラス敗退直後は重賞で評価しにくいプロフィールだが、掲示板以内(5着以内)だったらむしろ買いとなる。今年ならつわぶき賞を勝ったルージュラナキラより万両賞で4着のベルビースタローンだ。

万両賞はライラが逃げ、前半600m35.9とスローペースに持ち込み、2番手ベルビースタローンは離されてしまった。印象に残る負け方ではなく、人気は間違いなく下だが、それが盲点にも。2走前のファンタジーSで3着なので、通用しないと切るべきではないだろう。

過去10年のデータから見るフィリーズレビュー,ⒸSPAI、


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『オルフェーヴル伝説 世界を驚かせた金色の暴君』(星海社新書)に寄稿。

《関連記事》
【フィリーズレビュー】過去10年のレースデータ
東大HCが阪神巧者を徹底検証 国分恭介騎手は「逃げ」で回収率1000%超え
トライアルに強い騎手を特集 頭で狙いたい岩田望来騎手、「中山マイスター」津村明秀騎手に注目