音無秀孝調教師は11頭のJRA・GⅠ勝ち馬を管理 2025年引退調教師の活躍を振り返る(後編)
高橋楓

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2025年は8名の調教師が引退
全国的に雪が舞う中ではあるが、暦の上では春の足音が聞こえはじめる3月がすぐそこまで迫っている。そして、この時期は卒業や転勤のシーズンでもある。
競馬界は免許更新の関係で2月末が別れの季節。今年は3月4日をもって引退となる。前編では河内洋師、宗像義忠師、木原一良師、石毛善彦師の4名の成績などを紹介した。
今回も前回同様に通算成績や主な重賞勝ち馬、そして最後の馬券の狙い目を取り上げていく。後編では音無秀孝師、鮫島一歩師、藤沢則雄師、村山明師の4名についてみていきたい。
リーディングトレーナーも経験 音無秀孝調教師
まずは1954年6月10日うまれの音無秀孝調教師。騎手時代には1985年のオークスをノアノハコブネで勝利。この時の単勝払戻額は6270円で、オークスの単勝における史上最高配当として未だに破られていない記録である。
調教師としては1995年6月24日に管理馬が初出走。初勝利は同年の北九州記念、イナズマタカオーであげた。ちなみにこの時に騎乗していたのが、同じく調教師引退を迎える河内洋氏というのには何かの縁を感じる。
そこから2025年2月17日までに【995-853-818-6070】勝率11.4%、連対率21.2%、複勝率30.5%を記録。キャリアハイは2010年の【52-41-39-225】で全国リーディング1位に輝いている。

次に主な重賞勝ち馬を振り返ってみよう。今日までにJRAで積み上げた重賞勝利数は90勝。うちGⅠは、11頭で14勝を記録している。特に初勝利となったオレハマッテルゼの高松宮記念はノアノハコブネと同じ小田切有一オーナーの所有馬。騎手としても調教師としてもGⅠ初制覇は同じ勝負服であげている。
<音無秀孝厩舎 主なGⅠ勝ち馬>
オレハマッテルゼ(2000年産/06年 高松宮記念)
カンパニー(2001年産/09年 天皇賞(秋)、マイルCS)
サンライズバッカス(2002年産/07年 フェブラリーS)
ヴィクトリー(2004年産/07年 皐月賞)
オウケンブルースリ(2005年産/08年 菊花賞)
ミッキーアイル(2011年産/14年 NHKマイルC、16年 マイルCS)
ミッキーロケット(2013年産/18年 宝塚記念)
インディチャンプ(2015年産/19年 安田記念、マイルCS)
モズスーパーフレア(2015年産/20年 高松宮記念)
クリソベリル(2016年産/19年 チャンピオンズC)
ピクシーナイト(2018年産/21年 スプリンターズS)

最終週は愛弟子である「松若風馬騎手」が騎乗したレースを注目して見てみたい。2024年以降に厩舎が記録している28勝中、松若風馬騎手は最多の6勝をマークしている。ラストの重賞となるチューリップ賞でもサウンドサンライズに騎乗予定。師匠に最高のはなむけを贈りたい。
JRA全10場重賞制覇を達成 鮫島一歩調教師
2人目は1954年4月12日うまれの鮫島一歩調教師。1979年に調教助手として競馬界に飛び込むと2000年に調教師としてデビュー。約45年にわたり競馬界に携わったこととなる。
2025年2月17日までに【590-549-579-5490】勝率8.2%、連対率15.8%、複勝率23.8%を記録。勝ち星のキャリアハイは2006年の【41-26-23-204】で、全国リーディング5位という成績だった。

これまでにJRA重賞で通算26勝を挙げ、2016年にはJRA全10場重賞制覇を達成した。また、2017年にはモズカッチャンがエリザベス女王杯を制し嬉しいGⅠ制覇も達成することが出来た。
<鮫島一歩厩舎 主な重賞勝ち馬>
シルクフェイマス(1999年産/04年 日経新春杯)
キングトップガン(2003年産/11年 目黒記念)
リトルゲルダ(2009年産/14年 セントウルS)
ソルヴェイグ(2013年産/16年 フィリーズレビュー)
モズカッチャン(2014年産/17年 エリザベス女王杯)
マーニ(2016年産/21年 京都ハイジャンプ)

最終週は「阪神競馬場」で特に狙ってみたい。2024年以降では、最も好成績をあげており、【3-2-2-15】複勝率31.8%をマークしている。
また、騎乗機会があるか現段階では未定だが、川田将雅騎手が鮫島一歩厩舎の馬に騎乗した際には2024年以降で【4-2-2-5】勝率30.8%、連対率46.2%、複勝率61.5%、単勝回収率133%とハイアベレージをマークしている。週末は出馬表を要チェックだ。
あと一歩まで迫ったGⅠのタイトル 藤沢則雄調教師
3人目は1954年8月19日うまれの藤沢則雄調教師。1979年に厩務員として栗東の島崎宏厩舎に所属し、1979年11月に調教助手へ転身。その後1999年には自身で厩舎をかまえ今日に至る。
2025年2月17日までの成績は【302-302-340-4436】勝率5.6%、連対率11.2%、複勝率17.5%。キャリアハイは2003年の【27-15-15-176】で全国リーディング23位という成績だった。

JRAでの重賞勝利数は8勝。GⅠの舞台では障害重賞も含めて2着が4回あり、2020年の高松宮記念ではクリノガウディーが4頭横並びの大接戦を制し先頭で入線するも、4着へ降着の判定が下されるなど惜しい場面が何度もあった。いかに勝負の世界が厳しいものなのか改めてよくわかる。
<藤沢則雄厩舎 主な重賞勝ち馬>
ナリタセンチュリー(1999年産/04年 京都大賞典)
ランヘランバ(2003年産/10年 京都ジャンプS)
シルクフォーチュン(2006年産/11年 プロキオンS)
オーミアリス(2012年産/14年 小倉2歳S)

最終週は「荻野琢真騎手」とのコンビに期待をしたい。2024年以降、藤沢則雄厩舎の成績は【7-8-15-226】となっており、最も多く騎乗している荻野琢真騎手の成績は【2-1-8-38】となっている。3着以内30回のうち11回を同騎手でマークし、複勝回収率は126%を記録。最終週も該当馬がいれば期待だ。
フェブラリーSを3勝 村山明調教師
最後は勇退となる1971年8月18日うまれの村山明調教師。1990年にジョッキーとしてデビューすると218勝をマークし、調教助手を経て2008年に調教師として再出発した。
2025年2月17日までの成績は【307-291-330-3537】勝率6.9%、連対率13.4%、複勝率20.8%。キャリアハイは2013年の【31-21-26-202】で全国リーディング17位という成績だった。

調教師としてJRAであげた重賞勝利数は12勝で、そのうち3勝がフェブラリーS。なかでもコパノリッキーで、最低人気だった2014年、1番人気となった2015年に連覇したことが印象に残っている。
<村山明厩舎 主な重賞勝ち馬>
ホッコーパドゥシャ(2002年産/09年 新潟記念)
テスタマッタ(2006年産/12年 フェブラリーS)
ラブイズブーシェ(2009年産/14年 函館記念)
コパノリッキー(2010年産/14年、15年 フェブラリーS)
ダノンレジェンド(2010年産/14年 カペラS)
サトノルパン(2011年産/15年 京阪杯)
コパノキッキング(2015年産/18年、19年 カペラS)

最後の2日間は「亀田温心騎手」が騎乗の際に狙ってみたい。2024年以降、村山明厩舎の馬に一番多く跨ったのが亀田温心騎手で、【4-2-3-25】複勝率26.5%をマークしている。特に1勝クラスでの成績が良いので機会があれば狙ってみても面白そうだ。
《ライタープロフィール》
高橋楓。秋田県出身。
サクラローレルの馬体の美しさに魅せられて競馬の世界に惹きこまれる。他に好きな馬はホクトベガ、サイレンススズカ。一口馬主を趣味とし、楽しさを伝える事にも注力している。
競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』にてライターデビュー。競馬、ボートレースの記事を中心に執筆している。
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