河内洋調教師はアイコンテーラーなどダートで多数の活躍馬を輩出 2025年引退調教師の活躍を振り返る(前編)
高橋楓

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2025年は8名の調教師が引退
大学生時代に小田急線ユーザーだった私にとって「卒業」というワードを聞くと、真っ先にいきものがかりの『SAKURA』が思い出される。メロディを聞いただけで、情景や当時の思い出が蘇ってくることから改めて音楽の力の偉大さを感じる。
さて、競馬界は2月末が別れの季節。今年は3月4日をもって引退となる。そこで今回は、業界を支え盛り上げた8名の調教師の成績や主な重賞勝ち馬、そして最後の馬券の狙い目を2週にわたって取り上げていく。今回は河内洋氏、宗像義忠氏、木原一良氏、石毛善彦氏の4名についてみていく。
ダービージョッキーからトレーナーへ 河内洋調教師
まずは1955年2月22日うまれの河内洋調教師。騎手時代は数多くのGⅠ制覇を成し遂げ、競馬界を大いに盛り上げた。
特に2000年の日本ダービーではアグネスフライトとコンビを組み、武豊騎手騎乗のエアシャカールとの叩き合いを制した一戦は後世に語り継がれるだろう。
調教師としては2005年3月にデビュー。そこから2025年2月10日までに【383-396-392-3635】勝率8.0%、連対率16.2%、複勝率24.4%を記録。2006年から2024年まで19年連続で二桁勝利を挙げた。キャリアハイは2014年の【32-27-18-195】で全国リーディング15位という成績だった。

次に主な重賞勝ち馬を振り返ってみよう。筆頭格は2023年にJBCレディスクラシックを制し、厩舎に初JpnⅠ制覇をもたらしたアイコンテーラーだろう。レースは3コーナーで先頭に立つと、直線では突き放す一方で4馬身差の圧勝を飾った。なお、JRAでの重賞勝ちは7勝となっている。
<河内洋厩舎 主な重賞勝ち馬>
マルカシェンク(2003年産/08年 関屋記念)
ヤマニンキングリー(2005年産/09年 札幌記念)
プラチナムバレット(2014年産/17年 京都新聞杯)
サンライズソア(2014年産/18年 平安S)
アイコンテーラー(2018年産/23年 JBCレディスクラシック)
ウォーターリヒト(2021年産/25年 東京新聞杯)

ラスト2週の馬券では「西塚洸二&高杉吏麒」の2名の騎手が騎乗したときに狙ってみたい。というのも河内調教師の2024年以降の成績は【13-12-19-196】だが、勝利の約半数をこの2名でマークしている。
西塚洸二騎手【4-1-1-20】
高杉吏麒騎手【2-0-0-2】
特に高杉騎手の2勝は今年に入ってからのもの。ちなみに武豊騎手が騎乗したときの成績は【0-1-3-7】。最後の重賞挑戦となるチューリップ賞ではウォーターガーベラに騎乗予定で、出走が叶えば兄弟弟子の間柄としても大いに盛り上がりそうだ。
愛弟子と勝ち取ったビッグタイトル 宗像義忠調教師
次に1954年7月26日うまれの宗像義忠調教師。1980年に調教助手として競馬界に飛び込むと、1993年に調教師としてデビュー。初勝利は出身地の福島競馬場だった。
2025年2月10日までに【671-645-623-6076】勝率8.4%、連対率16.4%、複勝率24.2%を記録。勝ち星のキャリアハイは2011年の【34-18-31-249】で、全国リーディング21位という成績だった。

ここまで通算JRA重賞23勝を挙げている。活躍馬として真っ先に思い浮かぶのは「ダービースタリオン」の開発者で有名な薗部博之氏の持ち馬で、重賞7勝のバランスオブゲーム。他にも重賞6勝のフェイムゲームを管理した。
そして節目の開業30年目には、ナランフレグが高松宮記念を制しGⅠ初勝利。愛弟子の丸田恭介騎手との勝利は感動を呼んだ。
<宗像義忠調教師 主な重賞勝ち馬>
シンコウカリド(1998年産/01年 セントライト記念)
バランスオブゲーム(1999年産/05年、06年 中山記念)
フェイムゲーム(2010年産/14年 アルゼンチン共和国杯)
ナランフレグ(2016年産/22年 高松宮記念)
ウインキートス(2017年産/21年 目黒記念)

ラスト2週の馬券では「石田拓郎騎手」が騎乗するときに狙ってみたい。同騎手との2024年以降の成績は【2-1-1-26】、丸田騎手の次に騎乗数が多い。まだまだ人気馬に乗る機会は少ないが、7、8、9、14番人気馬で馬券に絡み、ビッグ配当をもたらしている。最後に思わぬ夢馬券を届けてくれるかもしれない。
トレーナーとして飾った重賞制覇 木原一良調教師
3人目は1954年4月25日うまれの木原一良調教師。1974年に騎手デビューし、JRA通算29勝をあげ、その後調教助手となった。その後、1999年に調教師としてデビューすると、デビュー1週間後にサリーレですみれSを制し初勝利を挙げた。
2025年2月10日までの成績は【351-356-399-4536】勝率6.2%、連対率12.5%、複勝率19.6%。キャリアハイは2017年の【22-14-9-204】で全国リーディング56位という成績だった。

JRAでの重賞勝利数は11勝。騎手として成し遂げられなかった重賞制覇を調教師として成し遂げた。特にテイエムの冠での勝利が多く、思い返せばGⅠ初挑戦もテイエムメダリストだった。
<木原一良調教師 主な重賞勝ち馬>
ナリタクリスタル(2006年産/10年、11年 新潟記念)
マルモセーラ(2008年産/10年 ファンタジーS)
フーラブライド(2009年産/13年 愛知杯)
メイケイペガスター(2010年産/13年 共同通信杯)
テイエムジンソク(2012年産/18年 東海S)
テイエムトッキュウ(2018年産/23年 カペラS)
テイエムスパーダ(2019年産/23年 セントウルS)

ラスト2週の馬券では「ダート戦」で狙ってみたい。木原調教師の2024年以降の成績は【9-9-12-214】だが、勝利はすべてダート戦であげたもの。なかでも酒井学騎手騎乗時は【4-2-0-16】ということも併せて覚えておけば、面白い馬券に出会えるかもしれない。
初重賞制覇が重なったアイビスSD 石毛善彦調教師
今回の最後は、1954年11月9日うまれの石毛善彦調教師。元ジョッキーの父、石毛善衛厩舎の調教助手として1978年に競馬界に入り、調教師として1995年にデビュー。初出走はカミノスルガオーだった。
2025年2月10日までの成績は【250-260-277-4731】勝率4.5%、連対率9.2%、複勝率14.3%。キャリアハイは1998年の【19-27-10-89】で、全国リーディング58位という成績だった。

石毛善彦厩舎がJRAでマークした重賞勝利は1勝。ただ、この1勝が非常に話題になった。開業28年目の石毛調教師、デビュー12年目の杉原誠人騎手、オーナーであるミルファーム、勝ち馬ビリーバー、同馬の父モンテロッソ。なんとそれぞれの重賞初制覇が重なったのだ。これほどの偶然はなかなかお目にかかれるものではない。
<石毛善彦厩舎 重賞勝ち馬>
ビリーバー(2015年産/22年 アイビスサマーダッシュ)

ラスト2週の馬券では「短距離戦」が狙い時だ。石毛調教師は2024年以降【7-2-1-165】の成績を残しており、平地では6勝を記録。その距離の内訳をみると、1600m以下で全6勝を挙げている。
1000~1300m【4-2-1-75】
1400~1600m【2-0-0-44】
1700m以上【0-0-0-37】
今年はまだ掲示板を確保できていないが、短距離戦に出走があれば狙ってみても面白そうだ。
《ライタープロフィール》
高橋楓。秋田県出身。
サクラローレルの馬体の美しさに魅せられて競馬の世界に惹きこまれる。他に好きな馬はホクトベガ、サイレンススズカ。一口馬主を趣味とし、楽しさを伝える事にも注力している。
競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』にてライターデビュー。競馬、ボートレースの記事を中心に執筆している。
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