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【フェブラリーS】ハイペースかつ差し有利の展開を想定 ミッキーファイトやドゥラエレーデを推奨

2025/02/22 17:50
山崎エリカ
2025年フェブラリーステークスのPP指数,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

今年も「ハイペースの差し有利」が濃厚

フェブラリーSは過去10回のうち、7回がかなりのハイペースとなっている。東京ダート1600mは最初のコーナーまで約640mと長いため、先行争いが激化するとペースが上がる傾向にある。一方、逃げ馬が楽に逃げられればペースは落ち着く。

過去10年でもっともペースが落ち着いたのは、インティの逃げ切りが決まった2019年。この年は明確な逃げ馬がインティしか出走していなかった。一方、最もペースが速くなったのは昨年。逃げるドンフランキーにウィルソンテソーロが競りかける形となり、ペプチドナイル以外の先行馬が総崩れとなった。

今年はミトノオーがブリンカー着用で出走。ミトノオーもサンデーファンデーもアンモシエラも、スローペースの逃げで重賞を勝利した馬たちで、なるべくなら競り合いは避けたいところ。しかし、ペースを落とせば、早々とペプチドナイルに先頭に立たれてしまうので、ペースを落とせないだろう。よって、今年もハイペースで差し馬有利の展開になると見る。


能力値1~5位の紹介

2025年フェブラリーSのPP指数一覧,ⒸSPAIA


【能力値1位 ペプチドナイル】
昨年覇者で、2走前のマイルCS南部杯ではレモンポップを相手にしぶとく食らいついて2着に健闘した。ここでは14番枠からまずまずのスタートを切り、内枠各馬の出方をうかがいながらじわっと先行策。内からレモンポップがハナを主張すると、仕掛けて2番手の外まで上がり、3角まで同馬に競りかけて行く。

3~4角で息を入れ、4角では3番手以下を離しながらレモンポップに食らいついて3/4馬身差。直線序盤でも追われて最後まで食らいついたが、差は詰まらずに3/4馬身差でゴールした。

昨秋のマイルCS南部杯の決着タイムは1分35秒9。同じくレモンポップが優勝した一昨年よりも2秒1も遅いが、昨年は時計の掛かる馬場だった。ここでは3着キタノヴィジョンには5馬身差をつけており、昨年のフェブラリーSを上回る指数だった。

前走のチャンピオンズCでは2列目の外を追走し、ラスト2Fで2番手に上がったが、ラスト1Fではレモンポップに離されての5着。最後に甘さを見せたが、休養明けの前走で好走した疲れもあったのだろう。

また、2023年にはダ1700m戦の大沼SやマリーンSで、昨年のフェブラリーSと同等の指数を記録しているが、ダ1800m以上になると最後に甘さを見せる傾向がある。ベストは1600m。昨年のフェブラリーSと比べて、今年は相手が強くなる点がやや不安だが、有力な一頭であることは確かだ。

【能力値2位 ミッキーファイト】
昨年のジャパンダートクラシック2着馬。2走前は10番枠からスタート後に内によれたが、そこから馬なりで中団中目を追走。道中はラムジェットを見ながら進めていたが、向正面で同馬が捲りに動いても追い駆けずに我慢する。

3~4角でペースダウンすると、じわっと進出して4角出口で大外に誘導して直線へ。序盤で3番手に上がり、ラスト1Fでもしぶとく伸びたが、フォーエバーヤングには届かず1馬身1/4差で敗れた。

ややハイペースではあったが、ラスト1Fでは2馬身1/4差ほどあったフォーエバーヤングとの差を、1馬身ほど詰めている。また、後のみやこS覇者であり、プロキオンSでも2着のサンライズジパング(3着)には5馬身差をつけている。

その他にも本馬はデビュー2戦目の中山ダ1800m・1勝クラスで、大出遅れ後に好位の外まで位置を挽回し、後に雲取賞を制するブルーサンに5馬身差で勝利。ここではフォーエバーヤングに次ぐ世代2位の指数を記録し、以降、世代No.2候補として活躍し続けている。

もともと馬体重500kg超えの大型馬だが、前走の名古屋大賞典では馬体重14kg増と太目で出走。内側の砂が深いタフな馬場で行われ、ハイペースになったが、逃げるとしぶといノットゥルノをマークし、2番手から差し切ってクビ差で勝利した。ここでは前進気勢が強く、掛かる場面が見られた。

この中間は美浦坂路で50秒9の自己ベストを出しており、これらの理由からマイル適性が高まっているように感じる。“泣き”の田中博康調教師も珍しく強気で、フォーエバーヤング不在のここは期待が高まる。今回の本命候補だ。

【能力値3位 ドゥラエレーデ】
一昨年と昨年のチャンピオンズC3着馬。昨年のチャンピオンズCでは6番枠から五分のスタートを切り、促されていたが、あまり進んで行かず、テンも速かったので控えて中団内目を追走した。道中も中団中目で脚を温存して3角へ。

3~4角では中団の最内を通って、直線序盤で最内のスペースを拾いながら狭いところをしっかりと伸びて3列目付近まで上がる。ラスト1Fでもしぶとく伸びて、最後に甘くなったペプチドナイルをかわして3着を確保した。本馬はこれまで揉まれ弱さがあったが、ここではキックバックを受けても問題なく、最後の直線では狭い隙間を捌いてくる気の強さを見せている。

昨年のフェブラリーSでは4番枠から押してふらつきながら2列目と前に行ったことで、激流に巻き込まれ12着と大敗した。しかし、揉まれ弱さを克服した今回は、昨年のように無理に位置を取りに行く必要がない点は魅力だ。

前走のプロキオンSでは、2列目の最内を立ち回ってアタマ+クビ差の3着だったが、自己最高指数を記録した昨年のチャンピオンズCがベストとするならば、前走はやや位置を取りに行きすぎた。本質的にマイルは距離が短いと見ているが、差す形になっても不安がなくなったここは対抗に推す。

【能力値4位タイ エンペラーワケア】
ダートでは9戦7勝、2着2回と連対を外していない馬。重賞初挑戦となった昨年の根岸Sでも1着と結果を出している。その根岸Sでは7番枠からやや出遅れたが、そこから促して早い段階で位置を挽回。ペースが遅かったこともあり、道中は好位の外でコントロールしながら進めた。

3~4角では2列目外のパライバトルマリンの後ろで我慢して、4角出口で仕掛け3列目で直線へ。序盤ですっと伸びて2列目まで上がると、ラスト2Fで追われて先頭に立つ。ラスト1Fで突き抜けて2馬身半差で完勝した。ここではゲートがイマイチだったが、ペースが遅く、速い段階でポジションを取れたことが好走に繋がった。

その次走の欅Sではコスタノヴァとの直接対決で2着に敗れた。ここでも8番枠からやや出遅れ、じわっと促して好位の中目を追走。道中でやや掛かってコントロールに苦労し、外目に誘導して2列目の外を狙ったが、3角で外からシアージストに被されて一列後退する。

3~4角では外々から押し上げ、4角では3頭分外を回るロスを作ったが、直線序盤でシアージストには楽々と並びかける。ラスト2Fで先に抜け出したコスタノヴァに3/4馬身差まで食らいついたが、ラスト1Fでやや甘くなって1馬身1/4差まで離されてゴールした。ここではスムーズさを欠いており、3~4角のロスも大きく、着差ほど悪い内容ではなかった。

前走の武蔵野Sは10番枠から五分のスタートを切って、二の脚でじわっと先行策。前2頭が競り合いながら飛ばして行ったこともあり、最終的にはやや離れた好位の中目を追走する。道中は好位の内で脚を温存して3角へ。

3~4角で前が顕著にペースダウンすると、最内のスペースを拾いながら押し上げて2列目の内から直線へ入る。ここまでは完璧にも見える運ばれ方だったが、直線序盤では進路がなく、ブレーキする羽目に。立て直しても進路が作れず、ラスト2Fで狭いところを通ってようやく進路を確保。ラスト1Fですっと抜け出して1馬身差で勝利した。

前走はかなり危うい競馬だったが、相手がそれほど強くなかったこともあり、昨年の根岸Sや欅Sからは指数ダウンする形での勝利だった。東京ダ1600mという舞台は問題ないが、ゲートがイマイチな馬であることを考えると最内枠というのは減点材料だ。それでもスムーズな競馬ならば上位争いに加われるだろう。

【能力値4位タイ コスタノヴァ】
3走前の欅Sでエンペラーワケアを撃破した馬。ここでは7番枠から出遅れたが、押して二の脚で好位の中目まで挽回。道中でも内のスペースを拾って2列目の内まで押し上げ、3~4角では最内から進出して4角出口で外へ。

直線序盤でエンペラーワケアに蓋をされたので、進路を内に切り替えてすっと先頭列に上がり、ラスト2Fでは反応良く抜け出して3/4馬身差。ラスト1Fで食らいつくエンペラーワケアを振り切ると1馬身1/4差で完勝した。3着馬を5馬身以上も突き放しており、上位2頭によるハイレベル戦だった。

前走の根岸Sも圧勝。ここでは9番枠からやや出遅れ、軽く促して中団中目を追走。道中、前が競り合って縦長となる展開を、中団内目でコントロールしながら進めた。

3~4角でも最内を馬なりで進み、4角出口で中目に誘導される。直線序盤では外からカラ馬(騎手が落馬した馬)のタガノビューティーが内に切れ込んで来るのを待って外に出す完璧な立ち回り。そのカラ馬がサンライズフレイムなどの進路をカットする場面はあったが、ラスト2Fではグングン伸びて2馬身半差。ラスト1Fで抜け出すと4馬身差でゴールした。

このレースは前半3F33秒9-4F目11秒8-後半3F36秒9と緩みない流れの超ハイペース。カラ馬の進出を冷静に捌いて上手く乗られており、展開にも恵まれていた。それでもペプチドナイルのマイルCS南部杯と並ぶ、メンバー中トップタイの指数を記録している点は評価できる。

本馬はダート1400mがベストであり、今回はさすがに前走から指数ダウンする可能性が高い。しかし、折り合いがスムーズな馬で、ダート1600mでも3勝の実績があり、警戒は必要だ。

【能力値4位タイ サンライズジパング】
ホープフルS3着後は芝路線を使われていたが、一線級が相手では苦しく、5走前の不来方賞から再びダート路線へ。4走前のジャパンダートクラシックは、ミッキーファイトに5馬身差をつけられての3着と完敗だったが、休養明けの不来方賞でジャパンダートクラシックの優先出走権を獲得しにいった疲れもあったはず。

それを証明するかのように、次走のみやこSでは古馬を相手に優勝した。ここでは大外15番枠からやや出遅れ、軽く促して中団の外を追走。道中は押しながらの追走でやや忙しそうだったが、3角手前の上り坂でじわっと押し上げて3角へ入る。

3~4角でも好位の外々から追っつけ、鞭も入れられながら3番手に上がって直線へ。序盤でじわじわ伸びて3番手まで上がると、ラスト1Fでしぶとく伸び、先頭のアウトレンジを捉えて半馬身差で勝利した。

このレースは重馬場ながらもそこまで高速ダートではなかった。それでも追走に忙しさを見せており、前が残る展開なら届かない可能性が高かったが、ラスト1Fで前が失速する展開になったことで差し切ることができた。

前走のプロキオンSでは9番枠からやや出遅れ。激しく押していくも二の脚が遅く、中団中目に食らいつくのが精一杯だった。道中も中団の外目から促して3角へ。

3~4角でも中団の外から追っつけながら4列目付近で直線へ。序盤でしぶとく伸びて4番手に上がると、ラスト1Fでも先頭のサンデーファンデーとの差を詰めたが、アタマ差届かずの2着だった。スローペースとなり、3走前のみやこSよりも決着タイムが遅くなったことで追走できたようだが、それでも見た目としては大変そうだった。

本馬は当初、サウジCデーのレッドシーターフハンデキャップ(芝3000m)に出走予定だったが、オーナーの一存でここを使われるとのこと。ダート1800mでも追走に苦労しており、1600mだと通常は苦しい。だが、2023年のフェブラリーS3着馬メイショウハリオのように、後方からレースの流れに乗らない、ほかの馬とは違う競馬をすれば3着くらいに食い込むチャンスはありそうだ。


穴候補は昨年の2着馬ガイアフォース

ガイアフォースは昨年のフェブラリーSで初ダートながら2着と好走し、ダート適性の高さを証明した馬。このレースでは7番枠から五分のスタートを切って押していったが、内からやや強引に外に出ようとしたドゥラエレーデの影響で、オメガギネスとともに外に押し出される不利があった。そこから中目に切り替えて、道中は中団やや前目を追走する。

3角で前のオメガギネスを意識して追い、3~4角では中団中目で包まれてしまったが、同馬の後ろを通って出口で外に誘導。やや窮屈だったが、立て直して追われると伸びはじめ、ラスト1Fではタガノビューティーの外からしぶとく伸び、最後は同馬とセキフウを含めた3頭による2着争いをクビ差で先着した。

ダート2戦目だった前走チャンピオンズCでは「大外16番枠」には目を瞑って本命にしたが15着に惨敗。ここでは出遅れ、そこから無理せずにコントロールしながら進めていたが、内に入れず、1角から大外を回り続け、2角でも大外を回る大きなロスがあった。

向正面でもややコントロールに苦労しながら中団まで押し上げるが、3角でも内に入れられず、ひたすら大外を回り続ける。4角ではさすがに苦しくなって後退し、大敗した。

今回も外枠の8枠15番で引き続き長岡禎仁騎手が鞍上だが、コーナー2回のコースであれば、外目を回っても上位争いに加われると見ている。

競走馬を見ていると、デビュー当初にベストでない条件を使われていると、最適条件を使われた際の伸びしろが大きい傾向がうかがえる。たとえば“テソーロ軍団”も、芝でデビューさせてダートで大成している馬が多い。このことからもガイアフォースはまだ伸びしろがあってもいい。まだ見限れない。

※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)ペプチドナイルの前走指数「-31」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも3.1秒速い

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。

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