【阪急杯】格より勢いが重要な一戦 5戦4勝の「新星」フォーチュンタイムの初重賞制覇に期待

貴シンジ

阪急杯・前走着順別成績,ⒸSPAIA

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3つのファクターから推奨馬を見つけ出す

今回は2月22日(土)に京都競馬場で行われる阪急杯について、下記3つのファクターを組み合わせるコンプレックスアナライズで分析を行っていく。

・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目に見えない上積みを探る「前走の内容」
・適性と素質を知るための「血統評価」

ここでは特別登録のあった20頭のうち、除外対象となっているセッションとグレイイングリーンを除いた18頭を検討対象とする。なお、データは阪神開催の過去10年分のデータを使用する。


重要データ:前走1~5着だった馬が好成績

前走着順別成績,ⒸSPAIA


阪急杯は例年、阪神競馬場で行われる一戦。傾向もわかりやすいレースなのだが、今年は京都開催のため、競馬場が変わっても適用できるデータを探さなくてはならない。

そこで注目したいのが、「前走着順別成績」だ。前走で掲示板を確保、すなわち5着以内だった馬の成績は【6-7-5-47】で単勝回収率99%、複勝回収率137%の好成績となっている。

この中には、3勝クラスを勝利した勢いのままこのレースも制した20年のベストアクターや23年アグリも含まれる。クラスを問うわけではなく、勢いがある馬を狙うのが良いのだろう。

対して、前走で6着以下だった馬の成績は【4-3-5-87】で単勝回収率55%、複勝回収率47%と低水準。ちなみに、4勝のうち2勝は18年ダイアナヘイロー(7番人気)と19年スマートオーディン(11番人気)で人気薄だった。それにも関わらず、これだけ回収率が振るわないというのは想像以上に割引要素なのかもしれない。

今回上位人気が予想されるソーダズリングやダノンマッキンリーは前走6着以下で、いずれも好走データから外れている。

【前走1~5着だった出走予定馬】
・フォーチュンタイム
・フルメタルボディー


前走内容:フォーチュンタイムの東山S

フォーチュンタイムは前走の東山S(3勝クラス)で1着。デビューが遅れたため4歳馬ながらまだキャリア5戦だが、敗戦は2走前の秋風S2着のみ。成績は【4-1-0-0】を誇る。

秋風Sではトロヴァトーレに敗れたが、同馬はオープン昇格後もキャピタルSで2着、続くニューイヤーSは1着と結果を残している。決して悲観する敗戦ではない。条件戦経由でオープン馬になったことを考慮すると、特筆すべき出世の早さだ。

話を東山Sに戻す。最内枠からスタートこそ速かったがダッシュはつかず、徐々に押して好位集団を確保。直線では馬場の外側から楽々と突き抜け、2着馬に0.4秒差の快勝だった。しかも鞍上のR.ムーア騎手のアクションを見ると、まだ余力を残していたような様子だった。

ラップは前半3F34.2秒、後半3Fが35.2秒の前傾1秒。ただし、逃げたメイショウエニシアが4馬身ほど馬群を離していたので、2番手以下はほぼフラットなラップを刻んでおり、位置取りの有利不利はなし。展開に助けられた勝利ではなく、重賞初挑戦でタイトルに手が届いてもおかしくない素質を見せた。


血統解説:フォーチュンタイム

フォーチュンタイムの血統表,ⒸSPAIA


・フォーチュンタイム
日本での牝祖は祖母ウィルダネスストーム。ファミリーを通じて、日本に入ってきてから活躍馬は多く出ていないが、本馬の母オールタイムベストはJRAの芝ダートのスプリント戦で計4勝を挙げ、準OPでも勝ち負けできるほどの実力馬だった。

元々北米で発展した牝系で、ワンペースのスプリント戦が得意なファミリーだが、オールタイムベストは父ブライアンズタイムということもあり、持続性能とパワーに秀でた長く良い脚を使うタイプの競走馬だった。

本馬はそんなブライアンズタイムにグレーターロンドンを迎えた。欧州色の強い父により距離適性は母よりも若干長めで、父の父ディープインパクト由来の瞬発力もある。

ただ、それでも母方の影響は強く、一番の武器は持続性能の高い末脚だ。そのため、競馬場としては京都が最も合うだろう。


Cアナライズではフォーチュンタイムを推奨

今回のCアナライズでは、フォーチュンタイムを推奨する。

3勝クラスからの昇級初戦でいきなりの重賞となるが、今回のメンバーを見ると、前走で掲示板を確保した馬は本馬と同じく3勝クラス勝ちのフルメタルボディーだけ。例年に比べると軽い相手と言える。

血統から京都コースは合い、1400mの距離も前走でしっかりと適応してみせた。3勝クラス快勝の舞台で連勝に期待したい。

【ライタープロフィール】
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。

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