2歳戦における“早生まれ”のプラス条件を調査 「GⅠ、GⅡ」では単回収率176%

東大ホースメンクラブ

2歳戦 早生まれの馬のプラス条件,ⒸSPAIA

2歳戦で重要な「生まれ月」

今週末は京都芝1600m外回りでGⅠ朝日杯FSが開催される。黄菊賞を3馬身差で快勝したミュージアムマイル、出世レースであるサウジアラビアRCの勝ち馬アルテヴェローチェ、GⅢ新潟2歳Sを制したトータルクラリティなどが出走予定だ。

2歳GⅠを予想する上で重要な要素となるのが「生まれ月」。キャリアの早い段階で行われる2歳戦では、完成度の差で1、2月生まれの“早生まれ”が活躍しやすい。実際、先週の阪神JFは、4月生まれの1番人気ブラウンラチェットは16着に敗れ、2月生まれのアルマヴェローチェとビップデイジーがワンツーを決めた。

そこで今回は2歳戦における、1、2月生まれを対象とした“早生まれ”のプラス条件をテーマにデータ分析を行っていく。なお、参照するデータは基本、2019年12月14日~2024年12月8日の過去5年分を使用する。


1月生まれは別格

まずは、2歳戦の生まれ月別成績を見ていく。

2歳戦 生まれ月別成績,ⒸSPAIA


<2歳戦 生まれ月別成績>
1月【241-274-215-1398】
勝率11.3%/連対率24.2%/複勝率34.3%/単回率73%/複回率78%
2月【775-732-704-5854】
勝率9.6%/連対率18.7%/複勝率27.4%/単回率78%/複回率72%
3月【1007-1018-977-9978】
勝率7.8%/連対率15.6%/複勝率23.1%/単回率80%/複回率73%
4月【868-874-947-9659】
勝率7.0%/連対率14.1%/複勝率21.8%/単回率68%/複回率72%
5月【319-305-365-4381】
勝率5.9%/連対率11.6%/複勝率18.4%/単回率59%/複回率61%
6月以降【15-18-14-232】
勝率5.4%/連対率11.8%/複勝率16.8%/単回率45%/複回率66%
※2019年12月14日~2024年12月8日

なんと勝率、連対率、複勝率の全てにおいて、生まれ月が遅ければ遅いほど下がっていくという綺麗な傾向が読み取れた。特に1月生まれは別格で、勝率は唯一10%台に乗っており、複勝率も30%オーバーだ。

一方、5、6月生まれになると2歳戦では厳しい結果。好走率だけでなく、単勝回収率でも60%以下と低調。やはり2歳戦における、早生まれのアドバンテージはとてつもなく大きい。


GⅠ、GⅡで妙味大

この章では1、2月生まれを対象とした“早生まれ”の具体的な「プラス条件」について見ていく。

2歳戦 「1、2月生まれの馬」のプラス条件,ⒸSPAIA


<2歳戦 「1、2月生まれの馬」のプラス条件>
GⅠ、GⅡ【15-14-13-98】
勝率10.7%/連対率20.7%/複勝率30.0%/単回収率176%/複回収率95%
6月【80-65-63-361】
勝率14.1%/連対率25.5%/複勝率36.6%/単回収率134%/複回収率92%
須貝尚介厩舎【30-19-13-60】
勝率24.6%/連対率40.2%/複勝率50.8%/単回収率113%/複回収率90%
ナダル産駒【15-10-3-20】
勝率31.3%/連対率52.1%/複勝率58.3%/単回収率118%/複回収率92%
※2019年12月14日~2024年12月8日

最初にあげるのはGⅠ、GⅡ。ハイレベルなレースであればあるほど、早生まれのアドバンテージが生きてくるようだ。年末のGⅠホープフルSでは、【3-2-3-22】と5回中3勝をあげ、単回収率319%、複回収率102%。2022年に14番人気1着だったドゥラエレーデもこのデータから拾うことが可能。今年も該当馬には注目したい。

6月のレースも狙い目の一つだ。早生まれのアドバンテージは時間が経過するほど縮まっていく。そのため、最も恩恵を受けるのは6月の番組ということになる。勝率は14.1%、単回収率は134%とベタ買いするだけでプラス。来年まで覚えておきたい。

厩舎別では、須貝尚介調教師の管理馬もオススメ。特に新馬戦では【17-11-4-15】勝率36.2%、複勝率68.1%、単回収率163%、複回収率114%と優秀な成績をおさめ、単複回収率もプラスだ。ほか、矢作芳人調教師が【21-19-10-81】勝率16.0%、単回収率121%、池添学調教師が【15-13-4-45】勝率19.5%、単回収率244%となっている。

血統関連では、早生まれのナダル産駒が無双状態だ。勝率は31.3%と抜群で単回収率も118%とプラス域。来年のPOGや2歳戦を予想する上でも覚えておきたい。

ほか、ジャスタウェイ産駒が【27-11-12-124】勝率15.5%、単回収率117%、リアルスティール産駒が【22-23-14-80】勝率15.8%、単回収率173%と好調。また、種牡馬デビュー2年目のレイデオロ産駒も【15-16-13-54】勝率15.3%、単回収率155%と妙味たっぷりだ。

ちなみに、芝ダート別の成績では、芝が勝率10.7%、単回収率83%に対して、ダートは勝率8.5%、単回収率66%に留まっている。早生まれのアドバンテージは芝でこそ輝くのかもしれない。

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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