【朝日杯FS】最有力は出世レース制したアルテヴェローチェ 距離延長に対応したパンジャタワーも見逃せない
勝木淳
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京都Dコースの傾向とは
阪神JFは戦前の抽選突破すら難しいハイレベルな戦いだったが、対して、朝日杯FSはショウナンザナドゥが阪神JFにまわったことで登録全頭が出走可能となった。
というのも、今年、2歳1勝クラス芝のレースは14鞍行われ、そのうち牝馬限定戦は3鞍。残る11鞍で牝馬は5勝もした。11月30日、12月1日の週で牡馬、セン馬が3勝し、勝利数は逆転したが、ジャパンC週までで区切ると、8鞍で牝馬が5勝に対し、牡馬、セン馬は3勝だった。
牝馬の2勝馬が多いのも要因だが、なにより牝馬の目標が阪神JFから桜花賞と一本道を進むのに対し、牡馬は朝日杯FS、ホープフルSと二手にわかれ、春も皐月賞、NHKマイルCへと適性に応じて分岐していく。2歳12月は牡馬にとって最初のターニングポイントでもある。
一方で、ダービーを勝ったドウデュースは朝日杯FSから春の飛躍へつなげた。舞台の1600mは競馬の根幹とされる。スピード、折り合い、持続力とマイル戦で求められる要素はその後、距離が延びても決して欠かせない。ドウデュース飛躍の秘訣はマイルGⅠを勝利したことにあったりもする。朝日杯FSだからマイル路線とは一概に決めつけられない。可能性はむしろ広がる。
以降は、阪神施行10年分のデータを使用して朝日杯FSについて分析していく。
今年の舞台は京都。Dコースを使用するのは改修後、今年の2月最終週、6月開催終盤2週の計3週間しかない。道悪で行われた宝塚記念当日など良馬場以外を除く23レースでは、3枠から内は3勝、4~6枠9勝、7、8枠11勝と外枠の成績がよかった。位置取りでは逃げ2、先行11、中団~後方10勝。競馬の基本は先行なので、数字以上に差しが決まる。
Dコース施行時のデータを踏まえつつ、朝日杯FSについて見ていこう。人気別成績では、1番人気が【5-2-2-1】勝率50.0%、複勝率90.0%と信頼に値する。2番人気【2-3-1-4】勝率20.0%、複勝率60.0%、3番人気【1-1-2-6】勝率10.0%、複勝率40.0%と信頼度は人気順で、馬券的な傾向ははっきりしている。6、7番人気各1勝と穴馬の激走もなくはないが、基本は上位人気が中心だ。
キャリア別成績をみると、1戦【1-0-2-3】勝率16.7%、複勝率50.0%、2戦【5-5-3-34】勝率10.6%、複勝率27.7%とキャリアの浅い組に注目だ。3戦【3-4-1-41】勝率6.1%、複勝率16.3%あたりが好走ゾーンになる。
内容も濃いアルテヴェローチェ
2戦2勝の重賞馬であるアルテヴェローチェ、パンジャタワー、トータルクラリティが格では最上位。良血アルレッキーノ、サウジアラビアRC2着タイセイカレント、デイリー杯2歳S2着ドラゴンブーストなどが今年は中心になりそうだ。
最多3勝を挙げる前走GⅢ組【3-3-1-17】勝率12.5%、複勝率29.2%は、サウジアラビアRCが【3-2-1-4】となっており、好走はすべてここ。ただ、1着馬【3-1-1-0】なので、買えるのは勝ち馬のみ。アルテヴェローチェは最有力だ。
今年のサウジアラビアRCは7頭立てながら、前後半800m45.7-47.3のハイペース。ラスト600m11.7-11.6-12.0と決して軽いレースではなかったのは、GⅠ挑戦にあたりプラスだろう。
もうひとつのステップレースであるデイリー杯2歳S組は【2-4-2-20】勝率7.1%、複勝率28.6%。頭数も多く、サウジアラビアRCより絞りにくい。だが、こちらも1着【2-2-1-3】勝率25.0%、複勝率62.5%と基本は勝ち馬からだ。
しかし、今年の勝ち馬は牝馬のランフォーヴァウ。ドラゴンブーストの2着は【0-1-1-5】複勝率28.6%。本番が同じ京都なので、前進があるかもしれない。
その他では、京王杯2歳Sが【0-2-2-24】複勝率14.3%。かつては穴馬を輩出したローテーションだが、最近は凡走気味で評価が難しい。脚質別で見ると、先行した馬の成績が悪く、差し【0-2-1-4】複勝率42.9%がツボ。東京の直線で確固たる末脚を使えた馬は楽しめる。勝ったパンジャタワーは上がり600m33.8で差し切った。1200mから距離を延ばし、差しに構えても結果を残しており、侮れない。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『アイドルホース列伝 超 1949-2024』(星海社新書)に寄稿。
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