【朝日杯FS】最多勝はロゴタイプ、リオンディーズらを導いたM.デムーロ騎手 2歳マイル王決定戦の「記録」を振り返る

緒方きしん

朝日杯FS、思い出の記録,ⒸSPAIA

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最多勝はM.デムーロ騎手

今週は朝日杯FSが開催される。2歳のマイル王を競う一戦で、ナリタブライアンやグラスワンダーといった名馬を多く輩出してきた。近年もドウデュースやジャンタルマンタルといった実力派が勝っており、年末のホープフルSがGⅠ昇格を果たした今でも存在感を示している。今回は朝日杯3歳ステークス時代も含めた、1986年以降の朝日杯FSの記録を振り返る(なお、2013年以前は中山開催)。

騎手の勝利数を見ると、M.デムーロ騎手が4勝でトップ。勝利数ランキングは、4位に2勝のR.ムーア騎手ら5名が並び、2位タイは3勝の川田将雅騎手、福永祐一騎手となっている。4位に名を連ねた的場均騎手はグラスワンダー、南井克巳騎手はナリタブライアンとのコンビで勝利をあげていた。

M.デムーロ騎手の朝日杯FS制覇は、2010年5番人気グランプリボス、2012年7番人気ロゴタイプ、2015年2番人気リオンディーズ、2018年2番人気アドマイヤマーズと、1番人気での勝利がない。

これは2位タイの福永祐一騎手も同じで、2002年には8番人気エイシンチャンプによる人気薄での勝利もあった。一方で川田将雅騎手は、2017年ダノンプレミアム、2023年ジャンタルマンタルと1番人気で2勝している。

今年は、現時点ではM.デムーロ騎手の騎乗予定はない。川田将雅騎手はアドマイヤズームに騎乗する見込みだ。

続いて、1986年以降における人気別の勝利数を見る。

1番人気 17勝
2番人気 8勝
3番人気 3勝
4番人気 3勝
5番人気 2勝
6番人気 1勝
7番人気 2勝
8番人気 1勝
9番人気 0勝
10番人気 1勝

やはり1番人気がよく勝っており、勝利数は2〜6番人気馬の合計と同じ。1番人気が馬券圏内に入らなかったのは6回のみで、1番人気2着となった馬もビワハヤヒデやメイショウボーラー、エアスピネル、セリフォスなど後の活躍馬が多い。また、牝馬のグランアレグリアも1番人気3着と敗れたが、そこから大躍進した。

単勝配当額の2位は34.5倍のロゴタイプ

1番人気ではグラスワンダーが1.3倍、フジキセキやミホノブルボンが1.5倍で勝利している。一方で、まだ力関係が明らかになっていない時期だけに、後々になって振り返ると、意外にも人気薄で勝利している名馬もいる。

単勝の高配当ランキングでは、5位は2010年14.6倍のグランプリボス、4位は2020年17.5倍のグレナディアガーズ、3位は2002年21.3倍のエイシンチャンプ、2位は2012年34.5倍のロゴタイプ、1位は2000年40.5倍のメジロベイリーとなっている。

5位のグランプリボスは翌年にNHKマイルCを勝利し、その1か月後にはイギリスに遠征するなど早期から活躍した。古馬になってからも4、5歳で重賞を勝利。6歳の安田記念では16番人気で2着と、長くマイル路線を盛り上げた。

4位のグレナディアガーズは短距離〜マイル路線で活躍。2つ目のGⅠタイトルは獲れなかったものの、定量GⅡの阪神Cで1、2、2着と2021年から3年連続で連対した。

3位のエイシンチャンプは年明けから弥生賞1着、皐月賞3着とクラシック戦線でも活躍。6歳になって地方に移籍してからも、大井記念を制し、JBCクラシックでも6着と力を見せ続けた。

1位のメジロベイリーはその後、脚部不安を発症して1年以上の休養。そのため、現役時代は思うような活躍が果たせなかった。ただ、自身が母父馬となるカフジオクタゴンが2022年レパードSで勝利するなど、独特な存在感を示している。

ここで大きく取り上げたいのは2位となるロゴタイプ。デビュー戦は1200m戦を勝利したが、続く函館2歳Sでは16頭中14番人気という低評価を受ける。そこで4着と善戦後は距離を延ばしていき、デビュー4戦目では1800mの札幌2歳Sに出走して8番人気4着と重賞で再び健闘。次走のベゴニア賞ではM.デムーロ騎手を迎え、初のマイル戦を勝利。朝日杯FSへと向かった。

朝日杯FS当日は札幌2歳Sの勝ち馬コディーノが1.3倍の1番人気に支持されていて、ロゴタイプは7番人気だった。レースは先頭集団がごった返し、逃げ馬が何度も入れ替わる展開に。前半600m33.9、同1000m57.3という速い流れを、ロゴタイプは先行集団のなかでレースを進める。直線では、ほかの先行馬たちが脱落していくなか先頭に立つと、中団から差してきたコディーノの追撃をしのいで押し切って勝利した。

3歳初戦のスプリングSは1番人気で快勝すると、さらに皐月賞も勝利。距離が長かった日本ダービーこそ敗れはしたが、5着と善戦した。以降、中山金杯や中山記念など中山の重賞で複数回、馬券圏内に食い込んでいたが、しばらく勝ち星からは遠のいていた。

復活は6歳時の安田記念。8番人気と伏兵扱いだったが、レースではハナを主張すると、モーリス、リアルスティール、イスラボニータなどの強豪をおさえて逃げ切って3年以上ぶりの勝利。翌年の安田記念でも8番人気2着と好走し、マイル戦での強さを最後まで見せた。

今年は人気馬、あるいは人気薄の馬がどのような走りを見せるのか。平穏か、それとも波乱決着か。

ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。

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