【チャンピオンズC】機動力◎Nureyevの血が生きる舞台 レモンポップほか有力馬の血統を解説

坂上明大

2024年チャンピオンズカップの注目血統,ⒸSPAIA

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傾向解説

ジャパンカップダートからチャンピオンズCと名称を変え、舞台も中京ダ1800mへ移って早11年。JRA・GⅠとあってメンバーは常に高レベルです。他方で、内有利の傾向が強く、イス取りゲーム的要素も当レースを考える上では外せない視点となっています。

過去10年、チャンピオンズCでの枠番別成績に極端な偏りは見られませんが、勝ち馬に限れば8/10頭が一桁馬番。中京ダ1800m全体の成績では、外枠不利の傾向がより強く出ています。

中京ダ1800mではスタート位置やコーナー角の関係から内有利が顕著で、好走パターンは「先行」あるいは「イン差し」がセオリーとなっている、特異なコースの一つと言えるでしょう。

中京ダ1800m 枠番別成績(16頭立てのみ) ※2014年以降,ⒸSPAIA


<中京ダ1800m 枠番別成績(16頭立てのみ) 2014年以降>
1枠【37-37-35-416】
勝率7.0%/連対率14.1%/複勝率20.8%/単回率102%/複回率79%
2枠【36-34-43-410】
勝率6.9%/連対率13.4%/複勝率21.6%/単回率69%/複回率73%
3枠【36-30-24-435】
勝率6.9%/連対率12.6%/複勝率17.1%/単回率75%/複回率58%
4枠【39-27-32-426】
勝率7.4%/連対率12.6%/複勝率18.7%/単回率116%/複回率73%
5枠【28-33-33-428】
勝率5.4%/連対率11.7%/複勝率18.0%/単回率94%/複回率70%
6枠【32-38-43-412】
勝率6.1%/連対率13.3%/複勝率21.5%/単回率99%/複回率86%
7枠【25-33-30-435】
勝率4.8%/連対率11.1%/複勝率16.8%/単回率44%/複回率68%
8枠【30-31-24-437】
勝率5.7%/連対率11.7%/複勝率16.3%/単回率138%/複回率75%

また、ダート重賞共通の傾向として、前走クラス別成績は要注目のデータです。芝ほどレース選択に幅がないダート路線においては、格の高いレースに素直に実力馬が集結する傾向にあり、どこを使ってきたかという視点は前走着順以上に重要となってきます。

チャンピオンズCにおいても前走ダートGⅠ/JpnⅠ組の成績が非常に良く、今年もこの中から軸馬を選ぶのがベターでしょう。ただ、注意点としては前走1着馬の成績が悪いということ。

地方交流GⅠでパフォーマンスを上げる馬の多くは少頭数だからこそ能力を発揮できている馬が多い印象です。そのため、機動力が求められるチャンピオンズCでは能力を発揮しきれないことがほとんどで、むしろ前走で押し切れなかった馬の人気落ちを狙うのが当レースのセオリーといえます。

前走ダートGⅠ/JpnⅠ組 着順別成績 過去10年,ⒸSPAIA


<前走ダートGⅠ/JpnⅠ組 着順別成績 過去10年>
1着【2-1-0-12】
勝率13.3%/連対率20.0%/複勝率20.0%/単回率38%/複回率30%
2~5着【6-4-3-23】
勝率16.7%/連対率27.8%/複勝率36.1%/単回率327%/複回率171%
6着~【0-1-1-12】
勝率0%/連対率7.1%/複勝率14.3%/単回率0%/複回率134%

血統での注目はNureyev。日本ではゴールドアリュールやKingmamboの母父としてよく見られる種牡馬です。中京ダ1800mはコーナーで減速する力が求められやすいため、機動力に優れたNureyevの血が生きやすい舞台のひとつといえるでしょう。

ちなみに、2017年勝ち馬ゴールドドリームと2021年勝ち馬テーオーケインズはNureyevと3/4同血の妹Numberを持つ血統馬です。下記データではNureyevやNumberの母である名繁殖牝馬Specialを対象に集計しています。

Special内包馬の成績 過去10年,ⒸSPAIA


<Special内包馬の成績 過去10年>
Special【8-5-6-59】
勝率10.3%/連対率16.7%/複勝率24.4%/単回率151%/複回率112%


有力馬の血統を解説

・レモンポップ
大種牡馬デインヒルの全妹Harpiaを母母に持つ名牝系で、母父にはStorm Cat系Giant's Causewayを持つスピード豊かな血筋。腰高の馬体でもあり、ベストは1400~1600mでしょう。ただ、Kingmambo+Robertoの組み合わせを持ち、先行有利の展開になりやすい中京ダート1800mなら昨年のような逃げ切りも可能。日本ではGⅠ級・5連勝中の現役最強格だけに、引退レースの今回も中心の一頭であることに間違いはありません。

・ウィルソンテソーロ
母チェストケローズはアメリカ産のUncle Mo産駒。本馬はキタサンブラック産駒のダート中長距離馬で、フェブラリーS(2024年8着)よりもチャンピオンズC(2023年2着)向きの実力馬です。馬群の中で揉まれる競馬に対応できる点も大きな強みですが、昨年の当レースで出遅れているようにゲートは課題となりそうです。

・サンライズジパング
母サイマーはCoup de Folieの4×3という牝馬クロスを持ち、母の半兄には芝1600~2000mの豪GⅠを2勝したContributerがいます。キズナ産駒の本馬はHaloの血を4×6・5で継承していますが、2022年3着馬ハピ(Storm Catの3×4)と同じくStorm Cat≒ロイヤルアカデミーⅡの3×4でダート適性を高めており、前走みやこSのような高速馬場のダート競馬がピッタリではないでしょうか。不器用さが目立つ競馬っぷりだけに、フルゲートの中京コースは大きな課題となりそうです。

チャンピオンズカップの有力馬と血統,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。2023年11月には本島修司氏との共同執筆で『競馬の最高戦略書 予想生産性を上げる人の取捨選択の技術』(主婦の友社)を出版。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。

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