【富士S】単複回収率プラス「前走安田記念」が最有力 条件好転のセリフォスがソウルラッシュを逆転だ

貴シンジ

富士ステークス 前走安田記念組の成績,ⒸSPAIA

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3つのファクターから推奨馬を見つけ出す

今回は10月19日(土)に東京競馬場で行われる富士Sについて、下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。

・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走の内容」
・適性と素質を知るための「血統評価」

特別登録のあった17頭を検討対象とし、過去10年のデータを使用する。


重要データ:安田記念組 vs 夏競馬組

前走レース別成績,ⒸSPAIA


富士SはマイルCSの前哨戦という立ち位置にあるレース。春の安田記念後、夏は休養にあて、ここから始動する馬、夏競馬で好走し、さらなる飛躍を目指す馬など、様々なステージからの出走がある。

過去のデータを見ると、最多勝を挙げ好走率でもリードしているのが前走安田記念組。その成績は【3-4-0-5】で単勝回収率102%、複勝回収率110%。前走着順が悪かった馬の好走も目立つため、安田記念組というだけで買い材料となる。

なお、安田記念で5着以内だった馬は【1-1-0-0】で連対率100%。16年イスラボニータが安田記念5着から参戦し2着、22年セリフォスが同4着から参戦し勝利している。今年は同3着ソウルラッシュ、同5着セリフォスに加えてエアロロノアとレッドモンレーヴが特別登録しており、かなりハイレベルな印象だ。

次点では、前走関屋記念組が【2-0-0-8】と勝ち馬を2頭出している。今年は4頭が特別登録。過去のデータでは16年ヤングマンパワーが関屋記念1着から、21年ソングラインが同3着から勝ち星を挙げている。今年の関屋記念組の最先着は3着のジュンブロッサム。チャンスがありそうなのはこの馬か。

前走京成杯AH組は【1-2-1-22】で勝ち馬含め4頭が複勝圏内。14年のシャイニープリンスを除く3頭が前走3着以内から富士Sでも好走している点に注目したい。今年は同レース2着のタイムトゥヘヴンが特別登録している。

今年は例年以上にハイレベルなメンバー構成。データからはレース格が高い前走安田記念組に注目したい。

【前走安田記念の出走予定馬】
・エアロロノア
・セリフォス
・ソウルラッシュ
・レッドモンレーヴ


前走の内容:安田記念

今年の安田記念は雨の影響で稍重馬場での開催だった。とはいえ勝ち時計は1分32秒3の高速馬場。スピードが求められたことは間違いないだろう。ペースを見ると800m通過は46.4秒で、中盤に少し息が入る流れ。勝利したのは先行したロマンチックウォリアーで、地力が問われるようなレースだった。

ソウルラッシュは4コーナー11番手から上がり3位となる33.1秒の脚で差してきて3着。良馬場でさらに時計が速かった場合は厳しかったかもしれないが力は示した。

セリフォスは4コーナー15番手と、ほぼ最後方から上がり2位の33.0秒で追い込んで5着。折り合い面では進展が見られたものの、内に斜行する癖は改善されていなかった。ここが修正されればソウルラッシュを逆転することがあっても不思議はない。

エアロロノアとレッドモンレーヴに関してもほぼ最後方からの競馬となってしまい、位置取りが厳しかった。着順こそ悪いがどちらも上位争いに食い込む可能性は十分ある。


血統解説:セリフォス

セリフォスの血統表,ⒸSPAIA


・セリフォス
母シーフロントがフランス産馬のため日本での牝祖は母。同馬は現役時ベルトラン・デュ・ブルイユ賞(GⅢ・芝8F)で3着の実績がある。母父はLe Havreで、プールヴィルの父やデゼルなどの母父でもある。本馬は母シーフロントやLe Havreの影響があってダイワメジャー産駒にしては切れる脚が使えるタイプに出た。

最近は中団付近での競馬ができていたが、前走の安田記念は折り合いを気にしてか後方待機策を選択し、結果的に差し切れずの5着だった。5歳となった今は、昨年の安田記念(2着)のように高速馬場で先行する競馬が一番合っているとみる。

馬柱を見ると2走前のマイラーズCの2着が目に入るが、京都よりは東京が間違いなく合うタイプで、前走も良馬場ならソウルラッシュを逆転していた可能性は大いにある。ここのところはソウルラッシュに先着されているが、東京コースかつ良馬場ならセリフォスに分がある。


Cアナライズではセリフォスを推奨

今回はセリフォスを推奨する。今年は安田記念の3、5着馬が参戦予定で、非常にハイレベルなレースが予想される。近走のセリフォスはソウルラッシュに後れをとっているが、休み明けかつ良好な芝で行われそうな東京コースでは本馬が有利と考える。

京都コースのマイルCSよりも東京での舞台適性の方が高いことに加え、中内田充正厩舎の調整パターンや本馬の戦績を踏まえれば、ある程度仕上がった状態で出てくる可能性が高い。ただし、ソウルラッシュも上位候補の一角であることに変わりはなく、堅い決着となる可能性は高い。

【ライタープロフィール】
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。

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