【秋華賞】安定感と地力の高さはメンバー随一 東大HCの本命は桜花賞馬ステレンボッシュ

東大ホースメンクラブ

秋華賞の脚質別成績

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牝馬三冠の最終戦

今週日曜日、京都競馬場でGⅠ・秋華賞が行われる。牝馬三冠ロードの締めを飾るレースに、二冠を狙う桜花賞馬ステレンボッシュ、オークス馬チェルヴィニア、トライアル組から紫苑Sをレコードで制したクリスマスパレード、ローズS勝ち馬クイーンウォークらが参戦。今年も豪華メンバーが集結した。

今回は過去10年のうち、阪神開催の21、22年を除いた京都開催8年分のデータを基に検討する。

馬券の軸は差し馬から

秋華賞の脚質別成績,ⒸSPAIA


<秋華賞 脚質別成績>
逃げ【0-1-0-7】勝率0.0%/連対率12.5%/複勝率12.5%
先行【1-0-2-21】勝率4.2%/連対率4.2%/複勝率12.5%
差し【7-5-6-51】勝率10.1%/連対率17.4%/複勝率26.1%
追込【0-2-0-38】勝率0.0%/連対率5.0%/複勝率5.0%

秋華賞の舞台は京都内回り芝2000mで、最後の直線は約330mと長くない。前有利の傾向がありそうだが、データは真逆。逃げ馬は2着が1度あるのみで、4角4番手以内から勝ったのは昨年のリバティアイランドのみ。

これも先行策というより外を早めに上がっていく横綱相撲の結果で、いわゆる「前で粘り込む競馬」とは異なる。前走逃げ【0-1-0-13】、前走先行【0-2-3-39】も勝利例がない。

原因の一つは前半のペースにある。昨年を除く7回は全て前半5F60秒を切っており、特に2F目は6レースで10秒台が記録された(残る2回は11秒0と11秒1)。この傾向は逃げ馬らしい存在がいなかった19、20年も同じだ。

今年はローズSを逃げて3着のセキトバイーストが参戦。例年並みのペースになることが予想される。前で運ぶ脚質の馬は大きく評価を下げたい。

7勝している差し馬は、人気馬が順当に好走しており、4番人気以内が【7-5-3-8】と半数以上が連対。それ以外に8~10番人気から3着が1回ずつあり、人気薄でも相手候補としては期待値がある。また、好走馬は全て前走5着以内。前走きっちり結果を出した上で人気薄がいれば狙ってみるのも面白そうだ。

オークス組は鉄板級

秋華賞の前走レース別成績,ⒸSPAIA


<秋華賞 前走レース別成績>
オークス【4-0-1-12】勝率23.5%/連対率23.5%/複勝率29.4%
ローズS【1-4-5-41】勝率2.0%/連対率9.8%/複勝率19.6%
→中京芝2000m【0-0-0-6】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率0.0%
紫苑S【3-3-0-35】勝率7.3%/連対率14.6%/複勝率14.6%
→中山芝2000m【2-3-0-31】勝率5.6%/連対率13.9%/複勝率13.9%

次にローテーション別成績を見る。最多勝はオークスからの直行で、18年以降で該当馬がいる年は4年連続で勝利している(阪神開催の21年も前走オークス2着のアカイトリノムスメが勝利、22年は2、3着が直行組)。

その中でも1番人気【3-0-0-0】、オークス勝ち馬【3-0-0-0】が圧倒的(内訳はどちらもアーモンドアイ、デアリングタクト、リバティアイランド)。オークス勝ち馬のチェルヴィニアと、想定1番人気のステレンボッシュはどちらも鉄板級といえる。

なおオークスからの直行組の好走5頭は全て馬体重が前走比10kg以上増えていた。大幅な馬体重増でもマイナスにとらえる必要はない。

ローズS組は5連対しているが、今年と同じ中京芝2000m開催だった20年は6頭出走して全滅。断定するほどサンプルがあるわけではないが、頭の片隅には入れておきたい。

紫苑S組は【3-3-0-35】。同レースが新潟開催だった年を除くと【2-3-0-31】複勝率は13.9%と低め。連対馬5頭のうち4頭が前走差し、さらに2着以内だと【2-0-0-2】と信頼度が高まる。ミアネーロは警戒したい。また前走追い込んで3着のボンドガールも舞台は好転といえる。

その他、クイーンS組は【0-0-0-4】と全滅。勝ち馬も17年アエロリットが1番人気7着、23年ドゥーラが5番人気4着に敗れている。コガネノソラには厳しいデータだ。

前走2勝クラスは【0-1-1-13】。好走した2頭はどちらも前走0秒6差以上つけて勝利していた。チルカーノ、ランスオブクイーンは穴馬としても厳しそうだ。

オークスのリベンジへ

◎ステレンボッシュ
キャリア6戦で連対率100%を誇る。敗れたレースも着差は0秒1以下と大崩れがない。桜花賞はアスコリピチェーノに阪神JFのリベンジを果たす形で勝利した。

オークスは勝ち馬に上手く乗られたが、こちらも直線で一度先頭に立つ場面を作り、悪くない内容の2着だった。京都の内回りならオークス馬よりこの馬に分がある。

◯チェルヴィニア
2歳時のアルテミスSはラスト3F加速ラップで勝利。約5か月ぶりのレースとなった桜花賞は精彩を欠いたが、ルメール騎手に戻ったオークスでは高いパフォーマンスをみせた。

爆発力は桜花賞馬ステレンボッシュ以上。ただ3勝全て左回りの新潟と東京であり、唯一右回りの桜花賞で大敗したのは気がかりとなる。

▲ミアネーロ
キャリア2戦目の菜の花賞は5着に敗れたが、直線で進路を失いながらも上がり3F最速の脚を使った。

オークス14着に不満は残るが、紫苑Sでは道中8番手から上がり33.0秒の脚で前に迫り、レコード勝ちのクリスマスパレードとタイム差なしで走破した。差し馬有利な舞台に替わり、紫苑S組なら勝ち馬よりこちらに魅力がある。

以下クイーンズウォーク、ボンドガールまで印を回す。馬券は◎軸の3連複とする。

▽秋華賞予想▽
◎ステレンボッシュ
◯チェルヴィニア
▲ミアネーロ
△クイーンズウォーク
×ボンドガール

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。


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