【秋華賞】オークスの着順で明暗くっきり データで導く穴馬候補3頭

鈴木ユウヤ

秋華賞の穴馬候補3頭のイメージ,ⒸSPAIA

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データで見る「穴候補3頭」

今週日曜の京都メインは秋華賞。牝馬三冠ロードの最終戦だ。オークス1、2着のチェルヴィニア、ステレンボッシュに、同4着でローズSを勝ったクイーンズウォークを加えた3頭が人気の中心を担いそうだ。

近年の秋華賞は穏当な決着が続き、過去10年で出走全馬を均等買いした場合の回収率は単29%、複45%に留まる。まず「上位人気馬強し」が前提ではある。それを踏まえた上で、馬券に添えておきたい伏兵はどれか。様々な切り口のデータを駆使して3頭の穴候補を導き出した。


結局オークス上位馬が強い ランスオブクイーン

まず1頭目はランスオブクイーン。春は未勝利勝ちから挑戦したオークスで14番人気ながら5着と健闘した。2勝クラスの夕月特別で3着に敗れたが、フルゲート割れによって出走が叶う。

秋華賞 同年オークスの着順別成績,ⒸSPAIA


いきなり身も蓋もないことを書くと、秋華賞は結局「オークスの上位馬」が強い。過去10年でオークス5着以内馬【8-5-3-15】複勝率51.6%、単回収率111%、複回収率99%に対し、同6着以下は【0-2-3-55】複勝率8.3%、複回収率32%と明暗がくっきり分かれている。穴馬というと「夏の上がり馬」につい注目したくなるが、まず春の実績を素直に評価することから始めよう。

オークス5着以内馬について内訳を掘り下げる。オークスからの直行【5-1-2-4】複勝率66.7%はさすがの数字で、逆に成績がよくないのは(他のレースを挟んで)「前走で0.3秒以上の差をつけられて負けた馬」【0-1-1-7】複勝率22.2%、複回収率51%。どちらにも該当しない(直行せず、前走で大敗しなかった)馬は【3-3-0-4】複勝率60.0%、単回収率150%、複回収率136%と安定感バツグンだ。

したがってチェルヴィニア、ステレンボッシュ、クイーンズウォークはもちろん高評価になるのだが、中穴想定のランスオブクイーンも侮れない。

オークスはそもそも差し有利のレース傾向に加え、今年は1000m通過57.7秒の超ハイペース。先行して残ったクイーンズウォークとランスオブクイーンは着順以上に強い競馬をしていた。夕月特別はやや内有利のトラックバイアスがあるなか、4角で内から6~7頭目を回ってのタイム差なし3着。“負けて強し”の競馬だった。人気を落とすようなら絶好の狙い目となる。


京都芝2000mはハービンジャーの庭! チルカーノ

2頭目はチルカーノを取り上げる。皐月賞馬ジオグリフの半妹という良血馬で、8月に中京で2勝クラスの長久手特別を勝った。

ハービンジャー産駒の京都芝2000m成績,ⒸSPAIA


京都芝2000mの特注血統はハービンジャー。過去5年の当コースで産駒成績【7-15-6-52】複勝率35.0%、単回収率184%、複回収率128%と猛威を振るっている。特に牝馬は【3-7-4-19】複勝率42.4%、単回収率307%、複回収率208%。京都芝2000mは“ハービンジャーの庭”といっても過言ではない。

チルカーノは母アロマティコがこのレースの3着馬でもあり、秋華賞血統と呼ぶにふさわしい。2走前は先行策に出たぶんラストがやや甘くなって0.4秒差で敗れたが、前走はそれを踏まえてかじっくり溜める形を選択、直線はよく切れた。再び差し脚が生きる展開になれば上位進出があっていい。


馬券好きの心強い味方「加藤士津八厩舎」 クリスマスパレード

ラストはクリスマスパレードを選んだ。紫苑Sで1:56.6のレコード勝ちを収め、本番へ臨む。管理するのは開業7年目の加藤士津八厩舎。皐月賞2着のコスモキュランダや阪神JF3着のコラソンビートと同じ厩舎だ。この加藤士厩舎、馬券好きならぜひ名前を覚えておきたい。

加藤士津八厩舎の年度別成績,ⒸSPAIA


加藤士厩舎の年度別成績を見ると、昨年は単回収率207%、複回収率110%、今年は先週終了時点で単回収率257%、複回収率109%と非常に高い数値をマークしている。ここ2年は単勝をベタ買いするだけでお金が2倍以上になっていた計算だ。なんとシンプルで夢のある話だろう。

本年に限ると芝2000m戦で【2-4-1-5】複勝率58.3%、単回収率345%、複回収率177%。距離問わず重賞レースでは【2-3-0-5】複勝率50.0%、単回収率415%、複回収率138%。好走率、馬券的妙味の両面で素晴らしい。

クリスマスパレードは3走前フローラSで8枠14番の不利に泣き、オークスの優先出走権獲得ならず。そこでダートの関東オークスに出走したが、一言でいうと適性がなかった。芝の内回りかつ1周競馬はベスト条件で、立ち回りの巧さを生かせれば春の実績馬たちに一泡吹かせるシーンもありうる。

<ライタープロフィール>
鈴木ユウヤ
東京大学卒業後、編集者を経てライターとして独立。中央競馬と南関東競馬をとことん楽しむために日夜研究し、X(Twitter)やブログで発信している。好きな馬はショウナンマイティとヒガシウィルウィン。

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