【セントライト記念】前走ダービーで“逃げ”は着順関係なく好走 東大HCの本命はエコロヴァルツ

東大ホースメンクラブ

セントライト記念の前走日本ダービー組の成績(中山開催の過去9年)

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3枚の切符を巡る争い

今週月曜日、中山競馬場でGⅡ・セントライト記念が行われる。菊花賞トライアルとして重要な東の前哨戦。今年は皐月賞2着コスモキュランダに4着アーバンシック、朝日杯FS2着のエコロヴァルツがダービー以来のレースに臨むほか、ラジオNIKKEI賞3着のヤマニンアドホックなど夏競馬を戦ってきた馬も菊花賞の切符を狙う。

果たしてどの馬が菊花賞の優先出走権を獲得し、そして本番へ名乗りを上げるのか。中山開催の過去9年データ(14年は新潟開催)から検討する。

前走ダービー組、特に逃げた馬が優秀

セントライト記念の前走クラス別成績,ⒸSPAIA


<セントライト記念・前走クラス別成績>
条件戦【2-2-2-58】勝率3.1%/連対率6.3%/複勝率9.4%
OP・L【0-0-1-4】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率20.0%
GⅢ【3-1-1-10】勝率20.0%/連対率26.7%/複勝率33.3%
GⅡ【0-0-0-5】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率0.0%
GⅠ【4-6-5-23】勝率10.5%/連対率26.3%/複勝率39.5%

セントライト記念では前走クラス別成績に明確な傾向が表れている。

条件戦組は出走数が多いものの基本的には凡走傾向にある。前走未勝利戦からは出走例なし。前走1勝クラスは【1-0-2-34】好走馬のうち2頭は1勝クラスで1秒1差をつけて勝利していた(22年1着ガイアフォース、3着ローシャムパーク)。残る好走例は15年3着のジュンツバサのみ(前走0秒2差勝ち)。前走0秒3~0秒6差勝ちの6頭は全滅と生半可な勝ち方では通用しない。今年はアスクカムオンモアが0秒4差、スティンガーグラスが0秒8差で勝利。後者は微妙なラインだ。

前走2勝クラスは【1-2-0-23】。好走した3頭は当日2番人気以内だったが、こちらは前走3着からの逆転例(17年ミッキースワロー)もある。前走0秒1差の3着だったタンゴバイラリンにも可能性はある。

前走OP・L組は【0-0-1-4】白百合S組は3着以内馬が2頭出走も6着と5着。4着から参戦するエコロレイズは厳しいか。

やはり中心は前走重賞組。GⅢ組のほとんどは前走ラジオNIKKEI賞組【3-1-1-9】。おおむね人気に忠実であり、当日4番人気以内だと【2-1-1-0】と複勝率100%。ログラールは推奨できないが、ヤマニンアドホックはオッズ次第で要注意となる。なお今年は前走GⅡ組は出走がない。

最後に前走GⅠ組。これはほとんどが前走ダービー組【4-6-4-19】。過去9年のうち、馬券に絡まなかったのは21年のみで、複勝回収率も108%でプラス域だ。これだけで「買い」としてもいい条件と言えるほどだ。また前走ダービー6着以下【3-3-4-16】複勝率38.5%と大きく敗れていても問題なく、アーバンシック、エコロヴァルツ、コスモキュランダには重い印を打ちたい。

その中でも特筆したいのが、ダービーで逃げた馬が【1-1-0-0】である点。15年にはミュゼエイリアンが9番人気2着、19年にはリオンリオンが1番人気1着と結果を出している。エコロヴァルツはこのデータに合致。狙う価値はある。

久々の勝利へ

◎エコロヴァルツ
朝日杯FSは1枠1番から最後方で待機。直線で外に出すと、上がり3F34秒1の末脚で追い込み、勝ち馬ジャンタルマンタルに0秒1差と迫った。2走前の皐月賞でもその末脚を発揮し、4角16番手から上がり最速タイで追い込み7着だった。

ダービーは大外枠もあってか最低人気に甘んじたが、初コンビの岩田康誠騎手が逃げを選択。8着と前評判を覆して健闘した。今回はダービーで逃げた馬の好データを重視して本命視する。今回も逃げに期待したいが、GⅠで上がり最速を2度出しているように末脚もある。岩田康騎手の選択に注目だ。

◯コスモキュランダ
勝ち上がりに4戦を要し、既にキャリア9戦とレースを使われてきた。弥生賞で後のダービー3着馬シンエンペラーを押さえて勝利。皐月賞はレコード決着で勝ち馬とタイム差なしの2着とした。

ダービーはスローペースと見てM.デムーロ騎手がマクリを打った。上がり1位のレガレイラも5着と届いていないことから、マクリは正解だったが外を回って脚を使った分、直線では伸びず6着。ただ展開に泣かされたもので悲観する必要はない。今回は逃げ先行馬も揃って前走よりは展開が向くだろう。ただ、デビュー2戦目以来の3か月以上の休み明けである点を考慮し、対抗評価までとした。

▲アーバンシック
2連勝で迎えた京成杯は後のダービー馬ダノンデサイルの2着。皐月賞は追込勢で唯一掲示板に載るなど春は結果を残した。ダービーは11着と大敗したが、上がりは33秒5と着順ほど悪い競馬ではなかった。

スワーヴリチャード産駒は現在、芝2400m以上で【0-1-0-9】であり、前走は距離が長かった可能性もある。今回は追い込みが決まりにくい中山コースだが、展開次第で差し切る場面も考えられる。

以下ヤマニンアドホック、タンゴバイラリンまで印を回す。馬券は◎軸の馬連で勝負する。

▽セントライト記念予想▽
◎エコロヴァルツ
◯コスモキュランダ
▲アーバンシック
△ヤマニンアドホック
×タンゴバイラリン

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。


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