【セントライト記念】機動力と持続力を兼備するLyphard持ち スティンガーグラスは血統に文句なし
坂上明大
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傾向解説
1~3着馬には菊花賞への優先出走権が付与される重要なステップレース、セントライト記念。能力差が大きい世代限定重賞のため地力上位馬の人気決着が多いレースです。
しかし、中山芝2200mという特殊なコースレイアウトでの施行であるため舞台適性も無視できません。本記事では血統面を中心に、セントライト記念のレース傾向を整理していきます。
まず紹介したいデータは内枠有利の傾向。過去9年(2014年は新潟開催)の枠順別成績を見ると、このバイアスは明白で、好走率、回収率ともに内枠有利の枠順傾向が強く出ています。
特に単勝オッズ10倍以上の人気薄での好走馬は7頭中6頭が4枠から内。同20倍以上では全3頭が1~3枠でした。
先週の中山芝競馬でも6~8枠からは勝ち馬が出ておらず、今年のセントライト記念でも枠順の有利不利は無視できないポイントでしょう。
<枠順別成績(単勝オッズ50倍以上を除く、過去9年)>
1~4枠【6-3-6-27】勝率14.3%/連対率21.4%/複勝率35.7%/単回収率158%/複回収率119%
5~8枠【3-6-3-34】勝率6.5%/連対率19.6%/複勝率26.1%/単回収率51%/複回収率49%
注目血統は、過去9年の3着内馬27頭中22頭が持つLyphard。ディープインパクトやハーツクライの血統表内にも入る同血脈はHyperionとFair Trialを内包しており、機動力と持続力に優れています。中山外回りコース特有の持続力戦にはピッタリの血脈といえるでしょう。
ただ、Lyphard自身は1969年生まれの競走馬のため、現在はその血をどう増幅するかがポイントとなっています。
昨年、一昨年と2年連続で連対馬を輩出するキタサンブラックはLyphardの4×4を持つ種牡馬で、自身も2015年に6番人気1着だったようにLyphardのクロスを持つ馬の成績が優秀です。
そのほか、トニービン(2017年1着ミッキースワロー)やNureyev≒Sadler's Wells(2021年1着アサマノイタズラ)、Danzig(2020年1着バビット)などHyperion+Fair Trialを持つ名種牡馬との組み合わせでも類似の効果が見込めるでしょう。
<Lyphard内包馬の成績(単勝オッズ50倍以上を除く、過去9年)>
該当馬【7-7-8-34】勝率12.5%/連対率25.0%/複勝率39.3%/単回収率138%/複回収率88%
→Lyphardクロス【2-1-1-5】勝率22.2%/連対率33.3%/複勝率44.4%/単回収率206%/複回収率100%
有力馬の血統解説
・コスモキュランダ
母サザンスピードは2011年コーフィールドC優勝馬。父アルアインは2017年皐月賞馬で、ディープインパクト系のなかでも馬力に優れたタイプです。
本馬自身も前走馬体重502kgのパワー型で、本レースと相性の良いLyphard+Nureyev+Danzigを併せ持つ配合形でもあります。
中山芝2200mがベストとまでは言えませんが、得意条件のひとつであることは間違いないでしょう。
・アーバンシック
3代母ウインドインハーヘアに遡る名牝系に属し、母母ランズエッジは名馬ディープインパクトの3/4同血の妹。さらに、母エッジースタイルは2023年ホープフルS優勝馬レガレイラの母であるロカの全妹であり、本馬はレガレイラと同じスワーヴリチャードの産駒でもあります。
Lyphardの5×6・5を持ち、息の長い末脚を生かす競馬が合う一方、母父ハービンジャー譲りの緩さから先行争いに弱いのが課題です。
ただ、中山外回りならその弱点もごまかしが利きやすく、中山芝2200mは本馬の持ち味が存分に生きるコースではないでしょうか。
・スティンガーグラス
母ライフフォーセールはアルゼンチンのダート長距離GⅠ・2勝馬で、本馬の3/4同血の姉には2018年阪神JF優勝馬ダノンファンタジーがいます。
キズナ産駒の本馬はLyphardの5×5を持ち機動力があるタイプで、同産駒は牡馬の方がこの傾向が強い印象。大幅な相手強化が課題ですが、血統面については文句なしの一頭です。
ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。2023年11月には本島修司氏との共同執筆で『競馬の最高戦略書 予想生産性を上げる人の取捨選択の技術』(主婦の友社)を出版。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。
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