【関屋記念】“割引データなし”アスクコンナモンダを高評価 近年の米子S組は勢いあり

門田光生

関屋記念の年齢別成績(過去10年),ⒸSPAIA

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好データは「前走中京記念」だが……

2024年8月11日に新潟競馬場で行われる第59回関屋記念。新潟競馬場が誇る伝統のマイル戦である。

先週、先々週の新潟競馬は今年から「ちょっと長めの昼休み」が設けられ、メインレースが「7R」という、JRAでは見たことがない番組が組まれた。夏の暑さ、そして人馬の健康を考えると、これも自然な流れなのだろう。今週からメインレースはこれまで通り「11R」に戻る。過去、日本で歴代最高気温が記録されたのが8月17日。暑さが和らぐことはないと思うのだが……。いろいろな事情があるのかもしれない。

話は逸れたが、サマーマイルシリーズの行方を占う重要な一戦となる関屋記念にはどんな傾向があるのか。過去10年のデータを基に検証していきたい。

☆所属
美浦所属馬6勝、栗東所属馬4勝。2着回数は栗東所属馬が9回。勝率は美浦、連対率では栗東が優勢だ。

関屋記念出走馬の所属,ⒸSPAIA


☆性別
牡馬(セン馬含む)が7勝(13連対)、牝馬は3勝(7連対)。出走頭数の関係で、勝率、連対率、複勝率のいずれも牝馬が上回っている。近5年だとさらに差が広がっており、ここは牝馬優勢としたい。

関屋記念出走馬の性別,ⒸSPAIA


☆年齢
好走率がよく見える3歳馬は、全体の出走頭数が10頭に満たない(着度数は【1-0-2-5】)ので、参考記録でいいだろう。4~6歳で比較すると、勝利数や連対数などでトップの5歳馬が優勢とする。なお、7歳以上で馬券に絡んだ馬はいない。

関屋記念出走馬の年齢,ⒸSPAIA


☆前走クラスと主な前走
前走クラスで目立った傾向は出ていないが、オープン組の好走率が他路線と比べて少し低い。なお、同じオープンでもリステッド組からは勝ち馬も出ており、連対率などの数字もそこまで悪くない。

最も連対馬を出しているのは、同じサマーマイルシリーズに組み込まれている中京記念。ここ5年で4頭の連対馬を出しているのも強調材料で、好データなのは間違いないのだが、今年は小倉芝1800mで開催されていたこともあってか、登録馬が1頭もいなかった。そのほかのレースは横並びといったところだ。

関屋記念出走馬の前走クラス,ⒸSPAIA
関屋記念出走馬の主な前走,ⒸSPAIA


☆前走着順
前走で掲示板に載った馬をみると、前走2、3着から勝ち馬が出ていなかった。なお、今年は前走3着の馬は登録していない。

好走率が最も高いのは「前走5着」。複勝率は42.9%とハイアベレージだ。ここ5年でも2頭の勝ち馬を出しており、信頼度の高いデータといえそうだ。

関屋記念出走馬の前走着順,ⒸSPAIA


☆前走人気
前走1~5番人気のなかでは前走2番人気馬に注目したい。勝ち馬を4頭出していて、連対率も27.8%と優秀だ。

関屋記念出走馬の前走人気,ⒸSPAIA


☆その他
そのほかで気になったのは毛色。先週の新潟で行われたレパードSで好走する確率が高かった芦毛は、この関屋記念で連対していない。また、前走が1400m以下だった距離延長馬は、マイル以上を走っていた馬に比べると好走率が低い。

関屋記念におけるその他のデータ,ⒸSPAIA


本命はアスクコンナモンダに

関屋記念のデータをまとめてみよう。

【好走率アップ】
A「牝馬」
B「5歳」
C「前走5着」
D「前走2番人気」

【好走率ダウン】
E「前走1400m以下」

【勝ち馬なし】
F「前走がリステッド以外のオープン」
G「前走2着馬」

【連対馬なし】
H「7歳以上」
I「芦毛」

好データの「前走中京記念」が不在なのは痛い。というわけで、今回の強データである、連対率35.7%、複勝率42.9%のC「前走5着」、次いで勝率が20%を超えているD「前走2番人気」にすがるしかない。この2つを同時に満たす馬はいない。

そもそも、C「前走5着」を満たしているのは、グランスラムアスクとメイショウシンタケだけ。メイショウシンタケはCしかプラスデータを持っていないが、グランスラムアスクはA、B、Cと3つのプラスデータを持っている。3つというのは登録馬では最多。ただし好走率が低く、勝ち馬も出ていないF「前走がリステッド以外のオープン」にも該当。軸という意味での本命も考えたが、いったん保留とする。

2番目に強いD「前走2番人気」を持つのはアスクコンナモンダだけ。好走率の高いB「5歳」でもある。リステッドの米子S組は2022年にウインカーネリアンが1着、そして2023年ラインベックが3着。近2年で2頭が馬券に絡んでおり、トレンドになりつつあるのも心強い。よって今回はこちらを本命、グランスラムアスクは対抗評価とする。ただし、現状この2頭が1/2の抽選対象となっている点には注意だ。どちらかが抽選から漏れた場合、3番手以下はそれぞれ格上げ、本命は抽選で残った方とする。

続いて推したいのがディスペランツァ。サンプルは少ないが、複勝率が37%を超えている3歳馬。NHKマイルCからの参戦は、3歳馬で唯一勝ち馬となった2018年プリモシーンと同じパターンだ。もう1頭の3歳馬ロジリオンはマイナスデータのE「前走1400m以下」に該当する。これまで3歳馬は、NHKマイルC組しか馬券に絡んでいないので、今回はノーマークとする。

4番手は上述している強データ「C」を持つメイショウシンタケでいいだろう。押さえは、A、Bのプラスデータを持つプレサージュリフト。F「前走がリステッド以外のオープン」に該当するが、前走メイS組は、2022年の2着馬シュリが出ており、リステッド以外のオープンで唯一連対馬が出ているレース。今回は複数のプラスデータを持っている馬が少ないこともあり、目をつむることにする。

◎アスクコンナモンダ
◯グランスラムアスク
▲ディスペランツァ
△メイショウシンタケ
×プレサージュリフト

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて園田・姫路競馬を中心に予想・記事を執筆中。
今年もいろんな食べ放題へ行きましたが、値段の高い、安いにかかわらず、元を取るどころか、途中でお腹を壊してリタイアすることが多いこと。年齢以前の問題ですね……。

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