【函館2歳S】小柄な牝馬が活躍、リンゴアメは馬体重420kgで優勝 世代最初の重賞レースを「記録」で振り返る
緒方きしん
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重馬場開催の2007年は決着タイム1:13.8
今週は函館2歳Sが開催される。世代最初のJRA重賞として、馬券ファンだけでなくPOGファンや一口馬主ファンからも注目を集める一戦だ。
勝ち馬のみならず2着馬の出世も多く、過去にはローレルゲレイロやアイムユアーズ、タイセイビジョンといった馬たちがここで2着となり、その後ステップアップしていった。今回は2001年以降の函館2歳Sの記録を振り返る。
昨年は重馬場での開催となり、好位から抜け出した10番人気ゼルトザームが勝利。さらに2着に6番人気ナナオ、4番人気スカイキャンバスと2頭の牝馬が粘り、馬連196.2倍、三連単3470.5倍という波乱決着となった。
特に3着スカイキャンバスの上がり3F37.3は印象に残る数字。これは過去に馬券圏内にきた馬のなかで、6位タイの遅さである。思えば2007年も重馬場で上がりが掛かるレースとなり、あがりの遅い馬券圏内馬のTOP3を独占している。
3位が3着イイデケンシンの37.7、1位タイが1着ハートオブクィーンと2着ジョイフルスマイルの37.9。決着タイムも1:13.8と2001年以降では最も遅いタイムとなっている。
特殊な馬場とレース展開で馬連257.2倍という荒れた結果となった2007年だが、3着イイデケンシンは12月にダート転向後、全日本2歳優駿を制覇。4着ホウザンは札幌2歳Sで3着、北海道2歳優駿で2着となり、5着アポロフェニックスはスプリント戦のOP競走を3勝。9着ベストオブミーもフィリーズレビューで2着に入り桜花賞に出走するなど、出世した馬が多かった。
ちなみに、ハートオブクィーンはこの年唯一の地方馬だったが、2着に4馬身差をつける勝利で中央に移籍。桜花賞ではトールポピー、リトルアマポーラらに先着する4着と好走した。また、引退後には母として中央4勝馬アズマクィーンを送り出している。
反対に馬券圏内にきた馬で上がり3Fが速かった馬は、4位タイが2017年1着カシアスらの34.8、2位タイが2009年2着キョウエイアシュラと2019年2着タイセイビジョンの34.7、1位が2017年3着アリアの34.6である。
アリアは函館2歳S以降、上がり最速をマークした2度のレースでいずれも勝利した。3歳時のアーリントンCでは後のGⅠ馬であるタワーオブロンドンやインディチャンプ、ダノンスマッシュらと激突。9着に敗れたものの、後にOPや重賞で活躍するエアアルマスやリュウノユキナ、ラブカンプーには先着を果たした。
最軽量420kgで勝利した牝馬リンゴアメ
上述したアリアやハートオブクィーンはいずれも牝馬である。函館2歳Sは牝馬が強いレース。馬券圏内にきた数も牡馬が34頭、牝馬は35頭と牝馬優勢。勝ち馬も牡馬11頭、牝馬12頭と牝馬が優勢である。
牡馬では2019年勝ち馬のビアンフェが最重量510kg、2005年勝ち馬のモエレジーニアスが506kgと大型馬の活躍が目立つ。ビアンフェは4歳で同じく函館芝1200mの函館スプリントSを制したが、そのときの馬体重は560kgだった。
一方、牝馬は小柄な馬の活躍が多い。歴代勝ち馬23頭のうち、450kg以下の勝ち馬7頭中6頭が牝馬である。馬体重が軽い歴代勝ち馬を並べると、3位が2015年勝ち馬ブランボヌール432kg、2位が2013年勝ち馬クリスマス426kg、2020年勝ち馬リンゴアメ420kgとなる。
ブランボヌールは母が2008年の函館2歳Sで6着のルシュクルという血統馬。阪神JFで3着など存在感を示すと、春GⅠでは振るわなかったものの、3歳でキーンランドCを制するなど活躍した。
クリスマスも函館スプリントSやオーシャンSで3着に入るなど活躍。リンゴアメはこのレース勝利後は1着こそなかったが、引退直前にも1200mのOP競走であるオパールS、タンザナイトSで連続5着など好走を続けた。ちなみに、ラストランとなった4歳年末のタンザナイトS出走時の馬体重は464kg。大幅な成長を遂げていた。
今年の出走馬も将来に大きな成長の可能性を秘めている。いつか函館に凱旋して重賞で活躍してくれることに期待しつつ、その走りを見守りたい。
ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。
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