【函館記念】開催最終週は時計よりスタミナ重視 好走馬多数の「前走・天皇賞(春)組」、4歳馬サヴォーナに熱視線
勝木淳
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「10番人気以下」が2着5回
函館の短い夏競馬が終わる。6週間を締めくくるのは函館記念。蝦夷梅雨の季節にあたる7月中旬の函館は天候も微妙で、開催終盤の馬場読みは相当難しい。
この10年で良馬場は6回。良なら21年トーセンスーリヤの1.58.7など2分を切る決着が目立つも、稍重以上なら2分を超え、重だった22年は2.03.6。勝ったのは今年も元気に出走するハヤヤッコ。典型的な“遅れ差し”にハマる馬場だった。
どの馬も走れる時計であっても、洋芝の遅い時計は別格。やはり洋芝適性の濃淡はしっかり把握したい。データは過去10年分を使用する。
1番人気【2-1-0-7】勝率20.0%、複勝率30.0%と頼りないが、3番人気まではほぼ同じ数字で合計6勝。荒れるイメージも強いが、5番人気【2-0-0-8】勝率・複勝率20.0%までで8勝と、単勝から大波乱というケースは案外多くない。
だが、10番人気以下【1-5-2-61】勝率1.4%、複勝率11.6%など2、3着は波乱ムードが漂う。人気薄を買うなら連軸で、上位人気をアタマに置くならヒモには人気薄を手広くそろえたいところだ。
年齢は4歳【2-2-2-17】勝率8.7%、複勝率26.1%。5歳【3-0-5-35】勝率7.0%、複勝率18.6%。6歳【4-4-2-38】勝率8.3%、複勝率20.8%と差はほぼない。ただ、降級制度が廃止された19年以降では、4歳は【2-1-2-12】勝率11.8%、複勝率29.4%と成績は上昇する。
とはいえ、7歳以上【1-4-0-37】勝率2.4%、複勝率11.9%を含めベテランも活躍する。これも開催後半の洋芝で極端に速い時計が出ないからだ。
前走天皇賞(春)は好走パターン
4歳は前走天皇賞(春)6着のサヴォーナ、菊花賞14着のトップナイフ、巴賞1着のホウオウビスケッツが出走予定。データを押さえ、しっかり絞っていこう。
前走GⅠ【1-1-3-10】勝率6.7%、複勝率33.3%のなかでも、天皇賞(春)は【1-1-1-4】勝率14.3%、複勝率42.9%と目立つ。全馬10着以下なので、6着サヴォーナは実績上位。1200mの距離短縮となるが、スタミナ重視の設定のため、むしろプラスに出る。日経新春杯2着という実績もあり、強気に攻めていけば適性を活かせそうだ。
GⅠ以外の重賞の内訳は、目黒記念【2-2-0-7】勝率18.2%、複勝率36.4%。エプソムC【2-1-0-8】勝率18.2%、複勝率27.3%。新潟大賞典【1-1-1-10】勝率7.7%、複勝率23.1%。上位は小回りの函館とは正反対の左回り、直線が長いコースが並ぶ。
開催が近いからではあるが、馬柱をみたイメージに囚われないようにしたい。つながらないようでつながる。エプソムC組は6着のグランディア、新潟大賞典は7着のマイネルクリソーラなどが当てはまる。マイネルクリソーラは昨年函館で2着、1着(2勝クラス)があり適性も高い。
もうひとつ、前哨戦の巴賞は【1-4-1-46】勝率1.9%、複勝率11.5%。ちょっとつながりは薄そうだが、19年9番人気2着マイネルファンロン、20年13番人気2着ドゥオーモなど穴パターン。一切無視はできない。
今年も中1週と間隔が詰まっているが、上記データはすべて中1週でそこは気にしなくていい。輸送がない滞在競馬は負担が少なく、通常とは違う。
好走パターンは巴賞が中9週以上の出走だったこと。【1-3-1-25】と数字が絞れる。なお、巴賞が休み明け2戦目以上だった場合は【0-1-0-21】。理想はゆったりと間隔をとって巴賞を叩いて函館記念というローテーションだ。
間隔をとった巴賞ローテーションでも、巴賞で1、2着と結果を残すと【0-0-0-6】。2走ボケというより、ハンデを背負わされ、マークが厳しくなるからだろう。さらに中1週の距離延長も効くようだ。巴賞を逃げ切ったホウオウビスケッツも、距離が延びてスタミナを問われるとわからない。
理想は5着【0-1-0-3】以下。成績にこだわらず、休み明けと割り切って、函館記念に挑むタイプを狙いたい。今年なら、福島民報杯から中10週で巴賞を使った6着サンストックトンが当てはまる。3着アケルナルスターも前々走はステイヤーズSで、ローテ的には悪くない。サンストックトンとのハンデ差は注目だ。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
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