【安田記念】体調万全なら香港馬が強さを見せつける 京大競馬研の本命はロマンチックウォリアー

京都大学競馬研究会

安田記念の枠番別成績(過去10年)

ⒸSPAIA

勝ったブリッシュラック、負けたサイレントウィットネスの違い

6月2日(日)に東京競馬場で安田記念(GⅠ)が行われる。マイラーズCを勝って今一度勢いに乗るソウルラッシュや、GⅠ馬セリフォス、ナミュール、そして何といっても香港からロマンチックウォリアーとヴォイッジバブルが参戦して一気に注目度が上がった。世界で活躍する香港馬がここでも強さを見せるのか、あるいは日本馬がホームで意地を見せるのか、非常に楽しみだ。今回はそんな香港馬に関するデータを用意した。

安田記念で好走した香港調教馬,ⒸSPAIA


まずは過去に好走した香港馬のデータをまとめた。安田記念で馬券になったのは6頭。ここではロマンチックウォリアー同様、実績が豊富だった馬(GⅠ級3勝以上)の話をしたい。(編集注:国際格付け前の「香港GⅠ」も便宜上「GⅠ」と表記する。)

1998年2着のオリエンタルエクスプレスはそれまでにGⅠを3勝しており、この時点で現地トップホースなら日本で通用することを見せていた。2006年にはGⅠ・4勝のブリッシュラックが勝ち、殿堂入り級の名馬であれば能力で見劣らないことは証明済みだ。

一方、負けた例としては2005年3着サイレントウィットネスや2008年17着のグッドババなどが挙げられる。サイレントウィットネスは前走で連勝が途切れ、さらに大幅に馬体を減らしての出走だった。後にスプリンターズSを快勝するのだから、敗因は体調不良によるところが大きいと言える。グッドババはGⅠ・4連勝中と勢いに乗っての出走だったが、こちらも馬体重を15kg減らしていた。海外馬に限った話ではないが、万全の体調で能力を出し切れるかがカギになる。ロマンチックウォリアーもヴォイッジバブルも海外遠征の経験があり、陣営の仕上げに一定の保証ができるのはプラスではないだろうか。

人気薄の外差しに注意

安田記念の枠順別成績,ⒸSPAIA


次に過去10年の枠順別成績を調べた。最も勝ち馬を出しているのは7枠で【4-1-3-15】複勝率34.8%と抜けている。2017年サトノアラジンや2021年ダノンキングリーがスムーズな外差しを決めるなど、人気薄の差しに注意したい枠だ。

5枠も【3-1-0-16】複勝率20.0%と悪くない。ソウルラッシュはここからスムーズな競馬をしたい。モレイラ騎手の手腕が問われる。ロマンチックウォリアーの入った4枠は【0-2-1-16】の複勝率15.8%。20年はアーモンドアイが2着、21年はグランアレグリアが2着と、圧倒的1番人気が2年連続で落とした。枠はよくないが果たしてどうか。

安田記念の枠順別成績,ⒸSPAIA


香港が誇る最強馬 不安要素を力でねじ伏せる

◎ロマンチックウォリアー
GⅠ・7勝で香港が誇る最強馬。生涯成績に5着以下がない安定株な上に、ゴールデンシックスティとマイルで張り合える実力を持ち、オーストラリアでも現地最強馬のミスターブライトサイドを破るなど中身の濃いレースをしている。この馬の前に日本からの遠征馬は負け続けており、力通り走られると今回も日本馬は歯が立たない。東京競馬場で速い時計の追い切りができており、状態面に問題はないはずだ。アウェーであることや経験の少ないマイルなど不安要素はあるが、9割の力を発揮するだけで突き抜けるだろう。

◯ヴォイッジバブル
今年の香港スチュワーズCでGⅠ初制覇。昨年暮れの香港マイルでゴールデンシックスティの2着し、日本馬には先着しており、これからの香港マイル戦線を牽引する存在になるだろう。今回は7枠15番と枠順が絶好。スムーズな競馬で一発狙いたい。初遠征だったドバイターフでは力を発揮できなかったが、反省点を生かしての好走に期待する。香港馬2頭は特に当日の馬体重に注目したい。予想では上位評価でも10kg以上の大幅馬体減なら消しでも良いことは留意しておきたい。

▲ダノンスコーピオン
京王杯SCで4着と復活の兆しを見せた。前の馬をかわす競馬ができ、メンタル不調ではないと判明したことは良かった。2年前の富士Sでセリフォス、ソウルラッシュと差のない競馬ができたことから能力不足ではないはず。NHKマイルCを勝った大外枠から何かを思い出す走りをしてほしい。

△ステラヴェローチェ
大阪杯4着、屈腱炎後も能力落ちはない。重賞勝ちのある東京マイルで復活はあり得る。雨が降れば大幅なプラスだ。

×ソウルラッシュ
前走は得意の京都で快勝。枠も悪くないが東京はいかにも相性が悪い。前走のように外を回す競馬の方が合っていそうで、J.モレイラ騎手との相性は個人的には疑問符。

×セリフォス
前走はソウルラッシュに完敗。上積みはもちろん期待できるが、勝てる展開を落とした印象が強い。衰えが隠せなくなってきた。昨年2着の力でどこまで戦えるか。

穴人気しているパラレルヴィジョンとフィアスプライドは力が足りない。ナミュールは展開に左右されるところがある上、フルゲートの内枠は大幅マイナスで消した。

馬券は◎◯の馬連と◯の単勝、▲からのワイド5点、◎からの三連複10点で勝負する。筆者が初めて競馬場に行った2018年の宝塚記念は香港馬ワーザーが2着に食い込んだ。その日以降、国際招待ではないレースに自腹で参戦した海外馬には常に重い印を打ってきたが、なかなか上手くいっていない。そろそろ実ってもいい頃ではないか。(文:福山)

安田記念 予想印
◎ロマンチックウォリアー
◯ヴォイッジバブル
▲ダノンスコーピオン
△ステラヴェローチェ
×ソウルラッシュ
×セリフォス

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で30周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えの本格派が揃う。


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