【ヴィクトリアマイル】“荒れるGⅠ”は東京マイル巧者に要注意 狙いたい「31秒台」の持ち時計がある先行馬とは
逆瀬川龍之介
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“荒れるGⅠ”のひとつが順当決着、今週は…?
期待に胸を膨らませていた穴党は、ガックリと肩を落としたことだろう。他でもない、先週のNHKマイルCである。
1着がジャンタルマンタル、2着がアスコリピチェーノで実に8年ぶりとなる1、2番人気のワンツー。馬連の360円は97年(1着シーキングザパール、2着ブレーブテンダー)を抜いてレース史上最低配当、3連単の8520円も11年(1着グランプリボス、2着コティリオン、3着リアルインパクト)の7920円に次いで2番目の低配当だった。
では、今週のヴィクトリアマイルも平穏な決着となるのか。スポーツ紙には「ナミュールが断然の主役」「ナミュールとマスクトディーヴァの一騎打ちムード」といった見出しが躍っている。
しかし、「2歳王者×川田将雅騎手」&「2歳女王×C.ルメール騎手」の鉄壁布陣だったNHKマイルCに比べるとどうか。確かにナミュールは実績で一枚上だが、武豊騎手は初騎乗。また、マスクトディーヴァは今回と同舞台だった前々走の東京新聞杯で大きく出遅れ、6着に敗れている。つまり、ともに不安材料を抱えているのだ。
そもそも荒れることで知られる2大GⅠ、NHKマイルCとヴィクトリアマイルが続けて本命決着になることは考えづらい。穴党の皆さん、今週こそは万馬券を仕留めようではありませんか。
ポイントは「東京マイル実績」と「先行」
では、高配当の使者となるのはどの馬か?レース傾向を探ると、興味深いデータに行きついた。
過去18回のうち2桁人気から馬券に絡んだ馬は10頭。このうち7頭に東京芝1600mを走った経験があり、全ての馬に連対経験、そして6頭には勝利経験があった。したがって「人気薄で馬券に絡むには東京マイル実績が重要」といえるのだ。
今年の登録15頭のうち、東京芝マイル経験があるのは13頭。勝利経験があるのはナミュール、ハーパー、フィールシンパシー、フィアスプライド、モリアーナの5頭だが、なかでもイチオシはフィールシンパシーだ。
鞍上の横山琉人騎手とともにGⅠ初挑戦とあって下馬評は低いが、昨秋以降の充実ぶりは素晴らしい。逃げ先行の競馬でターコイズS、福島牝馬Sと重賞で2着2回。しかし、それ以上にそれ以上に評価したいのが、東京マイルが舞台だった5走前の紅葉Sである。
前3頭から離れた4番手を追走すると、直線でジワジワと脚を伸ばして差し切り。勝ち時計の1分31秒9は、昨年のヴィクトリアマイルを0秒3も上回る優秀なものだった。
さらに強調したいのは、マイルの持ち時計が今回のメンバーの中ではナミュールに次ぐ2位ということ。もちろん、馬場状態の違いは考慮しなくてはならないが、高速決着に対応できるのは大きなセールスポイントだ。
振り返ると、3連単のGⅠ史上最高配当となった15年のヴィクトリアマイルは2着に12番人気ケイアイエレガント、3着は18番人気ミナレット。ともに前に行った馬だった。
今年もノーマークの先行馬に要注意。充実期を迎えた5歳牝馬と、21歳の若武者のタッグに夢を託してみよう。
《ライタープロフィール》
逆瀬川龍之介
国内の主要セール、GⅠのパドックはもちろん、時には海外のセリにも足を運ぶ馬体至上主義のライター。その相馬眼を頼りにする厩舎関係者、馬主は少なくない。一方、マニアック、かつ実用的なデータを駆使して、ネット媒体や雑誌などにも寄稿するなど、マルチな才能を持っている。
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