【フローラS】スタミナ血統の小柄な馬に注目 ステイゴールド内包のコガネノソラが傾向に合致
坂上明大
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傾向解説
2着までにオークスの優先出走権が付与されるフローラS。ここ2年はオークス好走馬が出ていませんが、チェッキーノ、モズカッチャン、ウインマリリン、そしてユーバーレーベンと多くの連対馬を輩出している重要ステップレースのひとつです。本記事では血統面を中心に、フローラSのレース傾向を整理していきます。
東京芝2000mといえば内枠有利のコースレイアウト。1コーナー奥のポケットからのスタートですぐにカーブをむかえるため、多頭数の外枠は不利に働きやすく、さらに開幕週+スローペースになりやすいフローラSではよりこの傾向が顕著になっています。過去10年の連対馬20頭のうち15頭は1~4枠(馬番では1~7番枠)。馬券の軸は内枠から選びたいところです。
<枠番別成績(過去10年)>
1枠【2-1-2-13】勝率11.1%/連対率16.7%/複勝率27.8%/単回収率257%/複回収率96%
2枠【4-2-1-13】勝率20.0%/連対率30.0%/複勝率35.0%/単回収率172%/複回収率86%
3枠【1-2-1-16】勝率5.0%/連対率15.0%/複勝率20.0%/単回収率30%/複回収率96%
4枠【1-2-0-17】勝率5.0%/連対率15.0%/複勝率15.0%/単回収率83%/複回収率64%
5枠【0-0-1-19】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率5.0%/単回収率0%/複回収率27%
6枠【0-2-0-18】勝率0.0%/連対率10.0%/複勝率10.0%/単回収率0%/複回収率87%
7枠【0-0-1-23】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率4.2%/単回収率0%/複回収率8%
8枠【2-1-4-20】勝率7.4%/連対率11.1%/複勝率25.9%/単回収率64%/複回収率172%
桜花賞以前に行われた牝馬限定の芝1800m以上重賞はフラワーCのみで、芝2000m重賞はフローラSが初めて。桜花賞まではマイル戦に対応できるスピードが必須ですが、これからは中距離戦でガス欠にならないスタミナも重要になってきます。そしてこれは馬体重にも影響しており、桜花賞は460キロ以上の馬が有利でしたが、フローラSは459キロ以下の馬の複勝回収率も高いです。ここまで持ち味を生かせなかった中長距離タイプを狙うのがフローラSのテーマとなっています。
<馬体重別成績(過去10年)>
~419kg【1-0-1-15】勝率5.9%/連対率5.9%/複勝率11.8%/単回収率53%/複回収率41%
420~439kg【0-2-3-27】勝率0.0%/連対率6.3%/複勝率15.6%/単回収率0%/複回収率118%
440~459kg【4-3-5-46】勝率6.9%/連対率12.1%/複勝率20.7%/単回収率58%/複回収率102%
460~479kg【3-4-1-32】勝率7.5%/連対率17.5%/複勝率20.0%/単回収率124%/複回収率61%
480kg~【2-1-0-19】勝率9.1%/連対率13.6%/複勝率13.6%/単回収率129%/複回収率40%
血統面での注目はステイゴールドとディープインパクト。これらの血脈を持つ馬は小柄な芝中長距離タイプが多く、桜花賞までは少々スピード不足に悩まされる傾向にあります。反対にスタミナ面では日本の血統で一二を争う資質を持っており、2010年以降の超長距離路線を牽引してきたのがこの2頭です。両種牡馬にとっては待ちに待った舞台で、孫世代になった現在でも重要な血統といえるでしょう。
<血統別成績(過去10年)>
ステイゴールド【1-2-2-9】勝率7.1%/連対率21.4%/複勝率35.7%/単回収率118%/複回収率282%
ディープインパクト【1-2-4-31】勝率2.6%/連対率7.9%/複勝率18.4%/単回収率7%/複回収率116%
血統解説
・アドマイヤベル
母ベルアリュールⅡは芝マイル以上のGⅢを2勝しており、繁殖牝馬としても2017年ヴィクトリアマイル勝ち馬アドマイヤリードや2021年アルテミスS2着馬ベルクレスタなどを輩出する優秀な繁殖牝馬。スワーヴリチャード産駒の本馬は手足の長い芝中距離馬体型で、芝2000m実績も十分。牡馬に揉まれてきた経験も大きな強みといえるでしょう。
・クリスマスパレード
母ミスエリカはダートの中距離路線を中心に活躍。キタサンブラック×Blameは父の機動力を強化した配合形で、頭の高い走りからも芝中距離で機動力を生かす競馬がベストでしょう。東京よりも小回りコース向きで、馬場や展開が味方してくれるかどうかがポイントとなりそうです。
・コガネノソラ
母マイネヒメルは2020年勝ち馬ウインマリリンの半姉で、自身も芝1600~1800mで4勝を挙げた活躍馬。半兄マイネルマーティンも芝2000mで3勝を挙げており、本馬はステイゴールド系ゴールドシップを父に配した形です。前走馬体重446キロと小柄な馬体でもあり、芝2000mへの距離延長は大歓迎。適性面からは要注目の一頭です。
ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。2023年11月には本島修司氏との共同執筆で『競馬の最高戦略書 予想生産性を上げる人の取捨選択の技術』(主婦の友社)を出版。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。
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