【毎日杯回顧】圧勝メイショウタバル「GⅠ獲り条件」をクリア 単なる道悪巧者ではない大物
SPAIA編集部
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重馬場も高速決着
2024年毎日杯は坂井瑠星騎手騎乗の5番人気メイショウタバルが優勝。管理する石橋守厩舎は嬉しい重賞初制覇となった。
逃げ馬不在のメンバー構成で迎えた一戦。ゲートが開くと内からノーブルロジャーが好発をきったが、これをメイショウタバルが制してハナへ。このあたりは坂井騎手らしい判断だ。好位にノーブルロジャーとナイトスラッガーが続き、4番手以下は少しだけ離れて進んだ。
3~4コーナーで徐々に馬群が詰まり、ほぼ一団でいざ直線へ。ノーブルロジャーが外に進路を取っていくのと対照的に、メイショウタバルは内ラチ沿いで一目散にスパート。あっという間に4馬身ほどのリードをとると、そのままさらに差を広げて押し切った。
最終的に2着ノーブルロジャーとの着差は6馬身=1.0秒。毎日杯が2000mだった時代を含めても、クロフネやテイエムオペラオーらの記録を超えるレース史上最大着差での圧勝だった。3着には好位から運んだベラジオボンドが入った。
メイショウタバルは父ゴールドシップ、母父フレンチデピュティという道悪OKの血統。この着差もつい「重馬場が向いただけ」と切り捨てそうになるが、ちょっとそれは違うかもしれない。というのも、勝ち時計1:46.0は毎日杯としてはむしろ「高速決着」の部類に入るからだ。現行距離になった07年以降、時計が速かった順に勝ち馬を列挙してみる。
21年 シャフリヤール 1:43.9
08年 ディープスカイ 1:46.0
24年 メイショウタバル 1:46.0
13年 キズナ 1:46.2
17年 アルアイン 1:46.5
18年 ブラストワンピース 1:46.5
(以下省略)
タイムは歴代2位タイ。そして注目すべきは、1:46.5以下で決まった年の勝ち馬は過去5頭全てGⅠ馬になっている。それも1頭が皐月賞馬、3頭がダービー馬、1頭が3歳で有馬記念制覇。この法則が続くなら、メイショウタバルも今年中にビッグタイトルを手にすることになる。
レースラップを見てもラスト3Fは11.6-10.9-11.9。10秒台が出た点から推測するに、「重」の発表ほどタフな馬場ではなかったのではないか。あるいは、タフな馬場でこれだけの瞬発力を使える勝ち馬のポテンシャルが突出していたか。いずれにせよ、この内容なら良馬場でも面白い。日本ダービー出走なら台風の目になる。
前残りに迫った4着ファーヴェント
2着ノーブルロジャーは終始メイショウタバルを見ながら2番手の競馬。直線は内外の進路選択の差はあったが、一瞬で突き放されてこの着差は完敗と言わざるを得ない。ただ、初の1800mで先行しながら2着争いをなんとか制した点は地力の表れでもある。おそらくNHKマイルCが目標になりそうだが、牡牝の一冠目から難敵が流れてこなければ勝ち負けを争う1頭だろう。もっとも、今年は桜花賞を目指すダイワメジャー産駒アスコリピチェーノやボンドガール、皐月賞を予定する2歳マイル王ジャンタルマンタルあたりがいかにも来そうではある。
3着ベラジオボンドは不完全燃焼に終わった共同通信杯からしっかり巻き返した。良馬場の方が切れそうな印象は受けたが、特に不利もなく、現状の力は出し切った。
4着ファーヴェントはスタートが決まらず後方から。1~3着が前々で決まったことを考えれば、外差しでの善戦はそれなりに評価できる。前走のきさらぎ賞はゴール前で不利を受けて最後の10完歩以上追えず6着。この2戦、少しもったいない競馬が続いてしまった。ダービートライアルや京都新聞杯で続戦なら注目の1頭だ。
6着サトノシュトラーセは道中折り合いを欠き、4角は馬群の中でややゴチャついた。ハイペースを先行した京都2歳Sの3着がベストパフォーマンスであり、1周競馬で先行力とスタミナを生かす競馬が合う。今回はそういう形をとれなかった。
2番人気に推された良血馬ニュージーズは8着。勝ち馬からは2.3秒離された。人気の根拠になっていた新馬戦は確かに5馬身差の圧勝だったが、同日ホープフルSより2.4秒遅いタイムだったのも事実。馬場どうこうではなく、重賞で戦うにはまだまだステップアップが求められる。
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